50話 新たな日々と黒騎士伝説の始まり
オサムはめでたくリムルを妻にしたが、問題が2つあった。
1つは侍女長が居なくなることだ。エリスにはまだ早いが、リムルが教えるわけにも行かない。
2つ目に屋敷の改装が必要になる。
伯爵に頼んで1名侍女に来てもらった、元々のリムルの同室の侍女で、ヴィオラ・ポートレというリムルの後輩だ。
屋敷は以前の棟梁を呼んでリムルの部屋を取り壊し、部屋を広げることにした。
早速頼んだので改装に関しては5日程度で終わるだろう。
次はハイドステータスの指輪のサイズを変えてもらうため、ビーツのところに行った。
これは出来上がるまで鍛冶屋に居ないといけないが、すぐに一回り大きくして右手の中指のサイズに変わった。
他にはこれと言ってすることはなかったが、オサムはその立場に見合う武器を発注した。
これにも多くのレアアイテムをつぎ込んだ。
2メルトを超える長大な両手剣を片手で扱えるようになったオサムの力は魔剣以外の武器は破壊してしまう。
巨大なバトルアックスと巨大な両手剣を頼んだ。やはりどちらも黒い装備とした。
また、儀礼用だが戦闘も可能な甲冑、そして黒い甲冑の最新物も注文した。
そして、それらには城のガース書記官や魔法に詳しい者の協力を得て魔石をふんだんに使うことにもした。もちろんレアアイテムも大量につぎ込む。
そのために魔石の採れるというダンジョンに行くことにした。
伯爵領の一番端、グリオン王国と接する場所だ。
徒歩で行くと3日は掛かるが、ペガサスなら1時間もかからないためオサムはそのダンジョンへ向かった。
かなり強力なモンスター特にナイトメアが多数出るということだが、オサムには関係がなかった。
むしろナイトメアを召喚できるアイテムであるナイトメアの呼び笛を入手したかったのだ。
戦場では今の馬では脚も持久力も保たない上、馬を攻撃されればひとたまりもない。
その点ナイトメアであれば全く心配はなくなる。
しかも敵への威嚇にも十分に使えるのでどうしても欲しい品だった。
しかし、
オサムはダンジョンに入る前に上空から見ていると進軍してくる一隊があった。
数はおおよそで1000程度だ。その道の先には小さな町があった。
確認のため、低空で近づくとそれはグリオン王国の部隊だ。
「クソ、今度は伯爵の領地に侵入してきやがったか」とオサムは怒りを覚えた
そして、ギリギリの高度で部隊の上を飛行し、威嚇した。
しかし敵はオサムには気が付かないので、部隊の先頭の騎士の前に降りた。
ペガサスを降りて地上に立ち、ロードブレイドを抜いた。
両手用の剣だが、片手で軽く持てるため楯も装備した。
先頭の敵が「く、黒騎士だ!」と慌てたが後方が進んでくるため前に進むしか無い。
敵はオサムのステータスを見ようとしたが見えないため偽物と判断したのかもしれない。
戦闘態勢を取った。
オサムはその時、風のような速さで斬り込んだ。
まずは馬を奪うため騎士一人を叩き斬り、そのまま騎乗した。
そこからはこの間のようなものだ。しかもオサムはあの時よりかなり強くなっている。
無言のまま最前列の十数騎を一瞬で斬り倒した。
「デモンスラッシャー!」と剣を振ると赤い剣撃が無数に飛び数十人が倒れた。
「ウィンドスラッシュ!」横一線の剣撃が飛び、それでまた数十人が倒れる。
しかしそれはオサムにとって威嚇に過ぎなかった。
前列はほぼ一掃したため、敵の後方に向かって突き進んだ。
あとに残るのは無数の敵の骸だけである。
1000人もの部隊が10分と立たず最後列の100人程を残すのみとなった。
『このことを伝えさせるためには少しは残さないとな』とオサムは考え、
10騎程度を残して全滅させた。
一番豪華なプレートアーマーを装備した者の前に残った騎士が並び、防御陣を敷いた。
「あいつが大将だな?」オサムは呟いた。
オサムは「見逃してやっても良いが、どうする!」と叫んだ。
すると見る限り一番強いのであろう巨躯の騎士が巨大な斧を振り上げ突進してきた。
オサムはあえてその強烈な斬撃を剣で受け止め、跳ね返した。
斧は回りながら宙に舞い、ザクッと地面に刺さった。
次の瞬間オサムはその騎士を甲冑ごと真っ二つに切り裂いた。
「次は!誰でも良いぞ!全員でかかってこい!」とオサムが吠えると
ジリジリと距離を取り始めた。
オサムは敵から5メルトの位置まで近づき
「我が名はエリトール!ライツェン王国フルグリフ伯爵の筆頭騎士だ!黒騎士と呼ばれている!」
続けて、
「このような蛮行を行うのであればこの身一つで城の1つでも2つでも落としてやる!」
その黒騎士という言葉と見せつけられた戦闘によって敵は戦意を喪失したようだ。
豪華な甲冑の騎士が
「ひ、引けば見逃してくれるのか?」と訊いてきたので
「この場は見逃してやる、しかし、お前達の領地までこのまま進み城を3つ落とす!」
オサムは本気だった。単身で城を落とす。それがどんな伝説を作るかはわかっていた。
しかし、放置しておけばまた攻めてくるおそれがある。圧倒的な恐怖を与えるしか無い。
「わかった、この場は引く、見逃してくれ」敵の大将が言ったので
「では行け、帰った頃にはお前の城は落ちているだろうがな。」
敵に言葉が届いたかわからなかったが一目散に引き返していった。
オサムは馬を降りて、ペガサスを呼んだ。
騎乗し、グリオン王国の中で一番近い城を見つけた。城塞都市である。
オサムはあえて城塞の外に降り立ち、固く閉ざされた門を一閃で叩き斬った。
門の番兵は「く、黒騎士!」と叫び城へと走っていった
そのままゆっくりと歩きながら10分程度で城門に着いた。
矢が雨のように降ってくるが楯で防ぐこともなく城門を叩き斬った。
力を入れすぎたのか、門の上の石の砦も崩れ落ちた。
「我は黒騎士!この城を今から落とす!」と宣言し
「女子供は隠れておれ!歯向かうなら遠慮なく斬る!」
と叫びゆっくりと歩いていった。
矢が効かないとわかったのか、城の前にずらりと200人程度の騎士や戦士が出てきた。
オサムは駆け出し、その全てを斬り伏せた。
血まみれのまま、今度は城の門を斬り開け中の柱や壁を切り崩して行くと、城が音を建てて崩れた。
『げ、やりすぎちゃったかな?』と考えて落ちてくる石を楯と剣で払い除けながら進んでいった。
大広間に行くと、侍女や文官、子供等が集まって怯えていた。
上を見るとそこに天井が崩れ落ちてきた。
オサムは走り、そこに居た侍女や子供をその身を楯にして守った。
「早く逃げろ、これ以上は何もせぬ!行け!」とオサムが言うと、全員が城の外に出ていった。
オサムは3階のテラスから地上へ飛び降り、「女子供で怪我をした者は居るか?」と執事のような男に尋ね、その男は黙って首を振った。そして「ぜ、全員無事です」声を振り絞ってそう言った。
「ならば良い」と城の門、今は瓦礫の山だがそこから歩いて出ていった。
ペガサスを呼び、次の城を目指した。ガーミング伯爵領に攻め込んだ部隊の城と思われる城塞が眼下に見えた。
オサムはさっきと同じ方法で城を目指した。
今回は矢が飛んでこない。
代わりに「黒騎士だー!黒騎士が来た!」と城内がパニックになっているようだった。
前の城と同様に門を破壊し、城の前に立ち
「女子供戦闘の出来ぬものは外に出ておけ!今からこの城を破壊する!」
と、言ってから「ジャイアントキル!」と城の入り口を破壊した。
暫く待つと、ぞろぞろと女や子供、およそ戦闘は出来そうにない者が庭に出てきた。
「下がっていろ!」と叫び城の中に入り騎士や戦士をなで斬りにしながら最上階に着き
そこから破壊の限りを尽くした。
外に出て見た時はもうそれは城ではなく瓦礫となっていた。
オサムは皆が集まる城の庭にペガサスを呼び、そのまま飛んでいった。
更に少し戻ると、中間に大きな城があったので、同じ方法で城を崩した。
『3つ、これで敵国の中央に情報が届くだろう。』と考えて、最初の目的であるダンジョンへと向かった。




