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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第12話 ミシュルとロウ

 ロレーヌが心配だったが、帰ってきたときも元気だった。

 「ロレーヌ、もうすぐだな」オサムが言うと

 「陛下の御子を授かり幸せです」と言って抱きついてきた。

 

 「寂しかったのか?」と訊くと


 「それはそうですが、リムル様やファシリア達が居ますので楽しく過ごしておりました」

 「少しだけ寂しくなる日もありましたが、陛下のご苦労と比べれば大したことではありません」

 と言ってオサムから離れて

 「あと二月程で産まれます、陛下の御子ですよ?」と嬉しそうに話した


 「実はな、グランパープルに行って守護者からもう名を貰っている」

 それとこれが、と言ってバッグから取り出し

 「守護の腕輪だ、付けておくといいよ」とロレーヌに渡した。


 「もう名を頂いているのですか?どのような?」と訊いてきたが

 「生まれる日まで言ってはならんらしい、聖なる名らしいからな」

 そういってロレーヌを納得させたが、それは真実だった。


 「もう暫くの間だけ忙しいが、出産には必ず立ち会うので辛抱してくれ、ロレーヌ」

 オサムがそう言うと

 「陛下のお気遣いだけで十分です。」と言ってベッドに入って眠った。


 疲れていない、心配していないと言うが、気が疲れたのだろうな。と静かにオサムは部屋を出た


 しばらくの間グレイス王国に居よう。

 オサムはそう考えた。


 帝国の方はロウに任せておけば問題無い。

 一月程ゆったりと過ごし、さて。とオサムは重くなった腰を上げた。



 翌日朝すぐにオサムはグレイス帝国に飛んだ。


 グレートドラゴンで5時間程だが途中の焼き尽くされた城塞が気になっていた。

 オサムは一旦降りて街の中を歩いた。


 完全に破壊されている。

 ここに街が作られた理由を知ろうと歩いて気付いた。

 「オアシスか!」

 オサムは時間を掛けて火炎魔法フレイムナパームで全てを焼き尽くした後徹底的に破壊した。


 同じように他のオアシス都市も破壊した。


 「これでいい、新しく街を作って人が住めるようにすりゃいいか」

 と言ってグレイス帝国に舞い降りた。


 「ロウは居るか!」と言うと、官吏がやって来て宮中に案内した。


 「陛下がお越しなさいました」と扉を開けた。


 オサムが

 「その後どうなっている?」と訊くと

 「国内は安定しております、国庫も潤沢な資金があり50年は問題ないでしょう」

 とロウは答えた。

 オサムはクイードを遣わせてさらに10億枚の銀貨とマジックバッグを渡していた。


 事前にマジックバッグのことも教えていたので10個程、十人程度では持てない重さのマジックボックスをクライアンに作らせておき、蔵に設置できるサイズの箱の形にしていた。

 マジックアイテムで十分に補強し素材アイテムも使っているので盗難はまず不可能だ。


 オサムの城の倉庫と同じく殆ど無限に入るので蓄えておくには丁度良い。

 もちろんクイードなら楽に持てる。


 「そうか、やっと安定したか。苦労をかけたな、すまぬ。ロウ」

 オサムが言うと

 「陛下あってこそのグレイス帝国です。破綻しかけていた国が豊かな国に戻りました。」

 と言って頭を下げた。

 「皇帝として常に居続ける事が出来ぬが、民が幸福になるならそれで良い」

 「ロウ、今後も頼んでよいか?」オサムは頭を下げた。


 「おやめください陛下、前の皇帝なぞとうに見限っておりました。

  陛下こそが民を幸福に出来るお方だと確信しております。」

 ロウは両膝と手を床につき深々と頭を下げた。


 『土下座?作法か、やはりこの国は似ている』とオサムは考えた。


 「奢侈は控えよ、行事は質素に、国家の官吏を世襲にするな、今は貴族を作るな、まずはそこからだ。」

 オサムは続けて

 「今後、法の整備と国体の構築を行う。それまでは任せた。」

 「あとこの笛を渡すが使えるか試しに行こうか、外へ」オサムがロウを庭に連れ出した。


 「笛を吹け」とオサムに言われロウは吹いてみた。

 ペガサスが現れた。

 「これは天馬ですか!?」ロウは驚いた。

 

 「そうだ、これなら我が国まで一日も掛からぬ、乗りこなせるようになっておけ」

 「何かあればまず砂漠の我が領土へ。そこに城代が居るので頼め、すぐ駆けつける」


 「わかったか?ロウ」オサムは念を押した。


 「仔細承知致しました、陛下。またいらしてください。」

 ロウはオサムを救世主か神と考えるようになっていた。



 いよいよロレーヌの出産が始まった。

 オサムはリムルのときのように万全の準備を整えて臨んだ。

 ロレーヌの手を握り、痛みに耐える姿を見ているしか無いのが恨めしかった。


 2時間程で産まれた。グランパープルで聞いていた通り女児だった。


 「陛下、抱いてやってください。」とロレーヌから渡された。

 「お、とと」とオサムは慌てた。「首が座ってないんだろ?確か。」オサムが抱いていると


 「この子はなんと名付けられましたか?」笑顔でロレーヌが訊いてきた。


 「ミシュル・オルトリア・グレイス。神々の娘という意味らしい」

 オサムが教えられた名を呼んだ。

 「ミシュルですか、良い名ですね」とロレーヌは微笑んだ。


 「そうだな、響きが良い」とオサムも思っていた。


 「しばらくは安静に、わかってるな?」と言うと

 「はい」とロレーヌは答えた。


 幸福な時間に包まれてオサムとロレーヌは穏やかな気持になっていた。



 それから一月ほどし、城の庭にペガサスが降りてきた。

 オサムはテラスから飛び降り、走り寄ると、ロウと城代の使者だった。


 「どうした、ロウ?何かあったか?」オサムは少し慌てて訊いたが


 「いえ、グレイス帝国もほぼ安定しましたので陛下の本国にと案内を頼みました。」

 ロウは城を見て「このような高い建物にお住みだったのですね」と眺めていた。

 

 クイードやタキトス、ハンビィも出てきていたが、タキトス以外の2人は

 「ロウか、何事かと思ったぞ」と安心した。


 「なんだぁ?話がわからんぞ?」とタキトスが言うと


 「シャングール帝国がグレイス帝国になったんだよ」とクイードに教えられた。


 「え?シャングール帝国が?わけがわからん」とタキトスは混乱した。


 「よい、あとで紹介する。」

 「ロウよ、国を離れて良いのか?」と訊くと

 「2、3日程度なら問題ありません、陛下」と言った。


 「では客間で話を聞こうか。」と城の中へ招き入れた。



 「で、あっちはどうなっている?あと、オアシス都市もだが」

 オサムがロウに尋ねた。

 「帝国は問題ありません、外敵も居らず内乱もなく静かなものです」

 「オアシス都市に関しては10万人の兵を動員して再構築させています」

 ロウは初めて飲む紅茶に戸惑っていた。


 「そうか、順調だな。よくやってくれているな、ロウ」

 オサムとロウの会話を聞きながらタキトス達は理解しようとしていた。


 「そうだ、紹介しよう。コイツはロウ・ウェン。元シャングール帝国の大将軍で今はグレイス帝国となった国の宰相であり大将軍だ。」

 オサムは続けて

 「俺は元シャングール帝国の新たな皇帝になった。しかし今はこのロウに皇帝代理として働いてもらっている。」

 「そしてこの3人は古い家臣のクイード、タキトス、ハンビィだ。クイードはもう会っているだろうが、他の者を帝国に派遣した際はよろしく頼む」


 「今日は泊まって行くだろう?夕食も食っていくと良いぞ。口に合うかはわからんが」

 オサムが言うと

 「ありがとうございます陛下、御厚情感謝いたします」ロウは頭を下げた。

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