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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第15話 東西の開通

 忙しくはないが、暇でも無い時間が過ぎていった。


 数度モンスターの大群がカオスキーパーにより発生したが、

 クイード達ではなくクラウドやアンカール、ギルビィ、レオン、ジン達で片付けさせた。

 オサムは空から戦いの様子を眺めていただけだったが、もう十分に任せられると判断した。



 大きな変化が有ったのはグレイス王国であった。

 グリオン王国とエスカニア王国が使者を送って来たのである。


 内容は、グレイス帝国への編入属国化についてであった。


 オサムは直接グリオンとエスカニアに飛び、王に確かめた。

 エスカニアの東側はグレイス帝国領の北と接し、南はグリーシアとグリオンに接している。

 一方グリオンはグレイス、エスカニア、ライツェン、レギオーラ、グリーシアと接している。


 グレイス帝国とグリーシア帝国が相互不可侵条約を締結させたことを知ったのだろう。

 帝国への編入を打診してきた。


 これはオサムにとっては喜ばしいことで、東のグレイス帝国と本国のグレイス王国が完全に繋がることを意味する。


 それぞれの王と数日掛けて話を行い、真意を問いただし、純粋に内政に集中したいとの答えを得た。

 オサムには断る理由は一切無いので、グリオンとエスカニアを併合し、属国とした。


 ただし、オサムの方からの提案で内政には一切干渉せず、大使館を両国王都に置いただけである。

 そして両国王の許可を取り付けグリオンとエスカニアに道路網を張り巡らせた。


 この事業にはやはり多額の予算を必要としたが全てグレイスの負担として多くの者達に職を与える事になった。

 グレイスの莫大な資金力を背景にエスカニア、グリオン両国も潤った。



 ここに来てグレイス王国は東から西に繋がったので西側の国々に対してもグレイス帝国と公表した。


 各国はその国土の広大さに驚いたが、皇帝であるオサム自身が戦を望まぬ事を知っていたので混乱は無かった。


 グリーシア帝国が西側から切り離された形になったが、商人や一般人等の往来自由は保証してあるので問題は無い。

 より安全が確保され、交易はますます盛んとなった。


 そしてグリーシア帝国も北方を気にせず南東方面だけに集中出来るようになったため、軍事費をより抑えられた。

 

 オサムは、エスカニアとグリオンに持つ領地に穀物を蓄えさせた。

 万が一に備えてのことだが、エスカニア南方、グリーシアと接する帝国領土は大穀倉地帯となり、

 東の端の旧シャングールも豊かな土地である。帝国内で穀物は有り余っていた。



 大仕事をやり終えた時にはヴァレスの革はもう十分な量に達していた。

 8人の働きは素晴らしく、考えていた以上の革が蓄えられていた。


 オサムは8人を執務室に呼んだ。

 「ご苦労だった。あれだけの量を集めるのは大変だっただろう?」

 と訊いたが、8人は

 「程よい鍛錬になりました。他に必要なものがあるならまた取ってきます。」

 以前のオサムのように簡単に答えた。


 「そうだな、連絡網を整備したいのでペガサスやグリフォンの呼び笛が欲しいな、200程」

 「他は今のところは無いな、新しくグリオンとエスカニアのダンジョンを調査してくれると助かるが、

 「他のモンスターの呼び笛が手に入るかもしれん、しかし命令あるまで各自自由に過ごすように」

 とだけ伝えた。


 クイードたちは新しいダンジョンを調査してスレイプニルの呼び笛を手に入れたのでとりあえず10個程入手した。

 その後はしばらくのんびりと過ごしていたが、やはりメラススの塔で競争を続けるようだった。


 オサムはリムルやロレーヌ、スウェン、ミシュルと穏やかな日々を楽しんでいた。

 ロレーヌはグリフォンやペガサスに乗れるので海辺や山等に5人で出かけたりもした。


 オサムはクライアンに詳細を説明して膨大な量のヴァレスの革を渡した。

 ビーツにも次々と新しいデザインの甲冑や剣、斧を作らせた。


 オサムがデザインした装備は門外不出とし、使用しない物は全て城の倉庫にあるマジックバッグで厳重に封印した。

 これはあまりにも強力なため、悪用されないようにだ。


 ビーツにもオサムかクイード達3人以外からの発注は受けさせないようにしていた。

 そして今までに渡した不要なデザイン画を全て回収した。


 同じようにクライアンにもオサムが注文した特殊な物は全て城に納めさせ、他には売ることの無いよう命じていた。

 代わりに2人に領地を持たない形式上の相続の出来ない帝国騎士位を授け、事実上の家臣とした。



 クイードがやって来て、集めた呼び笛を全て差し出した。

 「流石に早いな、お前達ばかりに苦労をかけて申し訳ないと思っている。」

 オサムが笛の山を見ながら言うと。

 「陛下がお望みなのであれば我々は出来る限りのことを致します。それが務めです」

 クイーズは

 「見たことのないボスモンスターは多いですがグレートドラゴンほどではありません、腕慣らしにもなりません」

 と言って笑った。

 

 オサムは

 「そうか、しかし危ない事はしなくて良いぞ?」と言って笛を受け取った。



 オサムはオサムで数日アレシャルやメラススの塔に通っては朝に帰ってくる。

 8人も同じようにしていたので国庫の金額が銀貨200億枚に達しようとしていた。


 オサムはその豊富な資金を使い、帝国全土を開発していった。

 既に巨大炭鉱が20以上、鉄鉱石の大産地も10程見つけ、掘らせていた。

 当初予定していた数千万トンの鉄はヴァレスの革を内張りしたコンテナに全て収納していた。

 同じく石炭や鉄鉱石も巨大なマジックバッグやマジックボックス数百に入れて城の倉庫に保管していた。


 全ての都市に皇帝直属の騎士を置き、ペガサスやグリフォンを与えていたが偵察以外に使われることは無かった。

 オサムは帝都を西側に置き、副都を東とした。

 月に1回副都から使者がやって来てロウの手紙を送ってくる。

 西と東の書記官と翻訳官が辞書を作ってオサムにも読めるようにしているが、

 重要なことはロウが直接来るか、オサムが行くかして数ヶ月に一度様子を確かめた。


 東側の城塞都市群は拡張され、各都市は城を中心に整備させ直した。

 分厚く頑丈な壁とレアアイテムで強化された鋼鉄の門により10万の軍隊でも落とすのは不可能になった。

 各都市にはそれぞれ5年分の穀物が備蓄され、帝都と同様のシステムが導入されている。

 砂漠の夜にも街灯が明るく照らし、陸地の灯台の様になっていた。



 オサムは東から納められてくる資源を相当量蓄えていたが、鉄に関しては作り続けさせ、

 工場も拡張に次ぐ拡張を行い年間生産量5千万トンまで引き上げた。


 帝都は更に広げられ、城壁は2重となり、この城壁と城壁の間の数キロにも人が住めるようにした。

 結果的に1000万人が暮らせる程の規模になり、城やその敷地も更に大きく広げている。

 運河や水路、道路や橋は今まで以上に整備され、さながら古代ローマの様相を呈していた。

 

 計画の第一歩として鉄筋コンクリートや鉄骨の建物を作らせた。

 他国との交易で資材を入手し、頑強な城の敷地や城塞の門に次々と巨大建造物を建てていった。


 金や銀、プラチナや銅等の鉱山も開発し、帝都には無尽蔵かと思われる程の資源が流入している。

 マジックバッグがあるため問題はないが、世界の資源の9割以上を保有していた。

 オサムには興味がなかったが宝石等も集まってくる。


 文化面ではオサムの世界の近世に近づいていた。

 しかし一方で軍の制度は殆ど変えず、皇帝直属の騎士やクイード達の騎士はそのままに強さを増している。


 皇帝の騎士は東西合わせて10万騎を超え、クイード、タキトス、ハンビィも2000名の騎士を各地に持っていた。

 クラウド達でさえ500名の騎士を従えていた。

 

 戦争の心配はほぼあり得ないが、各国に通常の国家と思わせなければいけない。

 国家規模相応の軍備に拡充していった。


 他国と違うのは領土を持つのが皇帝であるオサムとクイード達3名の公爵

 クラウド達5人の伯爵、それに副都を任せてあるロウに大公の位を授けて広大な領地を与えていただけだ。

 他には騎士と言えども領地を持つものは居ない。グリオンやエスカニアの王国領土は別である。

 郡県制に近い統治方法だったが、連邦制でもある。


 魔法団も皇帝直轄の魔法士に対し騎士と並ぶ地位”法術士”を作り与え5万名程が国土全体に派遣されていた。

 徴兵制は東西共に無くして志願兵だけの正規軍を雇う形態に変えた。



 「大体の形は出来上がって来たよ」

 リムルやロレーヌと話をしながらオサムは言った。


 「私たちは何の心配もしておりません、陛下は民に優しく戦を嫌い平和を望んでらっしゃいますので」

 ロレーヌはミシュルを抱きながら話した。

 「この子達が争いのない世界で育てばそれでかまいません」

 リムルもスウェンを抱きながら話した。


 「そうだな、この国はクイード達の力も有り平和が保たれている。」

 オサムはいつもの様に長椅子に転んで話しだした。

 「ただ、西や南はまだまだ争いは絶えないね、口出しできないから放っといてるけど」

 そう言うと


 「陛下のお力でなら戦を無くすことが出来るのでは?」

 ロレーヌが訊いてきたが

 「それは内政干渉になるからね、グリオンやエスカニアの様には行かないよ」

 そう答えて

 「しばらくは様子を見てる。皆がこの国をしっかりと理解してくれるまでね」

 と続けた。

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