11話 いきなりの騎士
『こんなの絶対わかるじゃんか、むしろ何故今まで誰も気づかなかったんだよ』
オサムはそうツッコみたい気持ちをぐっとこらえて
「ここですか?」と見知らぬ人に尋ねた
「ん?あぁ、最近入り口が見つかってな。それで調査がはじまった。」
『何かのイベントが始まったかフラグが立ったんだろ?』
またゲーム脳が判断を下した
「これって俺がこっちに来たから始まったイベントかな?」
声に出して言ってしまったが、誰も聞いていなかった。
「オサム、オサム、閣下がお呼びだ」とかなりの美女がやって来た。
『何だこの美女、モデルか何かか?あ、この時代背景だとモデルは無いか』
「あ、はい今行きます!」とフルグリフ伯爵が椅子に腰掛け、テーブルに置かれた恐らく酒を飲んでいるところに向かった。
「えっと、何でしょうか?伯爵」と言ったとたんげんこつで後ろから殴られた
振り向くとそこには先程の美女が立っていた。
「閣下とお呼びしろ、閣下と」
『あれ?この声、あの最初の甲冑の暴力女じゃんかよ!』
オサムは気がついて
「もったいないなぁ・・・」と聞こえないように呟いた
「それで閣下、御用でしょうか?」
オサムが言うと
「うむ、地図を作りながら動かねばならぬのだが、オサムは何か持っていないか?」
フルグリフ伯爵が紙とペンを取り出していた。
『マッピングですかー、やりこみ系の俺にはうってつけじゃん』と考え
「少し待って下さい、確か荷物の中に・・・」とゴソゴソして
「これを使えば方角がわかります。と本格的なコンパスを取り出した」
バックパッカーの必須アイテムだぜ。
「ほう、どう使う?」と伯爵に尋ねられ
「閣下は今南がどちらかわかりますか?これを使えばすぐわかります」
オサムが説明すると
「そうだな、大体あの馬車の方向が南だ」
と答えた。
オサムはコンパスをテーブルに置き、針の向きを見ると
「大体そうですね、馬車から少し離れたあの今立てているテントが真南です。コンパスといいます」
「ほほぅ、それは便利な道具だな?どうやって作った?」と伯爵に訊かれ
「作ったのではなく買いました。これはかなり高価で1万円近くしました」
『しまった、1万円なんてわかるわけねーよ』と慌ててたが時既に遅く
「1万円?銀貨1万枚ということか?」と訊かれた。
オサムは
『どうでもいいや、この世界には無いものだろうし銀貨の価値もわかんねーし』
「恐らくそれくらいかと思います。」
伯爵はかなり気に入ったらしく
「他には何か無いのか?オサムの世界の物で使えそうな物は」
と言われたので
「これなんかはこの世界で一番役立つと思います、これもかなり高級なものです」
と双眼鏡を取り出した。
「小さな割に性能の良いものです、確か3万円位です。双眼鏡といいます。」
『もう何でもかんでも円で言えばいいや』とオサムは考えていた。
「これを両目に当てて遠くを見て下さい」
伯爵に首にストラップを掛け、レンズ保護用のキャップを上げた。
「ん?これはあのような遠くがすぐ近くに見えるではないか!」
伯爵はかなり気に入ったようだ。
オサムは、伯爵のところで世話になるんだろうし、どうせどちらも使うことはない。と考え
「よろしければ差し上げます。俺はこの世界で使うことも無いでしょうし、閣下の方が必要でしょう」
「何?コンパスとソウガンキョウの2つともか!?」
と訊かれ
「はい、命の恩人ですから、閣下にお礼をと考えていました。」
と答えると
伯爵に
「この世界にはこれしかないのであろう?銀貨4万枚、今は持って来て居らんが、帰ったら渡そう」
そう言われ
「いえいえいえいえ、お気持ちだけで結構です。閣下が居なければ俺は多分死んでますし」
『銀貨4万枚ってどんだけだよ、怖いよ怖いよ・・・』とオサムは考えた。
「そうか、では我が領地にて騎士に取り上げよう。私の従者であり、城の騎士だ。問題なかろう?」
そう伯爵に言われ
『上級職転職来たよこれ!なんですか、騎士ですか?剣士になる前に騎士ですか?!』
オサムは嬉しさを顔に出さないようにして
「有り難い扱いに感謝の言葉もございません」
出来るだけ真面目な顔で答えた。
「あと、地図の作成には自信がありますが、ダンジョンは初めてなので補佐ということでお願いしたいのですが」
と言うと
「安心せい、書記は居るのでそいつと共に作業せよ」と言われ、安心した




