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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第14話 忠誠

 オサムはクイード、タキトス、ハンビィに加えクラウド、アンカール、ギルビィ、レオン、ジンを呼んだ。

 執務室なので少し手狭になるが、机と椅子が用意された。


 まず最初にオサムが

 「この世界から戦を無くすにはどうすれば良いと思う?」と尋ねた。


 クイードは

 「以前、陛下が言われていた、大帝国を作り国境を無くすことでしょうか?」

 オサムは

 「他に方法は無いか?大帝国になれば戦が無くなると思うか?」と更に尋ねた


 「例えば、このグレイス王国でお前達8人が反乱を起こすとどうなる?」

 オサムは1つの可能性を示しただけだったが


 「我々が反乱など起こすことはありませぬ、この命既に陛下に捧げております!」

 タキトスがそう言い

 「例え妻子を殺されようと、私は陛下のなさること全てを受け入れます」

 ハンビィも言った。

 「大恩ある陛下に対しそのようなこと考えることも出来ません」

 クラウドも言った。

 「この命を差し出せを言われれば私は喜んで差し出しましょう」

 レオンも言った。

 そしてそれに激しく全員が頷いていた。


 「いや、そうではなく俺が言いたいのは、例えこの大陸を統一しようと戦は無くならないということだ。」

 オサムは予想以上の反応に驚いていた。


 「皆の気持ちはありがたく思う。」

 一旦話を元に戻そうとした。


 「クラウド達は知らぬかも知れぬが、俺はこのグレイス王国以外にもグリーシアの東側に広大な領土を持つ」

 「東の帝国シャングールをグレイス帝国とし、砂漠のオアシス都市群、その北の森林地帯全てを持っている」

 「これはグリーシア帝国の10倍以上の領土となるであろう。」

 オサムが言うと


 「そんなにですか?」とクイードですら驚いた。


 「うむ、誇張はしていない。その領土の殆どに今のところ価値は無いがな」

 オサムは慎重に話した。


 「しかし今開発を進めているので、将来莫大な富を生み出すことになる」

 「大規模な鉄鉱石の産地や石炭の産地も見つけて掘らせている。他にも様々な資源がある」

 と言うと

 「それで開発を進めていたのですか」とタキトスが言った。


 まだ全てではないが、分かるであろうことをオサムは説明した。


 「その通り、我が国は大陸のどの国家に対しても比類の無い規模を誇る。

 「そして、大陸中にある俺やクイード達3人の領地も安全だ。」

 

 オサムは続けて、

 「大陸の東側の領土はほぼ戦も内乱も起きぬだろう。問題はこのグレイス王国の周辺だ。このままでは収まらぬ」


 クイードが

 「何か手はあるのでしょうか?」とオサムに問うた。


 オサムは

 「国境を固定しようかと考えているが。以前グリーシア帝国と約束を交わしてきた。」

 「しかし、我が国だから出来たことで、他の国には出来まい。」

 「大きな戦は無いだろうが各地で小競り合いが続いている。」


 そしてオサムは

 「当分放って置こうと考えている。勝手にやらせておく。」


 「それでは戦が無くならぬのでは?」ハンビィが言うと。


 「戦の虚しさをいずれ知るようになると考えている。手本は我が国だ」

 オサムが語った。

 「民の事を考えぬ国はいずれ滅びる。」

 「クイード、タキトス、ハンビィ、お前達が各国に持つ領地の税はいくらだ?」


 クイードは

 「我等全て2割としております。」と答えた。


 オサムは

 「では蓄えは?」と訊くと


 「大まかに言うと5年分はあります、穀物も。」タキトスが答えた。


 オサムは

 「民が反乱を起こすと思うか?戦に巻き込まれず税は低く、治安は良い。蓄えもある」


 「反乱どころか領地外から貧しい者達がやって来ますね」ハンビィがオサムの真意に気付いたかのように言う。

 「そう言われれば、グレイス王国も今そういう状態にあります。」とハンビィは続けた。


 オサムは

 「これを他国が倣えば戦に割く人も財も不要となる。目指すのはそこだ」

 とりあえずだが、と考えてそう言った。


 「つまり、今のところは他国には何もせず東側を固める。そういうことですか?」

 ハンビィが結論を述べたので


 「よくわかったな、あと5年は様子を見る。」

 と言ってオサムは会議を終わらせた。

 そして

 「皆意見は有るか?」と訊いたが


 誰も何も言わずその代わりに

 「陛下の深慮遠謀、先を読む力にはかないません。」

 とクイードが皆を代表して言った。


 9人ものインペリアルセイヴァーが考えを1つにすればそれは世界の意志に匹敵する。

 オサムのこの会議はそれを確認するためであった。


 意図せずに8人の忠誠心を知ることが出来たのは幸いだったが。


 そして

 「これは命令ではないがヴァレスの革を可能な限り集めたい、協力してもらえると助かる」

 オサムがそう言うと

 「ヴァレスの革など造作もありませぬ、我等8人で取り尽くして見せましょう」

 クイードがそう言って

 「ではまず私から、順に」

 オサムはそれを聞いて

 「ありがたく思う」と言って会議を終わらせた。



 「リムル、俺は本当に幸せな国王だと思う。皆が俺を好いてくれている。」

 自室の居間でリムルにポツリと呟いた。


 「私は知っていましたよ、陛下」とリムルは笑った。


 「グレイス帝国のロウは俺を神か何かと考えているみたいだし」

 オサムは以前の世界での自分と比べて自分自身何ら変わらないと考えていたが、自分を見る目の変化に気がついた。


 「陛下、また難しい顔をなさってますよ」

 リムルに言われ

 「そうか、少し考えてたんだ」と深く考えないようにした。


 適当で怠惰な部分は変わっていない。リムルやロレーヌに甘えるところも。

 それでも良いのならそれでいいとオサムは思った。



 オサムはもう一度グリーシア帝国に飛んだ。

 互いに交わした国境の事項を完全に締結するためだ。

 東側のグレイス帝国はロウが尽力し、ほぼ固まりつつ有る。

 

 広大な領土に有る都市全てを舗装した道路で繋ぎ合わせた。

 その結果交易がより盛んになり、確認の意味を込めてグリーシア皇帝と話を付ける。

 そのつもりだった。


 オサムは皇帝の部屋に直接通された。

 「グレイス皇帝陛下、ようこそ。東側は安定しておりますな、南方は国が乱立しておりますが、

  旧シャングールから我が帝国まで交易商が安全に往来出来るようになりました。」

 グリーシア皇帝は謝意を述べた。


 「それは何よりです、グリーシア皇帝陛下。安全な交易こそ国家の土台となりますゆえ」

 オサムは答えて

 「本日うかがった理由は以前皇帝陛下と交わした約定の件ですが。」

 本題に斬り込んだ。


 「互いの国境保持の件ですな?我が帝国はグレイス王国及びグレイス帝国には一切手出ししませぬ。

  と、申しましても、貴国に手出しすれば我が帝国は1週間も保ちますまい?」

 「9人のインペリアルセイヴァー、その気になれば1日で我が国土を粉砕出来ましょう。」

 グリーシア皇帝にはわかっていた。今の帝国はグレイス皇帝の気分次第で消滅することを。


 オサムは

 「私はそのようなこと考えたこともありませぬ。今後も貴国の繁栄を祈って居ります。」

 飾らない気持ちを言葉にした。


 グリーシア皇帝も

 「皇帝陛下のお陰で国境の軍を大分縮小出来、争いごとも殆ど無くなりましたしな、

  軍事に掛ける財を他の事に回せるようになり、民も幸せに暮らしております。」

 と、率直に答えた。


 「民を幸福にすることこそが王や皇帝としての務めと私も考えております。

  グリーシア帝国に何か異変が起きればまた私か他の者が駆けつけますのでご安心を。」

 オサムはグランチューナーの役目も忘れてはいなかった。


 「感謝します、グレイス皇帝陛下」

 オサムとグリーシア皇帝は握手で互いの尊敬を確認した。

 そして正式に条文を交わし、相互不可侵条約を締結した。


 「少しの時間でしたが、有意義な話ができました。ありがとうございます、皇帝陛下」

 オサムはそう言い残して帰っていった。



 その頃、クイード達によって大量のヴァレスの革が集まってきていた。

 バッグ数万個は作れるであろう量だが、まだオサムが考えている数には届いていない。

 自分でも地図を持って大陸各地のヴァレスを狩っていた。

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