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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第5話 国王の計画

 オサムは各国から腕の良い職人や人材を引き抜いていた。

 当然、以前オサムの屋敷を作った棟梁も既に城下に住まわせている。


 城塞を広げ、先の城下の倍以上の広さにしたため、職人の数が足りなくなっていた。

 土木や建築、建造などで城下は活気に満ちている。


 王国は大陸の中でも非常に安定した国となっており、冒険者や移住者も増えている。

 法を遵守させるため、街を4つに割り、各地区に警察組織を作り正規兵に城下のパトロールもさせていた。


 オサムの世界のような近代国家にするのが目的である。


 雑多に入り組んでいた城下は道を整備し、大通りを作り外周に近い部分と城近くで様相を変えていた。

 商店や宿泊施設、直属の家臣などは城近くに置き、民衆は外周近くの区画へと住み替えさせ、スラムのような場所を作らないように作り上げる。


 土木や建築の職人は王直属の組織とし、会社組織に近い集団とさせた。

 最外周の城壁は完全に新規で作り直し石組みとマジックアイテムを混ぜたコンクリートで作らせている。


 港も大規模に整備を行い、交易に使える巨大な船もかなりの数を作らせた。


 郵便システムも確立させ、娯楽のための演劇場も作り楽団も揃えた。

 

 人口が膨張したため一時的に落ち着ける住まいも城下の外周付近に用意している。


 同時進行で城近くの庭園に巨大な屋敷を作り、迎賓館として城と繋げた。

 大量の資材と人員を投入し、王都は他国を凌ぐ最先端の都市となり、各王国の使者はその整った街並みに驚嘆を隠さない。


 王直属の兵以外にも多くの召使いや侍女、侍従、執事、文官を補充、教育し、

 王を頂点とする国作りが行われた。


 ざっと銀貨1億枚程度の巨大事業となる、維持に年間相当な額が必要だがグレイス王国なら問題はない。



 「これで文明的な街に仕上がったかな?」オサムは城の展望台から城下を一望し一息ついた。

 忙しく働いたため、さすがのオサムも疲れていた。


 しかしインペリアルセイヴァーの体はその程度で悲鳴を上がるわけがない。


 オサムは執務室からリビングに戻り

 「あー、やっぱり疲れるなぁこれだけのことを一度にやると」

 と言って長椅子に体を投げ出した。


 「お疲れですか?」とリムルとロレーヌがやって来てオサムの近くに座った。

 「ん、問題ないよ。少し頭を使っただけ。」天井を見上げながら

 「理想の国を作りたいから仕方ないよね」と言った。


 「陛下はいつものんびり過ごしていらっしゃったので、この数ヶ月は大変でしたでしょう」

 ロレーヌはリムルと同様にオサムを気遣ってくれる。


 「リムルの言うとおりロレーヌを娶って正解だったよ、良く俺を支えてくれたね、ありがとう」

 オサムは感謝していた。


 「そうですね、早くロレーヌにも御子を授けてあげてください」

 リムルは嬉しそうに言った。


 「いえ、私などにお気遣い無く。陛下に選ばれて娶って頂いたわけではないので」

 ロレーヌは自身の立場を理解していた。



 暫くするとクイードがやって来た。

 オサムは起き上がり「どうした?何かあったか?」と訊くと

 クイードの後ろに居たミーシャが姿を見せた。


 ミーシャはライツェン王国からロレーヌの儀式の際に王の一団と共に来たのだが、

 本国へ戻る際にどうしてもということでオサムが預かって居たのだった。

 数ヶ月に一度クイードが男爵家へ送り迎えしていたが、その際に気が合ったのだろう。


 「陛下、まだ時期は決めておりませんが、このミーシャを私の正妻としたく考えております。」

 クイードは決心した様だった。


 「うん、いいね。時期が決まったら城の大広間で儀式をしよう」

 オサムは即断した。

 クイードの巨体と比べるとかなり小さく見えるが、似合っているように思えた。


 「まあ座って、二人共」と言って座らせた。


 「あー、ミーシャはライツェン国の宮中の男爵だったなぁ、俺のクラッセ公爵領からも誰か呼ぶべきかな?」

 オサムは思い出し

 「こういうときはどうすればいいか知ってる?ロレーヌ?」

 ロレーヌに尋ねた。


 「ローレンダーク伯爵はグレイス王国の者ですから、グレイス国王陛下としてなさるのが良いかと」

 と言われたので

 「じゃあ、そうしようか。しかし各国に領地まだ持ってるんだったよなぁ、俺たち」

 全てオサムやクイード達の直属の家臣から信用出来る者達を置いているが、時々様子を見に行かねばならなかった。


 「ハンビィやタキトスに一度全領土を回るように言っておいてくれないか?クイードも出来るなら」

 オサムはここ数ヶ月そのことを忘れていた。


 「わかりました、今日からでも動ける者から」クイードは紅茶を飲み干した。

 

 「他に何か有るかな?変わったこと」オサムが尋ねると


 「何やらハンビィがファシリアを連れて冒険をしているようですが、それ以外は」

 とクイードが答えた時にヴィオラが紅茶を淹れ直した。

 「あぁ、タキトスはヴィオラを気に入っているようですね。」

 クイードが言うと

 

 「え!?」とヴィオラが反応した。

 「あ、ヴィオラ居たんだったな、すまん」とクイードが言うと


 「そうなのかぁ、じゃあヴィオラに男爵位を与えておく?ロレーヌどうすればいいかな?」

 と勝手にオサムが始めてしまった。


 「まだヴィオラの気持ちを聞いてませんのでなんとも」とロレーヌは答え

 「タキトスの事をどう思っている?」とヴィオラに訊いた。


 「陛下の次に尊敬しております、でも私は陛下の侍女ですし」

 ヴィオラがそう答えると


 「ふーん、じゃあまんざらでもないんだ?タキトスの事。屋敷の方に移るか?」

 オサムは勝手に話を進めていく。


 「ヴィオラ、誰かにタキトスを越させるように言ってきて。」

 


 しばらくしてタキトスがやって来た。

 「クイードも来てたのか?ミーシャを連れて?あぁ、儀式の話か?」

 タキトスは既に知っていたのでその件で呼ばれたのだと思った。


 オサムが

 「タキトスよ、なにやらヴィオラに関心があるようだな?クイードから聞いたが」

 と言うと


 「クイードお前、陛下に言ったのか?」

 タキトスは少し怒ったがオサムの前なのでそれ以上言えない。


 「ヴィオラをお前の侍女として、後々男爵位でも与えればどうだ?正室として娶れるぞ?」

 オサムは何も考えず暴走していた。


 タキトスは後ろを振り向きヴィオラを見て

 「そのようなこと聞いたことがありません」

 とタキトスが狼狽した。


 「俺はリムルに公爵位を与えて正室にしたぞ?俺はお前達がどうしようと文句は言わんが?」

 「ヴィオラ、どうだ?この話」とヴィオラに訊いた。


 「そんな、シュルツ様のご迷惑になります」

 ヴィオラは答えたが


 「ほら、ヴィオラが困ってるぞ?どうするタキトス?」

 からかい半分だがオサムは国王である。しばしばその立場を忘れるが。

 「わかりました、そのようにさせていただいて良いなら、ヴィオラはそれで良いのか?」

 タキトスは真意を確かめようとした。


 「ありがたい話ですが、その、正室ですか?私のようなものが聖騎士シュルツ伯爵様の?」


 「うむ・・・俺はそう望んでいるが、今日からでも我が屋敷に来てくれるか?」

 タキトスはやぶれかぶれになっていた。


 「じゃあ決まりだな、ヴィオラはタキトスの屋敷に。侍女としてではなく爵位を与えてもらえ、いや俺が子爵位を与えることにする。」

 オサムは楽しんでいた。クイードも笑いをこらえていた。


 「儀式はクイードとタキトス同時でいいか?ハンビィももしかするとだな」

 完全にオサムは遊んでいた。タチの悪い国王である。


 「ハンビィにも今度確かめてみよう、ファシリアだな、面白くなる」

 と言って紅茶を飲んだ。

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