47話 平穏の日々の戦い
オサムはその日、また朝から甲冑を装備していた。
ビーツの新作でかなりの重装甲だが非常に動きやすい。
以前の甲冑とデザインは似ているが、オサムがデザインしたので仕方がない。
それより、数々のレアアイテムをふんだんに使用した甲冑と楯を試したかった。
腰に下げた剣はグランブレイブ、背中に装備するのはロードブレイド。どちらもビーツの新作だ。
しかしまだ装備レベルには達していないため、背中にマールドライヴを装備していた。
またアレシャルの塔へ行き、ある程度のレベルまで上げて帰ってくるつもりだ。
完全装備状態で部屋から出て2階から居りてきたオサムを見て
「また行かれるのですか?」とリムルが寂しそうに訊いてきた
「今回も何日か留守にするけど、安心して待っててね?リジェネリターンの魔石も持ってるし、帰還アイテムもあるから」
リムルの頭を撫でて「多分すぐ戻るよ」と出かけた。
『これ、今までで一番イカツイ甲冑だよなぁ、自分で言うのもなんだけどカッコイイ♪』
と考えながら街を歩いて城外へ出る道すがら
「黒騎士様だ、エリトール様」と声が聞こえたが無視した。
城外へ出てしばらく歩き、ペガサスでアレシャルの塔へ向かった。
塔を目の前にして
「さぁ、グレートドラゴンはどうしようか、今回はやめとこう。ユースプリズムは確か85階層だな」
と独り言をして、塔に入った。
マールドライヴを抜き、楯を持ち階段を降りていった。
ゴブリンナイト、レイス、ハーピー、リザードナイト、ミルジャイアント、リッチーと順調に倒し
ヒドラ、ワイバーン、ダークエンジェル、と倒していくと初めのうちは順調にレベルが上っていった。
「よし、この調子だと30階層辺りでレベル20だな。」
そしてブラスドラゴンを倒した時にレベル20になった。
オサムはマールドライヴからグランブレイヴに持ち替え、1日目で40階層のブルードラゴンまで倒した。
41階層は安全階層のため1日目の睡眠を取った。
「さぁ、ここからだな。」
既にパーティーを組んでもほとんど誰も来られない場所まで来ているが、50階層のレッドドラゴン、60階層のクリスタルドラゴンを倒した時に気がついた。
「この鎧、自動でHPが回復してるな、楯も相手の攻撃を跳ね返してダメージを与えている。」
とんでもないとは聞いていたが、本当にとんでもない装備だった。
その後もう1日休息を取り、70階層をクリアし、ついに80階層のシルバードラゴンの所まで来た。
以前はだいぶ時間がかかったが・・・
シルバードラゴンを切り伏せるまでに半分の時間もかからなかった。
しかし、やはり手強い。
次はゴールドドラゴンだな。と90階層に辿り着いた。
「前みたいに苦労せずに倒せるか?」と呟きながら
付加スキルや剣士、騎士、ロードナイトのスキルを使い、やはり半分程度の時間で倒せた。
「この装備をコピーされたドッペルゲンガーは危ないな、やめとくか、かったるいし」
そして、グレートデーモン、ウィンドチャンク、フフスト、ハミアンと倒した。
ドッペルゲンガーの出現する98階層には降りず97階層で少し休んだ。
そして十分に時間を取ったあと階段を上るとハミアンが復活していた。
「リジェネレートは終わってるな。じゃいきますか?いきますとも!」
などと一人芝居をしながら登っていった。
そして、2往復目にグレートデーモンを倒した時にレベルが50になった。
90階層のゴールドドラゴンの手前でロードブレイドに持ち替えた。
両手剣のため楯は背中に掛けた。
『何回目の対決になるんだったっけ?』と考えオサムはゴールドドラゴンに切りかかった。
勝負は10分もかからずに終わった。
「かなり強くなってるな」
オサムはどんどん戦っていった。
3日掛けて降りた塔を1日程で往復できる。
数日を塔の往復に費やした。
塔を出てきた時レベルは61になっていた。
「十分だな、ビーツに言われたものもたっぷり取れたし。」
とペガサスに乗って街まで帰った。
日が落ち、夜になっていた。
オサムは換金所に立ち寄り「換金してくれ」とガシャドサっと無造作に晶石をカウンターにぶちまけた。
「エリトール様、本日は567万9000枚となります」驚きを隠しもしない受付嬢に向かって
「では2万枚だけ換金を、他は預かっておいてくれ」と言って2万枚の銀貨を革袋に入れ、マジックバッグに入れた。
オサムは屋敷に戻り
「帰ったよー」と言うと
やはりハロルドが「おかえりなさいませ、お館様」と迎えてくれた。
武器と楯をソファーに立て掛け、広間のソファーに腰掛けて
「クイード達3人が居るのなら呼んでくれるか?ハロルド」と言うと
「わかりました」と3人を連れてきた。
いつも時間がずれるため久しぶりに3人の顔を見た。
兜を外し、サイドテーブルに置き
「紅茶を淹れてもらってくれ」とハロルドに言うと、エリスが紅茶を運んできた。
「さて、お前達はどのくらい強くなった?」と言ってじっと3人を見た
「ほう、剣士レベルが皆90を超えているな?」と言うと
3人は
「99で騎士になると決めております、ご主人様のように強くなるために」
と口を揃えて答えた。
「その意気や良し。ところで今俺はどうなっている?見てみろ」
と3人に言うと、3人はオサムをじっと見た。
「ロ、ロードナイト!?レベル61!?」3人が驚いた。
「ははははは、俺も頑張っている。エリトール家は閣下の筆頭騎士だ」
一息ついて
「それは、こういう意味でもある、覚えておけよ」紅茶を飲みながら話した。
3人はピクリとも動かず呆然と「は、はい」とだけ答えた。
「では良し、しかし絶対に無理はするな?これだけは命令だ」
そう言って
「すまんが、剣と楯を部屋に持って上がってくれるか?」と3人に言って兜だけを持ち2階へ上がっていった。
3人はその後につづいて部屋に入り剣を武器用のクローゼットに立てかけた。
「ご苦労。」と一言言って、「みんな、部屋に戻って良いよ」と見送った。
入れ替わりにリムルが入って来て
「おかえりなさいませ、ご主人様」と鎧を脱ぐのを手伝ってくれた。
「こないだと同じ場所に行ってきたんだけど、半分の日数で大丈夫だったよ。」
ニコッと笑ってリムルに言った。
「でも、ご主人様が留守の間は寂しかったです。」
リムルは自分用の椅子に座り、オサムに寄り添っていた。
オサムが
「リムル、さっきご主人様って言ったな?」と言うと
「はい、ご主人様ですので」と嬉しそうに答えた。
「俺はもうリムルのご主人様ではなくなる」と銀の一組の指輪を見せた。
「ご主人様ではなくなります?」
リムルは黙り込み、しばらくして
「それは・・・?」と何も言えない状態だった
オサムは小さい方のリングをリムルに渡し
「リングの裏の刻印をみてみて?」と促した
「リムル・・・デル・・・エリトール・・・」
「うん、ビーツに作ってもらってたんだ、気に入ってもらえると嬉しいんだけど」
と言う前に
「ありがとうございます!」とリムルがまた抱きついてきた。
「ちょ、ちょっと、祝福の儀式はまだ決めてないけど、
明日閣下に頼んでくるからさ、それが済めば俺はリムルの旦那様だよ?」
「わかっています、わかっていますけど・・・」
リムルは泣きじゃくってしまった。




