60話 悪夢の始まり
この世界の守護者って一体どういう意味なんだろうな?
それにこのエンフォーセ?
オサムは考えるのをやめた。
出来ることをするだけでいい。
結局ファシリアはオサムの家で預かるということになった。
大所帯になったとはいえ部屋が相当余っているからだ。
それにクイード達が立派な騎士になったので、護衛にも丁度良かった。
新しく従者になった連中も剣士レベルは既に60を越えている。
貴族の令嬢のため、部屋は客間の1つをあてがうことにした。
その頃、大陸は王位継承や領土拡大などの戦争が各地で起きていた。
幸いライツェン王国は3方の隣接する王国が手出ししてこないため平和であった。
そのためか人々が王国に流れ込み、人口は増える一方だ。
そして奇妙な噂も人々と共にもたらされた。
大陸の南の大国グリーシアが何者かに攻撃されていると言う。
交易路の重なる場所にあるため、豊かで平和な国である。
周囲に敵対する大国も無いので安全なはずだ。
オサムは様子を見に行くことにした。
いや、何かが起きているのなら見に行かなければならない、守護者として。
オサムはリーファを呼び
「少し長旅だけど頼むね」とグリーシアへ飛んだ。
リーファはドラゴンより早く空を駆ける。
考えていたより早くグリーシア帝国に到着した。
見たところ帝都に異変は無いようだったが、活気がない。
オサムは指輪を外し、グリーシアの帝都に降り立った。
騎士や戦士に取り囲まれたが、戦意はなく皇帝に会いたいと言うと、
まず庭園で待つように言われた。
流石に大国だけあって、広大な庭園である。
城が20は建つだろう。
鎧のまま寝るのは慣れているので、庭園の芝生に寝ていた。
1時間程経った頃だろうか、飽きて帰ろうかと思っていた時
行列を従えてグレーシアの皇帝がやって来た。
「グランチューナー様、お待たせして申し訳ない」
そう言われ、何故知っているのか疑問だったが訊かないことにした。
オサムは
「この国で異変が起きているとか聞きましたのでやって来たのですが」
そう言うと
「南の方、辺境の洞窟から強力なモンスターが地上に出てくるようになりました。
既に数千の兵や騎士が戻ってきませぬ。」
一息置き
「世界の均衡が崩れているのやも知れませぬゆえグランチューナー様、
頼めますか。」
そう言われたので
「それが私の神々に仰せつかった役目ですので、調べてきます」
地図をもらいリーファでその洞窟を上空から見るとモンスターがゾロゾロと出てきていた。
「おいおい、真っ昼間からこんな大量にでてくるか?」
「リーファ、俺飛び降りるから少し低く飛んでくれる?」
と言うと下降し、洞窟前でオサムを下ろした。
すぐにオサムは戦闘態勢を取りターゲットスイングで周囲の敵のヘイトを煽った
わらわらと押し寄せるモンスターを倒しながら、
『ボスクラスの敵が居ない?これだけで数千の兵や騎士がやられるとは思えねーな』
そう考え、ダンジョンに入ることにした。
地上のモンスターは見える限りほぼ片付け、オサムは洞窟に入っていった。
そこはまさにモンスターハウス状態で「こりゃヤバイわな」と斬り込んだ。
見る限り単純なダンジョンのようなので一直線に剣を振るい続けた。
しかし目の前の階段からどんどんと上がってくる。
中にはハーピーやゴブリンキング、イビルデーモン等のボスクラスの敵も居る。
オサムは強引に道を作り、2階層へと降りた。
相変わらず大量のモンスターが広間を埋め尽くしていたが、スキルを使い全滅させた。
そして、3層目に降りた時違和感を感じた。
普通ダンジョンは暗闇ではない、ぼんやりと光る鉱石等である程度は見えるはずである。
オサムはナイトウォーカーの目も装備しているので明るく見えるはずなのだが、
奥の方が全く見えない。どうやらモンスターはその暗闇から出現しているようだった。
斬り進んでいくとその暗闇、というより暗黒の空間からモンスターが出てくる。
『出てくるってことは入れるのか?』
オサムは入ろうとした。その瞬間光が散り、その暗闇が消えていた。
「なんだぁ?」と驚き周囲を見回しても何も無い。
モンスターは出てこなくなり、周囲は残されたモンスターだけだった。
オサムはグリーシア帝都の城に戻り詳細を話した。そして
「グランパープルに行ってこの現象を確認してくる」と言い残しリーファで向かった。
グランパープルの神殿に降り”守護者”に説明すると
「予想より早く穴が空いたようじゃな」と言われた。
「穴ですか?どこにつながっているのでしょう?」オサムが訊くと
「わからぬ、しかし700年前には巨大な穴からダークドラゴンが襲来した。
その時は以前のグランチューナーが片付けたが、世界の不均衡がもたらすものだと言っていた」
『え?この人一体何歳?』とオサムは思ったが
「ダークドラゴンね、来るなら戦いますよ、それが務めなら」
オサムの言葉に”守護者”は反応し
「気を抜かず世界を見ていてくれ」とだけ言って黙った
オサムは王都へ行き、王にも訊いてみた。
「おそらくグランパープルから全ての国に連絡が行っているのだろう」
と言われた。
「すべての国、か」と呟きオサムは屋敷へ帰っていった。
「しかし、700年前。自分とも関係ありそうな言い振りだったよなぁ」
そもそも何故自分が選ばれたのかもわからない。
答えが出ないときは寝てしまおう、それがオサムのストレス解消法だった。




