38話 安息と練兵
オサムは久しぶりに野営、徹夜をせずにベッドで目覚めた。
自分以外は既に起きており、各自が自分の仕事を行っていた。
執事のハロルドが指示を行い、カッシュが料理を作り、ユゼムが手伝っている。
アリエルとミランダは掃除を始め、ケンテルは馬係として従者のクイード、タキトス、ハンビィ、と共に馬の世話をしていた。
リムルはエリスに侍女の作法を教えていた。
「まだ我が家は出来上がっただけで仕上がっているわけではないな。」
オサムは考えた。
その時、ドアがノックされた。
「誰かな?どうした、入れ」と言うと
「おはようございます、ご主人様」とエリスが入ってきた。
それを見て
「リムルは?」と訊いたが
「リムル様は今ハロルド様と共に指示をしております。私は言い付かって朝食のお知らせに参りました」
やはりまだぎこちないな、14才らしいが、年齢の割には良く出来ている。
「そうか、では着替えを手伝ってくれ、エリス」
とベッドから起き出し、クローゼットを開けた
「わかりました、今日はどのお召し物を?」
とエリスはクローゼットの中の服を見ながらオサムに尋ねた
「そうだな、今日は黒で頼む。」オサムは防刃ベストを選んだ
これですか、ということは昼からお出かけに?
「そうだね、クイードとタキトス、ハンビィを連れて鍛えに行く」
奴らももう少し鍛えておかないと、とオサムは考えていた。
着替えが終わり、時計を見ると10時前だった
『久しぶりにゆっくり眠れたな、いつも外だったし当たり前か』そう考え
「朝食の時間だね、行こうか」とエリスに言った
2階にある宴室兼食事室に向かうと、既に皆が揃っていた。
オサムが椅子に腰を掛けると、皆が座り。最後にハロルドが座った。
オサムは
「この一月あまり皆とは食事でしか顔を合わさなかったが、本日より夜は屋敷に居るつもりだ」
「ハロルドに任せきりだったが、言いたいことがあればこの場でもいつでも申せ」
とオサムは皆に言い、食事を始めた。
食事が終わり、アリエルとミランダが食器を片付け、紅茶を淹れて皆の前に置いていった。
ただし、オサムの分だけはリムルが用意した。
「さて、くつろごう。皆何か無いか?」と言うと。
料理人のカッシュが
「お館様のレシピをもっと教えていただきたく思っております。多くを知りもっと良い料理を」
と言った。
オサムは
「それに関しては今後時間があるので様々な物を教えよう。あと500は知っている。」
その言葉に皆がざわついた
「今でさえ、伯爵閣下やマンセル子爵様の料理人がレシピを聞きに来ているのに、ご主人様には驚かされます。私は幸福な料理人だと考えて居ります。」
オサムは
「皆、この屋敷では気を張らずにゆったりすれば良いぞ。俺は庶民の出だが、閣下のご厚情により騎士となったのでな。筆頭騎士家とは言え、俺の中身はアキバ・オサムのままだ。」と言った
「しかし、既に閣下の騎士、いやこのライツェン王国でも筆頭の騎士でありましょう。
クイードがそう言うとタキトスとハンビィも同意した。
オサムは
「それだ、俺の従者としてクイード達にはもっと強くなってもらう。今日は昼から夕刻まで私が直々に鍛錬する。良いな?」と3名に言うと
「ありがとうございます、ご主人様のご期待に必ずや応えてみせます。」
と嬉しそうに言った。その目は尊敬の眼差しであった。
「俺の余っている剣があるのでそれを渡そう。強くならねば使いこなせぬぞ?」
「ご主人様の剣を!?ますますやる気が出てきました、励みます。」とクイードが言った
召使いのアリエルは
「ご主人様の優しさに甘えること無く仕事をせねばと私達は考えて居ります。」
と言い「ハロルド様やリムル様にお聞きしながらですが」そう続けた。
「皆それだけか?俺に言いたいことがあればいつでも聞くので遠慮なく話せ。それでは皆仕事に戻るように」
「それと、クイード、タキトス、ハンビィは昼までに装備を整えておけ。城外のゴブリンを片付けに行く」
とオサムが言って、その日の朝食は終わった。
オサムはリムルを連れて自分の部屋へと戻った。
「紅茶を淹れてくれるかな?リムル。クリューズとロレーヌ様の鎧と剣をデザインするんだ。」
とオサムが言うと、すぐにリムルは紅茶を持って来てオサムの机に置いた。
「他には何か必要ですか?ご主人様」とリムルに言われて、オサムは
「リムルが居てくれればいい」とだけ答え「近くに座ってて?」と続けた。
リムルは
「わかりました」と答え、オサムの近くに座っていた。
オサムはサラサラとイラストを書き、説明文も入れていった。
紅茶を飲みながら「こんな感じかな?ロレーヌ様の鎧は流石に難しい」と独り言を言いながら描いていた。
リムルはその姿を見ながらゆっくりと過ぎていく時間に幸せを感じていた。
昼になり、オサムが書き上げた頃に従者の3人が部屋へやってきた。
「コンコン」とノックされ、リムルが扉を開けると3人はオサムがビーツに作らせた黒い軽装甲冑を装備し、それぞれの剣を腰や背中に佩いていた。
「ご主人様、クイード様たちが来られました。」とリムルが言うと
「そうか、とりあえず部屋に入れてくれ、もう少しで描き上がる。」と返事した。
しばらくしてデザインした紙を持ちながら書斎から3人の待つ応接間へ出ていった。
「準備は万全だな?」と訊き、返事を待たずに
「リムル、甲冑に着替える。手伝ってくれ。」とリムルをクローゼットに連れて行った。
「さて、行くとするか」とビーツの4作目の鎧を着て、剣はダークブレイブを腰に、ジャフルダガーを胸に、ホーリーブレイドとカイトシールドを背中に装備した。
「いきなりだが、ダンジョンに潜るぞ」とオサムが言うと3人は驚いたが、
「わかりました」と答えた。
途中でビーツの鍛冶屋に寄りクリューズとロレーヌから頼まれていた品を注文した。
「これを使ってくれ、指示書に書いてある。”シールドガーディアンの肩鎧”と”鎧の魔法石”や”オーガナイトの腕輪”などを渡した。」
「あと、前に作ってもらった軽いフルプレートをこの3名に」と注文した。
4人は城門を抜けフィールドに出てくるゴブリンを3人で片付けさせていった。
数十匹を倒した時に、ゴブリンナイトが現れた
「倒せるか?」と3人に訊いたが「大丈夫です」と言って向かっていった。
回りのゴブリンを倒し、ゴブリンナイトを3人で囲んで戦っていたが連携が取れていない。
「力ずくで倒すのではなく連携して攻撃せよ、後ろからの攻撃に備えて互いの背後を見つつだ」オサムが指導した。
そして4人は”ゴブリンの洞窟”と呼ばれる洞窟に入った。
「3人共これを付けておけ。」とナイトウォーカーの目で作られたペンダントを渡した。
「暗闇でもだいぶ見えるので、この洞窟なら昼間と同じように見えるだろう。」とオサムは言った。
この冒険でだいぶレベルが上がるだろう。とオサムは思った。




