4話 理解者
いつの時代でもどこにでもおかしな人は居るものだ。
俺が連れて行かれたのは豪壮な甲冑を付けた中年のおっさんのところだった。
「閣下、此の者やはり怪しいと思われます」
その時俺が気づいた『何故言葉が通じるんだろう』
そんなことはどうでもいい、命の危険だ。バカンスだったのに。
「フム」とその閣下とやらのおっさんがジロリと俺を睨んだ。
「いや、あの、ですからね、事故か何かで吹き飛ばされたんですよ、本当ですこれ」
普通そんな睨まないでしょ、部長でもそこまで怖くなかったよ・・・
「名はなんという」おっさんが訊くので
「オサムです、秋葉オサム。19才独身彼女募集中です。」
『何故彼女募集中なんて言ったんだよ、俺』と慌てた。
「どこから来た」またおっさんが訊くので
「日本です、日本の東京です。多分ですが東の端の海を渡ったところです。」
「日本?そんな国は聞いたことがない、この大陸の東の端はシャングール帝国だが」
『俺の方こそシャングール帝国なんて歴史で習ってないよ』と言いたかったが
「予想ですが、俺、いや僕は他の世界から来たのだと思います、それかこれは夢です」
『また言っちまった、他の世界とか夢とか信じてもらえるわけねーのに』
「ほう、異世界から来たと?それであれば納得出来るな」
『納得すんのかよ!このおっさんはなせる奴じゃねーか』と口に出来るはずもなく
「はい、先ほどのシャングール帝国ですか、僕の習った歴史や地理にはないので」
「地理?」とおっさんが訝しみ「誰か書くものを持って来い」
若いイケメンが紙とペンらしきものを持ってきた
「お前の知っているだけ、この世界を書いてみろ」と言われた
「えっと、ちょっとだけ時間を下さい」
『地理には強いんだ、世界を回ろうとしてたんだから』ペンを走らせた。
「これが大体の世界地図のはずです」と手渡した
「フム、全く違うな、しかし全くの嘘にしては出来過ぎている」
「そうですよね?何なら大体の国名も教えます。国境は曖昧ですが」
俺は頭の中で大体の国名と場所を思い浮かべた。
「そうか、では教えてもらおうか、まずここは」と指された場所はアフリカ大陸だった
「そこは混沌としてまして、この陸地だけで20ほど国があります、そこはケニアかスーダンです」
「では、最強の国家は何処に有る」と訊かれ
「それならここですね、アメリカ合衆国。世界の軍隊の半分以上を持っています。」
『こんなの信じてもらえるのかよ、もうやだよ胃がキリキリする』
「半分以上だと?では世界征服の最中か?そのアメリカとやらの帝国は」
「いや、帝国ではなく民主主義です。あと、国境が変わるような戦争は殆ど無いです。」
『やっちまったかな、民主主義なんてこんな甲冑の時代にないだろうし』
「民主主義?領土拡大は無いのか?戦自体はあるのにか?」
『このおっさん食いついてくるなー』と考えつつ
「世界を調停する機関がありまして、国際連合というものです。他にも色々この世界とは違うものが」
とオサムが言った。
「そうか、世界を調停する機関、グランパープル聖国のようなものだな」
おっさんはそう言って「一息つこう、誰か酒を2つ持って来い」
オサムは下戸だったが飲まないわけにはいかないだろう、そういう雰囲気だった