2話 ここは天国?
「ん・・・助かった?」
荒屋と言うか倉庫というか、そんな場所で目が覚めた。
自慢じゃないが俺は順応性が高い。
派遣会社でもテキトーに手を抜きながら高給をもらっていたんだから。
そんな俺でもこの状況には戸惑った。
手荷物は・・・有る
衣服は・・・これ、貫頭衣ってやつじゃねーか?
キョロキョロと辺りを見回すと、ボロい木箱の上にきちんと?俺の服が置かれていた。
早速着替えていると”カチャリ”と音がして誰かが入ってきた。
逆光でシルエットしかわからない。ただ、甲冑を装備しているのはわかる。
「なんだ、もう起きたのか」
えーと、ここは天国?それにしては想像とかなり違う
「さて、起きたのなら説明してもらおう」
いきなりそいつが近づいてきて、短刀を首に押し当てられた。
「なんだなんだ?説明?俺がしてほしいよ!」
暴れるわけにもいかず、上ずった声で尋ねた
『俺、こんな声出せるんだ』全く関係ないことを考えた
「説明してもらおう」
今度は腰の剣を抜いて、額に突きつけられた。
「いやいやいやいやいやいやいやいや、だーかーらー、ここはどこ?貴方は誰?」
「なんだ?言葉が通じないのか?」ぐいっと剣を押し付けられ
額から血が流れた。
『あ、痛いしこれ夢じゃないな』
「え~とですね、何から話しましょう?隠し事はしません、はい。」
「なのでその剣をしまってくれませんか?考えがまとまりませんよ、これじゃ」
「そうなのか?」と一言言うと剣をスルリと鞘に収めた。