43話 最強ドラゴンとの対決
リムルとの幸福な日々を過ごす前に、オサムには必要な物があった。
シルバードラゴンとゴールドドラゴンの角と鱗である。
最高級の金属性素材であり、ミノタウロスの鎚でしか打つことが出来ない。
リムルのためにせめて最高の指輪を作ってやりたかったのだ。
国宝級の宝物のため世界にいくつも存在しない、作るしか無かった。
その為には今手持ちで最強の剣であるマールドライヴを使う必要があった。
騎士レベル80の武器である。オサムにはまだ使いこなせない。
その夜からまたオサムの戦いが始まった。
オサムは部屋に侍るリムルに向かって
「ちょっと欲しいものがあるんだけど、また1週間位冒険してくるよ」と言った。
リムルは
「まだお持ちじゃないものですか?危険な場所に行かれるのですね?」
不安を隠さなかった。
オサムはその不安を消すために
「今回はリジェネリターンの魔石を装備してるから、死ぬことはないよ?
換金所に送還されるだけなんだ。かなりのレアアイテムなんで使わないで置いてたんだけどね。」
「そうなんですか?それなら安心ですね。」とリムルは微笑んだ。
「じゃあ鎧を着るから手伝って?」
とオーガナイトの腕輪とグレイトジャイアントの指輪を装備した。
どちらもストレングスと最大HPを大幅に上げる効果を持つ。
『ちょっとしたチートアイテムだよなこれ』と考えながら鎧を着ていった。
腰にダークブレイブ、背中にマールドライヴを装備し、最強のシールドであるシャフルガードを持った。
現在持っている最強の装備でオサムは夜、城を出た。
目指すのは”アレシャルの塔”と呼ばれる最強ダンジョンである。
地上部分ももちろん強敵が出るのだが、地下深くは並の騎士程度では攻略できない。
オサムは70階層までは行ったことがあるが、それ以上は進めなかった。
目指すのは80階層以上になるだろう。
シルバードラゴンやゴールドドラゴンを見たという話は聞いたことがなかったが
居るのであればあの奥深くのはずだ。恐らく何日も中で過ごすことになるだろう。
オサムは装備だけではなくアイテムも最高のものを用意していた。
屋敷を出て、城外へ、そしてアレシャルの塔まで最短経路で向かった。
道中には強敵が出るが、オサムは興味が無かった。フィールドボス程度ならほぼ無傷で倒せる。
アレシャルの塔に到着した時にオサムは自分のステータスを見た、やはりまだ80にはなっていない。
塔の1階安全圏で一休みし、地下に潜っていった。
この地下はマッピングは必要なく、各階層にボスクラスのモンスターが控えているだけだ。
10階層ごとにワープポータルがあり、地上に出るのも苦労しないのは助かる。
地下1階に降りた時、先客が戦っていた。3人パーティーのようだ。ゴブリンナイトと戦っている。
部屋の反対側に階段があるので邪魔をしないように歩いてその階は素通りした。
地下2階に降りるとレイスの部屋だ。オサムは群がるスケルトンを片付け、レイスもあっさり倒した。
地下40階くらいまではあまり苦労することはないだろう。
地下30階を抜けると途中にモンスターの居ない階層があるので休みながら降りていった。
ブルードラゴンの出る40階からは少し気をつけて戦うようになっていた。
このあたりになると特殊攻撃をしてくる敵がやたらと増えてくる。
オサムはもう丸2日ダンジョンの中に居た。自分のステータスを見るとレベルは80を超えていた。
ダークブレイブを腰の鞘に戻し、マールドライヴを背中から抜いた。
70階に達し、ブラックドラゴンを倒した時は前のときほど苦労はしなかった。
どうやらここからは1階層ごとに安全地帯があるらしい。
もう5日地上に出ていない。ここからは知らないモンスターが出てくるだろう。
ゆっくりとオサムは降りていった。
1回の戦闘に10分以上掛かるようになっていた。回復薬もこまめに使い常に自分のステータスを確認していた。
そして80階に到達した時ついにシルバードラゴンが出た。
一旦上の安全な階層に戻り入念に準備した。
そしてまた降り、シルバードラゴンと対峙した。
マールドライヴの付加スキルにはキルドラグーンやアンチブレス等対ドラゴン用のスキルが有る。
剣士や騎士のスキルを駆使して30分以上の戦いの末、勝利し、角、鱗、牙、爪を手に入れた。
「ひとまず一つ。」オサムはゆっくりと階段を降りると、モンスターの居ない安全階だった。
その後も進み続け丸1日掛けて89階まで降りた。90階を確認したが、目的のゴールドドラゴンが眠っていた。
オサムはその安全階で眠ることにした。
このゴールドドラゴンで目的を達成する。起きて全回復したオサムは90階層に降りた。
ドラゴンはオサムをじろりと睨み立ち上がった。
もう伝説のドラゴンである、見た者はほとんど居ないだろう。
オサムは剣を構えこの最後の一戦のために全力を尽くした。
流石にシルバードラゴン以上の強さである。一撃一撃が骨を砕くかのような重さがある。
防御してもダメージを食らってしまう。
ビーツの作った甲冑と剣じゃなければそもそも此処まで来れない。
そしてこの装備でなければ既に死んでいるはずだ。
「さすがに、違うな」とオサムはまた剣を構え全スキルを使いながら削っていった。
「コイツHPいくらあるんだ?」もう何本回復薬を飲んだかわからない。
しかし、その激闘を制したのはオサムだった。
目的のアイテムは揃った。これで帰れる・・・と思った時。
『リジェネリターンで死に帰りもアリだな』と考え、更に下に降りていった。そこも安全階層だった。
少し休み、下へ降りた。
そこにはグレートデーモンが居た。ステータスを見る限りゴールドドラゴン程強くは無い。
「行けるな」と笑いオサムは戦闘を開始した。
グレートデーモンとその下の階層のウィルドチャンクは70階層程度の強さだった。
簡単ではなかったが倒して、フフスト、ハミアンもなんとか倒した。
マジックバッグの中はレアアイテムで一杯だ。晶石も異常に多い。
出発する前に新しく作ったグランパープルの革袋もヴァレスの革で作っていたのでいくらでも入った。
98階層に降りた時、オサムは驚いた。空間が揺らめきオサム自身があらわれたのだ。
「これって、ドッペルゲンガーだよな・・・多分。厄介だぞ」と言いながら剣を合わせた。
やはり同じ強さだ、そっくりコピーされている
「自分の弱点を突くしか無いな、くそ」と言い、オサムは考えた。
剣を交える度に自分の癖がわかってきた。
「そこだな」と言い「フィフスシャドウ!」と唱えた、途端に4人のオサムが新たに現れた。
5人の同時攻撃だが本体であるオサム自身以外は魔法で作られた幻のようなものだ。
しかし、任意に他の影と入れ替わって攻撃ができる、それを駆使しなんとか倒せた。
そしてついに100階層に降りた。そこは広大な空間になっており、明らかに最後の階だと分かる。
階段からその階のモンスターを見ると、見たこともない程巨大なドラゴンが居た。
「コイツはやべぇな、勝てる気がしない」しかし死に帰りで良いのだ。やってみる価値はある。
オサムは自分のステータスを見るとレベル98になっていた。
「ほぼ最強かよ・・・ボスばかり倒したし、ソロだからな、やってみるか」と100階層に降り立った。
巨大なドラゴンが翼を広げいきなりブレスを吐き出した
「くっいきなりかよ!」回復薬を飲み
「エンチャンテッドソード!キルドラグーン!フィフスシャドウ!ストラトブレイド!ダウンブレイク!アンチブレス!」
と一撃に全てを乗せて巨大なドラゴンに攻撃を仕掛けた。
「ザクッ!」と音がしてドラゴンの首から血が吹き出た。
部屋に響き渡る声を吐き、爪で攻撃してきた。体中がきしみ、壁に打ち付けられた。
「くっそ、マジかよ無理ゲーじゃねえか、そもそもパーティーで来るべきダンジョンだしな・・・」
オサムは起き上がり、全身の激しい痛みをこらえて回復薬を平らげた。
「これで最後かよ・・・」とドラゴンを見ると今度は尾を振り攻撃してきた。
一撃で1割のHPが削られる。更に攻撃を受けると12000あるHPがみるみる減っていく。
オサムは更にブレスを受け、攻撃を受けながらも戦ったが、動けなくなった。
『あと1撃喰らえば終わるな・・・』と考えている途中でブレスが目の前を包んだ。
『まぁいいか、アイテムは集まったし・・・』遠くなっていく意識の中リムルの顔が頭に浮かんだ




