46話 日々の些細な出来事
次の日の朝になり、オサムは目が醒めた。
相変わらずリムルは早く起きて拭き掃除等を行っている。
オサムは
「リムル、ちょっとおいで」ベッドから起きてトランクの方に向かった。
「どうかされましたか?ご主人様」とリムルが寄ってきた。
「昨日は鏡を渡しただけだけだけど、お菓子とかアクセサリーとかもあるんだ」
ゴソゴソと荷物の中から箱を出し、サファイアやアクアマリン等のペンダント、
置き鏡とヘアアクセサリも取り出した
「はい、これね。」とリムルに渡すと
リムルは
「これはあの、異世界の宝石ですか?」と訊いてきた
オサムは
「そんなに高価な物じゃないけど、どうしてもリムルに付けてほしくてね」
そう言ってから
「あ、その箱は食べ物だから、多分気にいると思うんだけど一つ食べてみて?」
と続けた
リムルはゆっくりと包装紙を丁寧に剥がして、蓋をあけると色んなチョコが並んでいた。
「見たことのない食べ物ですね、でもいい香りがします。」
そう言うと、一つ手に取り口に入れた。
食べ終わると
「ご主人様、なんですかこの食べ物は!?美味しすぎます!」
ちょっと興奮気味にリムルが言った
「ははははは、気に入ってくれたね、良かった。」
オサムは嬉しくなった。
「ペンダントはどうかな?」
と言い終わる前にリムルはそれをじっと見ては別のものをまた見ていた。
「素敵な色ですね、でもこれはなんだか不思議な色です。」
リムルが手にしていたのは夜光性のものだった。
「あ、それは一番安いんだけど、こっちの世界じゃ絶対に手に入らないものなんだよ。」
オサムが説明したが
「全部全部私の宝物です♪」喜んで、そっとチョコの箱の上に置き
「ありがとうございます!」オサムに抱きついてきた。
普段そんな事をしないリムルだから余程嬉しいんだろうな、とリムルの頭を撫でた。
しかし、はっと気が付き、リムルは離れようとしたが。今度はオサムが抱き締めて離さなかった。
数日の間、ゆったりとした時間の中でオサムは幸せに過ごしていた。
『指輪ができたら伯爵に頼んで祝福の儀式とやらを準備してもらおう。』
綿や絹で自分やリムルの服を多く作らせている。
街を歩く時の服は特注で布地の間にカーボンアラミドファイバーと言う防弾防刃の生地を挟んである。
数十人のフル装備の剣士に囲まれたところでレイピアや短剣で皆殺しには出来る。
そんな騎士には本来必要の無い服なのだが。
それはオサムの純粋な趣味の問題だった。
アニメの見過ぎで若干だがミリタリー系の趣味も入っていた。
ロレーヌとリムルに少々アクセサリを渡した時に薬指のサイズを測ってある。
リングゲージを使って9号であることは確かめた。
これで修正は要らない事がわかっていた。
そろそろ出来上がる頃か、とオサムは街へ降りてビーツの鍛冶屋へ向かっていた。
街の中ですれ違う冒険者達の数人がオサムのレイピアを見ては驚く。
恐らくレベルを見ているのだろう。
装備レベルは95レベルの騎士だ。
ビーツの若手職人が昨日屋敷に届けに来た。
同時に
ロレーヌの甲冑と剣
クリューズの甲冑と楯
エリトールの紋章が入った白銀の甲冑と楯、それに合わせた剣
他にも様々な剣が届いた。
あとはロードナイト専用の甲冑と楯、剣を数本
それに指輪がまだ出来上がっていないだけだ。
オサムはビーツの店に入った。
カウンターにビーツが居り、レンズで何か小さなものを見ている。
「よぉ、ビーツ」と声をかけると
「エリトール様、ちょうどよいところに」と言い
「リングが出来上がりました、とんでもない硬さでしたよ、苦労しましたわい」
と、4つのリングと3つのペンダントを並べた。
オサムは銀色の方の指輪とペンダントを手に取り裏に彫られた文字を見た。
リムル・デル・エリトールと刻まれていた。
他の物を見るとまだ何も刻印されていなかった。
「ご注文どおりでしょうか?」とビーツが尋ねてきたので
「そうだな、文句のつけようがない出来だ。」とオサムは答えた。
「他の指輪やペンダントに後で刻印を入れることは出来るか?」
オサムが訊くと
「1日あれば出来ます」とビーツは答えた。
『ビーツほどの腕の職人が刻印だけで1日も掛かるとはどれほど硬いのだろう?』
オサムはそう考えながら腰のポーチに指輪とペンダントを入れた。
「そうか、その時はまた持ってくるので頼む」
帰ろうとした時に
「あ、ビーツよ、訊いておきたい事があったのだが」とオサムが言うと
「はい、何でしょうか?」とビーツは答えた。
「鍛冶に必要な道具か材料はあるか?例えばミノタウロスの鎚とかだが」
道具で装備の出来が変わるとなれば、ビーツに渡しておかねばならない
既にビーツにはミノタウロスの鎚3本を始め
グレイトジャイアントの金床
フェニックスのたてがみ
ドラゴンスパイダーの糸
等を渡してある。
そうですね、
「ミラージュシャドウの刀身があれば細かい作業がやりやすいのですが、
あとはユーズプリズムの粉ですかねぇ」
と笑いながらビーツが言うので
「分かった、そのうち取ってくる」とオサムは店を出た。
店を出て城へ戻っていくオサムを見ながら
「取ってくるって・・・ミラージュシャドウやユーズプリズムっていやぁドラゴン以上のモンスターって聞くのに」
と呆然と独り言を言っていた。




