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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第13話 帝国の覇道と新たなる力

 『領土は増えたが飛び地が多いなぁ、つなぎ合わせないといけないけど、どうするか』

 オサムは書斎に篭り地図を見ながら考えていた。


 「チンギス・ハンか、けどあんな征服の仕方は好みじゃないし、被害が多すぎる。

  なんとか東側だけでも統一しておくか、南方や島はまだ無理だなぁ」

 独り言を言いながら地図に線を引いていった。



 「やっぱり長く掛かりそうだ」と言い、ロウの泊まる客間まで降りていった。ロレーヌの部屋近くだ。


 侍女に確認させたあと「ロウ、入ってもよいか?」オサムが訊くと、すぐにドアが開いた。


 「皇帝陛下、昨晩の料理は素晴らしかったです、御用でしょうか?」ロウは慣れないらしくガウンを来ていた。


 「この服は部屋着として使うもので良いのでしょうか、なにぶん全く文化が違うもので」

 ロウは用意された服から一番着やすいものを選んだのだろう。


 「その内理解出来るようになるとは思う、こちらの真似をする必要はないからな」

 「あと言葉だが、俺にしか通じていない、皆には何を言っているのかわからんだろう。それも今は良い」

 オサムはクイード達が自分の言葉しか聞いていないことでわかった。


 「皇帝陛下の言葉は何故わかるのでしょう?」ロウが尋ねてきたが


 「わからんな、俺は特別らしいので殆どの言葉は通じるようだ、文字はわからぬが」

 オサムも不思議に思っていたが気にしないことにしていた、通じればそれでいい。


 「今日発つのだろう?その前に俺の考えを伝えておきたいと思って直接来た。」

 「二人で話したい」オサムが言うと扉の前に居た侍女が出ていった。



 「つまり皇帝陛下は、東側を統一したいとお考えに?」地図を見ながらロウが言った。

 

 「そうだが、力で征服しては民達に被害が出る、それだけは避けたい。」

 オサムは良い案が無いか探していた。

 「グレイス帝国の正規軍は徴兵すれば100万を超えます、小規模な国家ならば降伏させられますが。」

 ロウもオサムに言われて考えていた。


 「まずは北方の辺境、帝国の北からオアシス地帯の北にまで伸びる部分だな」

 オサムが言うと


 「領土としてはあまり価値が無いと考えますが、必要ですか?」ロウが尋ねてきた。

 オサムは

 「作物は作れぬが資源がかなりあるはずだ、俺も調査するが、北方に敵が少ない今の間に取っておきたい」

 「山を超えての南側はまだかまわぬ、所々に大国もあるしな。」

 ロウは将軍であると同時に宰相、軍師だ。良い手を考えると期待していた。


 

 夕方までロウと戦略を確認しあい、夕食の後にロウはペガサスで飛んで帰っていった。

 まずは帝国北方の騎馬民族を完全に無力化し、その後ほぼ無人の土地を全て領土に納めることとした。



 来週はミシュルのお披露目の祝いがある。ハロルドが全てを準備してくれているので問題ないが、

 これから大事業が控えている。喜びに酔いしれる時期では無かった。



 グレイス国王第二子の誕生に王国は湧いていた。国民は喜び、そこかしこで宴が開かれていた。

 各国からまたもや国使や国王がやって来たが、シャングールの異変に気付いている国も有った。

 特にグリーシア帝国は交易の中心となる国である、確かな情報として持っているようだった。


 「時期を見て公表するか、その前に道路の整備や都市の改造や建造が必要だな」

 オサムの頭には大体の構想が出来上がっていた。


 しかし、暫くの間は王国の方で過ごすと決めていた。1年程はロウに任せれば良い。

 「俺の世界で言うロシアだな、地下資源が豊富なはずだ。まずは無人の土地の開拓か」

 オサムは執務室で考えていた。


 重化学工業はこの世界ではまだ早い。石油より石炭や鉄鉱石のほうが重要だった。



 オサムはロウの力を借りてオアシスの城塞都市群を全て道路で繋げた。

 城塞はより堅固にし、大量の鉄をグレートドラゴンで運び防御を完璧にさせた。

 周辺の遊牧民のうち資産の無い者を都市に住まわせた。


 同時に石炭と鉄鉱石の出る場所を探して新たに都市を作った。

 それらを全て道路で繋げ、大陸東側を北方も含めて人の住める土地に変えていった。


 事業は着実に実を結び、グレイス帝国から移民を募り人口1万から5万人程度の都市を複数作った。

 地下資源の枯渇後も人が暮らせるよう周囲の森を切り払い燃やし、品種改良した作物を作らせていた。

 全ての都市を王や皇帝直属の者に治めさせ、権力を持たせすぎないように3年毎に転地させることとした。

 月に1度全ての都市をクイード達に交代で廻らせ、都市機能を確認させて報告させた。


 オサムはグレイス王国建国3年目にして大陸の3割を支配する大帝国の皇帝となっていた。

 そしてグリーシア帝国の皇帝と直接会い、国境の規定条約を交わした。


 「ふぅ、できることは全てやったつもりだけど」オサムは疲れていた。

 

 

 グレイス王国建国初期から、オサムの子爵時代の従者5名をクイード達が鍛えていた。

 ロードナイトにするためだ。


 通常インペリアルセイヴァーに成れるものなど居ない。

 ロードナイトですら通常の騎士では無理である。

 クイード達はオサムの装備を使い、オサムに鍛えられたため成れたに過ぎない。

 3人はそれを理解しており、自分達の使っていた装備や、新たにビーツが作った装備を与えていた。


 本来クイードやハンビィ、タキトスがオサムの直属の従者を鍛える必要はないのだが、

 必要に迫られてロードナイトを目指させていた。そしてその先も。


 クラウド・トールセン

 アンカール・デルモア

 ギルビィ・スマイス

 レオン・グラハム

 ジン・レトワーズ

 この5人はオサムの事は当然、タキトス、クイーズ、ハンビィの強さに憧れていた。

 伝説の黒騎士の古参の家臣として忠誠心もクイーズ達に劣らず非常に高い。


 3人が付いて行けない時は5人でメラススの塔の浅い階層で鍛錬を積んでいた。

 一度だけオサムがクイード達と5人を連れてメラススの塔の最下層まで連れて行った事があった。


 戦いはオサムだけで行い、クイード達は5人の守りに徹していた。

 「分かるか、俺達やお前達が憧れる陛下の強さが。」

 ハンビィに言われても瞬きもせずオサムの戦いを見ていた。


 そしてもはや強さの証であるとも言える黒騎士装備を与えられ5人は王国の騎士として戦い続けた。


 建国2年目、クイード達の儀式の時にはもうすぐ騎士レベル99というところまでになっていた。

 更に戦い続け、5人はロレーヌの懐妊がわかった頃にはロードナイトとなっていた。

 しかし、それで褒めてもらえるほどグレイス王国の騎士は甘くない。


 自由になる日を殆ど戦いに費やし、アレシャルの塔まで遠征しロードナイトのレベルを上げていった。

 かなり強くなったと感じてもクイード達には遠く及ばない。

 5人はタキトスやハンビィ、クイードにリジェネリターンの魔石を3個ずつ貰っていた。

 「しかし、死ぬような戦い方は許さんぞ、グレイスの騎士は常勝であらねばならん」

 と言われていたので無理はしなかった。


 そして、ついに「その時」がやって来た。


 5人はクイード達に連れられ、オサムの前に姿を見せた。

 「陛下、こいつらもやり遂げました」とタキトスが言うと。

 オサムは5人をじっと見て「ロードナイトの99か、よく頑張ったな。」

 と、一人ずつオサムが直接褒めていった。


 5人は緊張していたが、やっと自分達が王国の騎士と成れたと感じていた。

 「では、俺が直接儀式に着いて行こう、クイード達も来い」とオサムは言って換金所へ連れて行った。


 「神々の声を聞いてこい」と一人ずつ儀式を行わせた。

 最後の一人が部屋から出てくると「よくぞここまで鍛錬した。お前達に伯爵位を与える」オサムは言い

 「それと、クイード、タキトス、ハンビィ。お前達は帝国から公爵の領地を与える」

 「では、戻るぞ」と言い9人は城や屋敷に戻っていった。


 翌週、大広間で8人に爵位を与える儀式が行われた。

 そして城の敷地に新たに伯爵の屋敷が2つ、公爵の屋敷が3つ作られた。

 王都拡張時に合わせて数度広げられた広大な城の敷地は8つの大きな屋敷にも十分な広さを持つ。


 新たなインペリアルセイヴァーの誕生。しかもグレイス王国で5人

 その知らせは各国に伝わった。

 もはやグレイス王国に刃向かえる国は皆無だった。


 オサムは最強の騎士8人を従える最高位の聖騎士となった。


 「アレシャルの塔に行ってグレートドラゴンの呼び笛を取って来い」

 5人はクイードにそう言われ、更に戦い続けた。

 そしてインペリアルセイヴァーのレベル20を超える騎士となっていた。



 「もうカオスキーパーが来ようと恐れることはなくなったな。9箇所で発生しても全て排除できる」

 オサムはクイード、タキトス、ハンビィに言った。

 「そうですね、我々が不在でも安心出来ます」ハンビィが答えた。

 

 「しかし、ここからが大陸の平和を作り出す本番だ、気を抜かずにやっていこう」

 オサムは頭の中に描いていた地図が着実に出来上がる事を予期していた。

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