18話 異世界への帰還
オサムは相変わらず買い物を続けていた。
何故か絶対に戻れると言う確信がオサムにはあったのだ。
あの飛行機に乗れば必ず同じことが起きるはずだ。
機械式の懐中時計と腕時計も買っておこう、自動巻きがいいな。伯爵がよろこぶ
宝石や銀貨は向こうにあるだろうが、もしもの時のためにこちらの世界にしか無いアクセサリーを買っておこう。向こうの世界で売れるだろう。
シルバーやゴールドは必要ない、タングステンやステンレスがいい。
あとは・・・ネットで確認し、パラコードや簡易浄水器等オサムの人生におよそ関わりのないものを買い集めた。
ベルトや靴も実用性重視の軍用品を選んだ。リュックも今回は防水加工されたバリスティックナイロンとか言う防刃素材の物を用意した。
「こんなところかな?」と部屋に並べ、リュックに詰めていった。
「あ、そうだ!」オサムはロレーヌの事を思い出した。「彼女にも何か・・・」
「スイーツだな、チョコが良いか。当日に買おう」
とうとうその日がやって来た。
オサムは搭乗手続きを済ませ、あの日と同じ便に乗った。
幸い通関で引っかかるものは一切なかった。
南国行きの飛行機に乗り、しばらくしてから
「あの、すみません、何か食事と飲み物を下さい」とキャビンアテンダントに言った。
少し待つと、食事とお茶を持ってきてくれた。
あの日と同じようにリュックをしっかりと膝の上に置いたまま食事を済ませた。
その時だったふと右を見るとエンジンから煙が出て火を吹いた。
皆が慌て叫ぶ中、オサムは「来たな」とリュックを背負って「その時」を待つことにした。
「んー・・・」と目を覚ますと目の前に見慣れたピラミッドが見えた。
オサムは「よし!戻った!」と叫んだ。
周囲に治癒魔法士が並ぶ中、見慣れた顔が見えた。
「閣下・・・秋葉オサム、只今戻りました。」と言うと
「よくぞその身を盾にして閣下をお救いしたな、オサム」
ロレーヌが安堵して手を握ってくれた。
「クリューズも私も、護衛団全てが感謝しておるぞ」
そう言われ、良い気分になった。
『あ、そうだ、荷物も届いてるのかな?』と辺りを見てもあのリュックは見当たらない。
「あの、黒いバッグを知りませんか?」とキョロキョロと辺りを見回した。
それはクリューズの足元に転がっていた。
「クリューズさん、その足元のバッグを下さい。」と言うと
「ん?何だこれは?見かけぬものだな?エリトール卿のものか?」と渡された。
オサムはそれを開け、中身を確認した。「全部ある」
「あの、伯爵・・・閣下に渡したいものが。」
急ぐ必要は無いのだが、説明するためにもまず見てもらうことにした。




