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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
平和への道程
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第4話 国作りと幸福の中で

 一月程もするとリムルとロレーヌはかなり仲良くなっていた。

 そしてリムルに子が授かった兆候が見られたのでオサムは慌てて医学書を読み漁った。


 突貫で医学学校を城のすぐ近くに作り、オサムが読んで書記官に書かせていった。

 同時に全ての持ってきた書籍を翻訳するために翻訳係を数名作った。


 「完全に忘れてた、いちばん大事な事なのに。何のために買い集めたんだよ」

 そう独り言をして、他にも考えていたことを実行していった。


 水路及び水道設備や下水道の工事、ゴミ処理の施設、街の区分け、城壁のコンクリート補強、

 学校施設、訓練所、警察組織と消防組織の構築等、

 全てを一度に作り上げ、国の組織を日本風に作った。

 絶対王政に変わりはないが、出来るだけ日本的要素を入れるため法整備も行った。

 クイード達3人にも手伝わせ、必要なアイテムを取ってこさせていた。



 「疲れた」とリムルとロレーヌに漏らした。

 ロレーヌは

 「あれだけの事業をお一人で行えばお疲れになって当然です。リムル様も私も陛下のお体が心配です」

 もうすぐ式を控えているが喜びよりも不安を語った。


 「私は大丈夫ですよ。陛下もおやすみ下さい。ロレーヌも私がお相手出来ない間はお願いします」

 リムルは今ほとんど部屋から出ず、侍女が24時間、交代で付きっきりになっていた。


 オサムはどうしたら良いのかわからない状態の中で精一杯動いた。

 ほとんど城から出ずに、用があるときはその者を呼びつけた。


 昼はずっとリムルの側に居り、ほとんど毎日隣の部屋で寝起きした。

 時々ロレーヌのところへ気遣って行くが「早くお戻り下さい」とロレーヌに急かされる。


 ロレーヌはロレーヌで式の延期を決めてマンセル子爵と連絡を取っていた。



 やっとリムルの体調が安定した時にオサムは安心した。

 「俺が慌てたせいで色んな人に迷惑掛けたなぁ」オサムがそう言うと


 「もう大丈夫ですよ、触ってみますか?」とリムルはオサムの手を取って腹に当てさせた。

 「俺も父親かぁ」全く考えていなかったがいざそうなると重圧がのしかかってきた。

 国を作った時よりも重いプレッシャーだった。


 リムルがそんな状態の時に常に傍でオサムを支えたのはロレーヌだった。

 オサムは間違いなくロレーヌに甘えていた。

 そしてロレーヌの大切さがよく分かるようになっていた。



 城下の工事は着実に進み、即席の医師も数人用意出来た。

 神聖魔法士を中心にした魔法団を作り治癒魔法を覚えさせて準備を整えた。


 幸いなことにこの世界は魔法で成り立っている。


 精霊の力を借りる事も出来、

 オサムの去った世界の中世とは違い出産で命を落とす者は極めて少ない。

 それでもオサムは100%の保証が欲しかった。

 グランパープルに行き、守護者に頼み込んで守護の腕輪というものも貰った。

 とにかく今出来ることを全てやったつもりだ。


 

 そしてようやくロレーヌの祝福の儀式の日がやって来た。

 ライツェン王国とグレイス王国の間にはグリオン王国とレギオーラ王国があった。

 レギオーラ王国はともかくグリオン王国とは直接戦った過去がある。


 「話を付けてくるか」とオサムは単身グリオン王国に飛んだ。

 「グレイス国の王だが、頼みがあって参った。グリオン王陛下と話がしたい。」

 そう言うとすぐに王の間に通された。


 「これはグレイス陛下」とオサムに膝を付き

 「どういった御用でしょうか?」とグリオン王は頭を垂れながら尋ねてきた。


 「過去の遺恨も有るかとは思いますが、我が側室の祝福の儀式のため

  ライツェン国より祝いの者が来るのですが、貴国の領土を通らせて頂きたい」

 オサムがそう言うと

 「わかりました、グレイス陛下。警護が必要であればこちらで出しますが。」

 グリオン王はそう言ったが

 「いえ、警護は我が家臣クイードに行わさせますので、領土の通過の許可だけを頂きたく参りました」

 オサムが言うと

 「では、ご自由にお通りください。全ての者に伝えておきます。」グリオン王は顔を上げない。

 「どうか顔をお上げください、私はグリオン陛下と同じくただの王です」

 オサムは説明したが

 「グリオンとグレイス陛下の国では格が全く違います。」

 

 「少々お待ちを」と言いその場で通行証を書き上げてオサムに手渡した。

 「感謝します。」オサムは言い残しマンセル子爵にその通行証を持っていった。

 

 同じくハンビィを使者としてレギオーラ王国に遣わせて通行証を貰いマンセル子爵に届けさせた。



 「ふぅ・・・これで準備は整ったかな?」

 オサムはリムルとロレーヌに話した。


 ロレーヌは申し訳なさそうに

 「私の我侭から陛下にご迷惑をおかけしまして申し訳ありません」

 と言うが

 

 「俺は出来ることをしただけだから気にせず儀式を楽しみにしときなよ」

 と、相変わらずリムルの膝に頭を乗せて横になっていた。


 「何人来るんだろうね?多分他国からの使者も来るだろうし・・・」

 「500人くらいなら大丈夫、カッシュやユゼムが居るし、他の料理人もかなり居るからね」

 


 案の定当日の昼にはライツェン王国から150名と少し、各国からも300名程が列席した。

 オサムはその様子を見て

 「新しく教えた料理喜んでくれるかな?」としか考えていなかった。


 儀式は無事に済み、ロレーヌの指は「ロレーヌ・デル・グレイス」と刻まれたピンクゴールドの指輪が飾っていた。

 以前作っていたゴールドの指輪は既に「リムル・メル・グレイス」と刻んでリムルに渡してあった。


 祝いの夜会が開かれていたが、少し風に当たろうとオサムはバルコニーに出た。

 そこにはライツェン国の夜会で出会ったミーシャが居た。


 オサムは近寄り「このような宴はやはり苦手ですか?」と訊くと

 「これはグレイス陛下。外に出たくて父に無理を言って参りました」と儚く微笑んだ。


 『これは偶然にしては出来すぎてるな』と考えて

 大広間に戻り「クイード、タキトス、ハンビィ居るか?」と言うとすぐに集まった。

 「バルコニーに来い、紹介する」と言って強引に連れ出した。


 「ミーシャ・ツォレルン男爵令嬢だ、美しい方だろう?」とだけ言った。


 ミーシャは

 「この御三方は?」と尋ねてくるので

 「我が家臣でありグレイス王国の礎の3名です。未だに正室も側室も居らず困っていまして」

 と3人に意地悪く言った。


 「では皆様聖なる騎士様ということでしょうか?」ミーシャの質問に

 「いえ、そう呼ばれていますが、本物の聖なる騎士は陛下ただお一人です。我々は遠く及びません」

 クイードがそういうと


 「お名前は?」と聞かれたので


 「私はクイード・ローレンダークと申します。こやつがタキトス・シュルツそしてハンビィ・ストワード」

 「陛下の御厚情により伯爵位を頂いております。」


 雑談の間にオサムの指示でバルコニーにテーブルと椅子、食事と飲み物が運ばれてきた


 「まぁ座って少し話すと良い」と言ってオサムは大広間に戻っていった。


 バルコニーの様子に気がついた若い娘たちが数人出ていった。


 オサムは給仕の召使いにバルコニーを指をさして見ておくようにと伝えた。

 そしてロレーヌのところへ戻り、歓談の相手を務めた。

 身重のリムルは儀式が終わるとすぐに部屋へ帰らせていた。



 「ロレーヌ、お前はこういうのは苦手だったんじゃないか?」と訊くと

 「いえ、陛下に感謝するばかりです」と答えた。


 暫くすると楽器を持つ者たちが現れて曲を奏でだした。


 出席者が華麗に踊る中、クイード達も戻ってきてダンスをしていた。

 「ミーシャを射止めたのはクイードか」とオサムは嬉しそうに言った。

 ロレーヌも

 「タキトス様もハンビィ様もお相手を見つけたようですね」

 楽しげに微笑んだ


 「陛下」とロレーヌがオサムの手を握り

 「私は幸せです、女として」とだけ言ったままオサムの手を優しく包んでいた。

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