41話 狂気の終わり
戦いは終わり、オサムは3人の従者と共に帰ることにした。
ガーミング伯爵が礼を言いたいと言ってきたらしいが、クリューズに任せることにした。
宴は苦手だ、それに早く風呂に入りたい。
面倒なことはクリューズにやらせれば良い。
4人は馬なので3日もかからず帰れるだろう。
「ご主人様」
とクイードが言った
オサムは
「何だ?どうかしたか?」と正面を見たまま答えた
「あの、あの戦いのときご主人様は怒っていましたよね?」
とクイードに尋ねられ
「そうだな、怒りで狂っていた。あのクソヤロウ共は罪もない人々を殺して女を襲ったらしい」
とオサムは答えた
「リムルが言っていた。いきなり村が襲われて両親を殺された。と」
「それは許されることなのか?誰かが罰を下さねばならん。必ずだ。」
「しかし、これでまた黒騎士に箔が付きましたね。」
タキトスは言ったが
「箔などいらん、奴らの首が転がればそれでいい・・・」
オサムはそう言ってから
「すまぬな、まだ怒りが静まっておらぬらしい、十数騎逃した。」
「しかし敵1500のほとんどを討ち取りました。」
ハンビィが言うと
「そうだな、村を襲った連中はほとんど斬り伏せたということだな。」
オサムの口調が変わったのを3人は気がついた。
きっかり3日で城まで戻ってこれた。
「よし、これで風呂に入れるな、1週間ぶりだ」
とオサムは喜んだ。
オサムは馬をケンテルに預け、屋敷に戻っていった。
鎧の返り血は全て拭き取ったので問題はないだろう。
しかし念のため洗おう、と考えた。
「帰ったよ」と屋敷に入ると
「おかえりなさいませお館様」とハロルドに迎えられた。
「おかえりなさい、ご主人様」とリムルが近寄ってきた。
オサムは
「ハロルド、風呂の用意をしてくれないか?今回は往復で疲れた」
「リムルは鎧を脱ぐのを手伝ってくれ、」
と言って自分の部屋に上がっていった。
ベッドルームに着くと、リムルが鎧を脱がせていった。
鎧を脱ぎながらオサムが
「リムル、後でいいからケンテルを呼んでくれるかな?」と言った。
リムルは
「はい?」と不思議そうな顔をしたが「わかりました。」と返答した。
オサムが部屋着に着替えてベッドに横になっていると、リムルに連れられてケンテルが来た。
「お呼びでしょうか、ご主人様」とケンテルが言うと
「俺の鎧なんだが、洗ってくれないか?今回の戦でだいぶ汚れたのでな」
とオサムが起き上がり
「こっちまで来い、この甲冑だ。磨く必要はない、洗うだけだ」と指差して教えた。
「あと、クイード達の甲冑も本人たちに訊いてみてくれ、今回の戦は激しかったからな」
オサムが続けた。
「わかりました、まずはご主人様の甲冑を」とケンテルは言い、重そうに持っていった。
リムルはその会話を聞いていて
「激しかったのですか?お怪我は無さそうで安心しました」
オサムの強さを知っているリムルはもう心配はしていなかった。
オサムが書斎で料理本の翻訳をしていると、リムルがやって来て
「ケンテルが戻ってまいりました」と言うので
「そうか」と立ち上がり居間に出た。
「早かったな、甲冑は元のクローゼットに戻しておいてくれ。あと、クイード達は?」
とオサムが訊くと
「御三方は城外へ出たようです。鍛錬に行くのだとか。」
とケンテルが言った。
「そうか、あいつら・・・」オサムは嬉しくなった
「では、もういいぞ、ケンテル」と言うと
ケンテルは「失礼します」と言って部屋から出ていった。
『さて、今回の戦闘でバレたな。新しい甲冑をビーツに作ってもらうか』と考え
「リムル、ちょっとビーツのところに行ってくる。」と着替え始めた。
ビーツの鍛冶屋に着き
「ビーツ、居るか?」と呼んだ
「はい、エリトール様、何か打ちますか?」と訊かれて
「黒い甲冑が思っていたより目立ってしまってな、悪いが儀礼用の白銀と金の縁取りで同じ物を作ってくれるか?」
と聞いた。
「普通の甲冑ですか?それとも・・・」ビーツが言う前に
「材料は用意した。シールドドラゴンの鱗、ゴォスの胸当て、クシャナの籠手、ダークオネスの楯、マインドブレイカーの法衣がある。」
とマジックバッグから取り出して無造作にカウンターに置いて言うと
ビーツは驚き
「で、伝説の素材ばかりじゃないですか・・・こんなもの初めて見ます・・・」と震えた
「これらはまだ屋敷にあるので足りないなら取りに来てくれ。」
オサムが言うと
「こんな素材が複数あると?エリトール様、貴方は一体何者なんですか?」
震える声でビーツはオサムに問うた
「ただの騎士だよ」と笑いながらオサムは言った。
「あと、俺の従者の3人、アレのハーフプレートと動きやすいフルプレートも頼む。普通の色がいい」
「今回頼んでいるものは難しいものが多いのでこれを」どしゃっと革袋をカウンターに置き
「銀貨3000枚だ、受け取れよ?ビーツ」と微笑んだ。
「要らないと言っても置いて行ってしまうんでしょう?わかりました、頂戴します」
ビーツはもうオサムの性格を知ったようだ。
「では頼む。出来たものから屋敷に届けてくれ。」と行って店を出た。
オサムは屋敷に戻ることにした。風呂に入るのを忘れていたからだ。




