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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第8話 儀式と王都、そして第二子

 1つ行事が終わると、また行事がやってくる。

 グレイス王国建国の日、つまり3人の儀式の日がやってくる。


 「今回も多くやってくるんだろうなぁ」

 息子をあやすリムルにオサムが言った。

 「そうでしょうね、あの3人も各国に相当な領地をお持ちなのでしょう?」


 「そうだね、けど1回で終わるから気が楽だ。今回は皆同時だからね」

 オサムも王子をあやしながら話した。


 「最高の儀式にしてさしあげないと、ね?陛下」


 「うん、準備は整えたから大丈夫。ロレーヌの時みたいに慌てずに済むよ」

 オサムはほぼ準備を整えさせていた。



 そして、その日がやって来た。

 ライツェン国から200名と少し、各国から300名程が集まった。

 

 城の大広間は拡張工事で優に1000名が入れる様にしている。

 城や迎賓館の客間も増やし、広げていた。


 今回はリムルも子を抱いて出席していた。

 3組がそれぞれ儀式を済ませると宴が始まった。


 宴が始まるとリムルは部屋の隅で椅子に腰掛け息子を見ていた。

 オサムもその横に座って我が子を見ていたが、列席した各国の使者や王との歓談も忘れていない。

 こういう場で国家間の重要事項が決まることも多いのである。


 政治や都市の近代化の話は極力避けて祝福の話題で盛り上がった。


 3人の花嫁はそれぞれとても幸せそうで、クイードやタキトス、ハンビィが誰かと話している時も常に傍に付いていた。

 祝宴は夜遅くまで続くが、スウェンがぐずりだしたのでリムルは

 「先にお部屋に戻りますね」と言い残して会場をあとにした。


 最後にまた楽団の演奏によるダンスで宴が終わった。


 家令のハロルドが素早く指示を出し、城の客間と迎賓館に割り振っていく。

 執事と執事補佐6名や召使いたちはその指示に従って客を部屋まで案内した。


 大広間の片付け中に3人とその花嫁がオサムの座るところまで来て

 「このような盛大な儀式と宴を感謝します」といったが

 

 「今日があるのはお前たちの努力の結果だよ」

 オサムは逆に感謝していた。そして

 「一息つくか、お前たちはともかく、ヴィオラやミーシャ、ファシリアは疲れただろう?」

 「楽な服に着替えて休憩室に来るといい」

 と言ってオサムは大広間から出て侍女を呼び用意させてあった平服を受け取って着替えを手伝わせた。


 オサムが休憩室で待っていると、6人が入ってきた。

 「インペリアルセイヴァーは疲れをほとんど感じないが、どうだ?」

 オサムが皆に尋ねると

 「疲れより喜びのほうが大きいですね」クイードが言うと全員が頷いた。


 「ひとまずこれで我が国の形が出来上がった。

  しかし、3人にはそれぞれ務めがあるのでな、留守は多いだろうが理解してくれ」

 オサムが言うと

 「それは既に旦那様より言い付けられておりますので」

 とヴィオラが答えて、あとの2人もコクリと頷いた。


 「俺はこのまま止まらずに事業を進める、よろしく頼む」

 とオサムが言い、しばらく雑談が続いた後解散となった。

 


 翻訳は順調に進んでいた。まずは高炉や転炉を作るためサラマンダーをと考えたが、火の魔法士で十分だった。圧延装置等もしっかりと作り上げた。


 石炭が欲しかったので領土内各地で探させながらオサム自身もその力で地面を切り裂く。

 1トン近くある巨大な斧の一撃は分厚い岩盤を容易く砕いた。

 数カ所で大規模な炭鉱が見つかったため、オサムが岩盤ごと切り崩し露天掘りが出来るようにしたあと鉱夫を募り掘らせた。


 鉄鉱石はオサム自身が探しに回った。

 グリーシア帝国を越えて小国都市国家の乱立する砂漠地帯の近くに有望な場所を発見したため

 オサムは周囲の都市国家間の小競り合い鎮め全て支配下においた。飛び地になるがグレイス王国の領土としたが、小さな各都市国家はグレイス王国の庇護下に入ることにためらいはなかった。


 見つけた鉄鉱石産出地は露天掘りのできる鉱山であったため人を雇って掘らせた後、クイード達に手伝わせ巨大なマジックボックスで本国に持ち帰った。

 

 これで大量の鉄が作れるようになった。徐々に工場を拡張し年間数千万トンの鉄を生産出来るようにまでにする。


 農業分野も飛躍的に向上させた。品種改良も行わせ、様々な作物を各地で生産させた。

 綿花の育つ土地を探してはその地域を支配下に置き綿花栽培をさせる。

 それを紡績工場で布に出来るまでに発展させた。


 街は今まで屋内だけがエターナルライトで照らされていたが、街灯を作り魔法士にエターナルライトを灯させた。

 夜も光の絶えない街に変えていった。


 グレイス王国には働き口が有り余っていたため、人口の流入が活発化した。

 しかしそれに伴い犯罪も増えだした。


 新規獲得した領土が砂漠地帯だったため流刑地を作り犯罪者は軽微な者以外は全て流刑とした。

 刑は流刑か罰金しか存在しない。


 また、神聖魔法士が裁判の補佐を務めているため魔法により嘘がつけない。冤罪は無かった。


 流刑は帰る事が殆ど不可能なため人生を奪われるのと同じである。このため、増えだした犯罪はほぼ無くなった。

 極めて少数戻ってくる者も居たが、流刑地での事を語るので噂が広がり流刑は恐れられた。


 隣国から強盗団が入ってきても、隣国の王が命令を下し引き渡してくるためそれもなくなった。


 冒険者が冒険しやすいように換金所の掲示板に地図も貼った。

 また、冒険者からは1割の税を取った。

 

 その他の事業にもオサムは熱心に取り組み、グレイス王国は最も進んだ国家になっていた。

 増え続ける人口に対処するため、外周の城壁の外にも城壁を築いていた。

 3重の城壁となるため、内側の城壁を取り壊し、資材を最外周の城壁に再利用した。

 このため王都はまた広がった。歴史あるグリーシア帝国の帝都に匹敵する王都である。

 王都の北側は堅固な山が広がっていたが、オサム自身が大規模に切り崩し、石材を調達すると共にコンクリートで完全に固めた。

 火山灰を利用し、ドラゴンスパイダーの糸を練り込んだコンクリートは岩以上に強固だった。



 「陛下のお考えは底が見えません、一体どうやればこのような国造りが出来ましょう?」

 夜の会食の後、クイード達3人とその妻達、リムルとロレーヌが残って話をしていた。

 リムルとロレーヌは事情を知っているため終始ニコニコとしていた。


 「あのような量の鉄は見たこともありません。それに城下の街では犯罪が激減しています。」

 「港の巨大な工場を見てきましたが、帆のない鉄の船が数隻、あれは一体?」

 「新しく獲得したというグリーシアの向こうの砂漠の国家群も鉱石の件の時まで我々は知りませんでした。」


 「率直に申し上げますが、驚き、いや驚愕を通り越しています。」

 3人は尊敬の眼差しでオサムを見ていた。


 それぞれの横に侍る妻達はリムルやロレーヌと子供についての話をしていたが。


 オサムは一種の産業革命を起こしていたのだが、大規模に行うつもりはなかった。

 鉄道などはまだ早い、他国を極力刺激せずに済ませたいと考えている。

 「まぁ、俺が出来るのはこのくらいだ。あとは道路や街を整備するくらいだな。」

 と締めくくった。



 リムルが王子に付きっきりなため、オサムの足は自然とロレーヌに向かった。

 もう殆ど城から出ないロレーヌのために国外や世界のいろいろな話をした。


 以外な事にロレーヌは読書家であったため各国から書籍を買い集め城内に図書室を作った。

 ロレーヌは喜び、オサムはそれが嬉しかった。

 

 オサムは週に数日気まぐれにメラススの塔に出かけては剣を使いこなせるように鍛錬した。

 数ヶ月の間平和な日々が続き、気がつくとオサムはレベル120のインペリアルセイヴァーとなっていた。


 「どうやら上限が無いようだな、HPが100万近くになっている。」

 戦いの中で確認した時にオサムはそれを知った。

 ビーツやクライアンに次々と新作を作らせては装備を試していた。


 「俺の装備好きは治らんな、作らせ続けるか」と言いながら城と換金所、ビーツやクライアンの工房を廻った。


 ビーツとクライアンの弟子たちは通常の装備を作るが、本人達は研究の日々だ。

 より良いものを求めて知恵と腕を揮っていた。


 オサムはオサムの方でまた忙しくなりそうだった。



 ある日のことロレーヌが

 「陛下はいらっしゃいますか?」とオサムが甲冑と剣のデザインをしている時に執務室にやって来た。


 「どうかしたか?ロレーヌ」とオサムが尋ねると

 「このところどうも体調が良くなかったのです、確信が無かったので陛下には言っておりませんでしたが」

 ロレーヌは気分が悪そうに見えた。


 オサムは

 「子が出来たのか?」と言うと

 「恐らくですが、しかしほとんど感じません。リムル様より軽いかと」とロレーヌが答えた。


 「しばらく休め、侍女も増やすしリムルや俺が行くようにする。」と立ち上がり

 ロレーヌを抱え上げ部屋まで運んだ。

 侍女に「ハロルドに侍女を4名にするように伝えてくれ、誰かは寝ずに見ておくようにと。」

 そう言ってオサムはベッド近くに椅子を持ってきて付いていた。


 「辛い中俺の相手をしてたのか?何故言ってくれなかった」とロレーヌの頭を撫でた。


 「陛下のお役に立ちたくて、申し訳ありません」


 「気付いてやれなかった俺が悪い。お前は騎士だから体力があっただけだろう?」

 「今日は用が無いのでこの部屋に泊まる、お前の横で寝よう。気持ちだけでも楽になるだろ?」

 とオサムはロレーヌを気遣った。


 「神聖魔法士を連れてこい、ロレーヌを眠らせる。」と侍女に指示した。

 

 「お前は体力が有る分無理をする、しばらくはよく眠れ。カッシュにも喉の通りやすいものを作らせる」

 そう言って、眠らせるまでずっとロレーヌの手を握っていた。

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