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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
降臨した神
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第7話 もう一人の神

  ロウは約束を守った。王宮の庭には数百人程度の者達が兵に囲まれていた。

 オサムがグレートドラゴンで降り立つと全員が恐怖で顔を引きつらせていた。


 「聞いているかもしれんが、お前達の財産は銀貨1000枚を残して全て没収する。

  国の寄生虫達よ、お前らの幸せな時間はもう過ぎた。大人しく皇帝の命に従え。」

 オサムはその言葉に続けて

 「しかし、1つだけ選ばせてやる。死んで没収か生きて没収かだ、どちらか選べ」

 オサムの言っていることは無茶苦茶である。しかし汚れた利権にまみれた者に慈悲は要らない。


 誰も一言も喋らない。

 「では、皆生きていたいということだな?城下に小さな屋敷をもたせるので各自帰れ」

 オサムがそう言うと皆肩を落とし、兵士に連れられていった。


 「さて、ロウよ、没収した資産は国費何年分になった?それと他に案じていることは?」

 オサムが言うとロウは

 「陛下から頂いた銀貨を合わせると30年は保ちます、税を2割にしても問題有りません」

 「他に案じているのは、今回の件に逆らう者達が私兵と共に要塞で抵抗しております。

  旧皇帝派の重臣や将軍、兵達も。数は約5万です20万の兵でも攻略できません。」


 「今は囲んでいるだけで、兵糧が尽きるのを待っています。」

 そう言われたのでロウに案内させた。


 「この要塞です。この国でももっとも堅固なもののうちの1つで攻めるのは困難を極めます」

 ロウに連れてこられた要塞はかなり大きい。回りをぐるりとグレイス帝国軍が囲んでいるが、膠着状態に見える。


 オサムは背中の大剣を抜き。

 「兵を下がらせろ、今から要塞ごと全滅させる」オサムが言うとロウは退避を命令した


 オサムは魔法の中から炎系の最強呪文に属するフレイムナパームとフレイムスパークを使うことにした。

 魔法を剣にまとわせ弓の射程外で剣を構えた。


 同じく剣技の最高スキルであるデュランドスラッシュとエクススラッシュを要塞めがけて振り下ろした。


 たった2回の攻撃で要塞は城壁ごと破壊され、炎は全てを焼き尽くした。


 「これで抵抗する人間は居なくなったな?ロウ」

 呆然と言葉を失ったロウに軍を帰還させた。


 「この国はもう安心だろう?この後は北方に入り西の端までの無人の森林地帯も領土に加えておけ」

 「一旦全てこの国かもしくは砂漠地帯に人を集めて管理せよ。南は要らぬ。こちらから攻めることは許さん。

  わかったか?ロウ?」

 オサムが言うと、ロウは「わかりました」とだけ答えた。


 オサムはその後1ヶ月掛けて資源の調査を行った。

 森林地帯も有望な炭鉱や金属鉱山を見つけ出し、すぐ近くに広大な空き地を作った。

 岩を運び木を斬り倒し、10万人規模の都市を幾つも作れるように下準備だけは行った。


 また、インフラの整備もロウに命じて行わせた。

 大量の労働者が職を得て、停滞していた経済も活発に動き出した。

 また、北方森林地帯の鉱山労働者もグレイス帝国から多数の移民によって確保できた。


 グレイス帝国は50程度の城塞都市にまとめ上げ、中央の砂漠や北の森林地帯にも50程の城塞都市が出来た。

 東グレイス帝国の平原地帯に国有の大穀倉地帯も作り、穀物も有り余る程手に入る。



 東側はこれでいい。大量に産出する石炭や鉄鉱石を保管するためにオサムはヴァレスを狩り続けた。

 クイードやタキトス、ハンビィ、クラウド、アンカール、ギルビィ、レオン、ジン達腹心達にも狩らせた。

 クライアンの研究によりほぼ無限に入る大型のマジックバッグを大量に作り、石炭等をストックした。


 工場の方はと言うと、やっと稼働しだして月平均500万トンの鉄や鋼鉄を作り出していた。

 鉄製品専用の工場も作り、鉄の板や柱等様々な鉄製品を作っている。

 グレイス王国はその規模に比して異常な富を蓄えていた。

 オサムがやって来て2年で此処まで作り上げた。


 その間に、豊富な資源や穀物の採れる領土を狙って南から攻め込んで来る国が有ったが

 ロウとオサムは逆に攻め滅ぼして、南方も平定した。東グレイス帝国は大陸の半分を支配下に置くこととなった。


 元々広かったグレイス王国の王都はその面積を20倍に広げ、城の敷地も魔法加工された鋼鉄や石垣で30倍に広げた。

 前の城の近くに10倍の大きさの城を建て、前の城は迎賓館として使うため、拡張と改造を行った。


 憲法や法律を整備し、絶対王政から立憲君主国へと変え、グレイス王国及び東グレイス帝国の市民は公共サービスにより守られることになった。

 移住してくる者達にも同じように仕事や恩恵を与え、ますます発展していく。


 オサムは各国から奴隷状態の人々を強引に買い集め、自由民として北方の都市群に住まわせ労働者とする。

 学校も各都市に作り教育は無料とした。


 医療に関しては問題がない。

 神聖魔法士による治療院も各都市に複数作り民達は何の不安もなく暮らせるようになった。

 大陸全体の8割、約1億人を抱える大帝国でありながら純粋な兵士は居らず犯罪取締りのため300万人を雇用している。


 犯罪率は他国と比べ非常に低いが、流刑地の島には既に数万人が暮らしている。

 小国家の様相を呈していたが、オサムは放っておく事にした。



 一方、クライアンやビーツには大量のマジックアイテムや武器、防具を作らせていた。

 これは自分のためではなく主要な従者8人のためのものだった。

 ふんだんにレアアイテムを使用した武器や防具は強力過ぎて他の者に持たせる訳にはいかない。

 オサムが信頼する8名だけに使わせていた。

 しかし、レベルが上がり使わなくなった装備は城にあるオサムにしか開けられないマジックボックスに封印した。

 並の剣士を騎士のような強さにしてしまうような危険な装備は流通させることは出来ない。


 クイード、タキトス、ハンビィは既に高レベルのロードナイトとなっていた。

 クラウド、アンカール、ギルビィ、レオン、ジンは騎士の最終段階であった。


 短期間で作り上げた国だが、他国と比べると住みやすいのに違いない。移住者は増え続けた。

 労働者や技術者が王国と帝国に溢れた。しかし旺盛な需要により国家は潤い、民も潤った。



 その時である。オサムは気がついた。

 現在の王国と帝国の全財産は金貨10億枚と銀貨500億枚である。

 白銅貨や青銅貨、黄銅貸も大きさを変えて作らせている。その総数は1兆枚を超える。

 「俺は以前同じようなことをしたのだな?そのうちの一部を身に着けていた、そういうことか」

 「1回目が終わり、2回目が始まった。いや何回目かは分からないが」

 早速オサムはグランパープルへ飛んで守護者に会った


 「俺がこの世界で生きるのは何回目ですかね?」オサムが尋ねると

 「厳密には2回目だ、後何度続けるかはお主次第だが」そう答えられた。


 「私は”時”の守護者だ。これは初めて言うが、過去現在未来、異世界の時、すべてを知ることが出来る」

 守護者は語り始めた。


 「1度目のお主は、不老不死を手に入れ、愛した者を全て失った、そして死を選んだ」

 「しかし神は死ねぬ。絶望したお主はこの世界のことを全て忘れて元の世界へ帰った」

 「だが、運命は変えられぬ、お主はこれからも失い続ける。大切な者達をな」

 「耐えられるか?耐えねばならぬ」しかし、含みのある言い方だった。


 オサムは理解できた。自分の強さ、治癒の早さ、そして自分が”神”の一人であること。

 「守護者殿、貴方は時の神ということですね?そして俺は・・・」と言いかけた時

 「そうじゃ、私は時の神。そしてお前は万能の神の一人、この意味を知れば答えが出せよう」

 守護者は言った。


 「そういうことですか、では私の記憶はこの国にあるのですね?”時”として」

 「それを見ればわかる、思い出せる」オサムは守護者ではなく自分に言った。


 「もう理解は出来た、時の神よ、私の記憶を返す時が来た。」オサムはゆっくりと言った。

 ”自ら消した記憶はこの世界に居ればいつか戻る”と言われた。

 その”いつか”が今なのだろう。


 「気が付きましたか、では案内しましょう」守護者の語調が変わった。

 そして、神殿の更に奥へと案内された。

 「ここが時と記憶の間です」時の守護者はそう言い、小さいがクリスタルで出来た部屋へオサムを入れた。

 「1日だけ頂きます」そう守護者が言うとオサムは立ったまま意識を失った。


 夢の中で全ての記憶が流れ込んで来る。

 『そうだ、これが俺が封印した記憶だ』オサムはゆっくりと目を開けた。


 守護者は居なかった。

 祭壇に戻り、守護者に「全て思い出した。私が神だと言うこともな」

 「もうこのハイドステータスの腕輪はいらぬな」と腕輪を触り念じると黒い腕輪が銀に変わった。


 「エンフォーセだけあれば良い」そう言ってオサムはグランパープルから帰った。


 考えては首を振り、また思索の深みに落ちては振り払う。

 それを1週間程続け、やがて微笑んだ。




 「リムル、答えろ。何を失っても俺と一緒に居たいか?」オサムは突然リムルに訊いた。

 「私は陛下と一緒ならどこでも何があってもかまいません」

 真剣な表情のオサムは珍しい。リムルは本当の気持を伝えた。


 「お前を不老不死にしても良いか?友も子も老いて死ぬが俺だけは残る」

 オサムがそう言うと「陛下がお望みなのでしょう?その望みが私ならば喜んで」

 「苦しいぞ?本当に良いか?」オサムが言うと

 「陛下が苦しいのであればそれを半分に出来ます、お望みのままに」

 リムルは決心していた。


 「では今からお前を不老不死にする、左腕を出せ」と言ってリムルの左手首を両手で握った。

 オサムがリムルの手首から手を離すと、エンフォーセの付いた銀の腕輪が嵌められていた。


 「すまんが、リムルお前を神にした。わけが分からぬかもしれないが、信じて欲しい」


 オサムはリムルを神にしてしまった。記憶を繰り返すつもりはないが歴史を変えてしまうことはできるだけ避けたい。


 オサムはロレーヌに会いに行った。


 子爵の屋敷に入りロレーヌを呼んだ。

 「グレイス国王陛下、どのようなご用件でしょうか」

 ロレーヌはオサムの姿を見るなりかしこまった


 「突然来てすまぬ、子爵とも話がしたい良いか?」

 オサムが言うと

 「わかりました、すぐに用意いたします、客間でお待ち下さい」

 ロレーヌは階段を登り、オサムは客間に案内された。


 待っていると子爵とロレーヌがやって来た。

 「お待たせして申し訳ありません、グレイス陛下」

 子爵はそう言って頭を下げ

 「どのような用件でお越しなされたのでしょうか?」と訊いた


 オサムは少し考え、どう言い始めるかを決めた

 「いきなりですが、ロレーヌを側室として娶りたいと考えております」

 オサムがそう言うと


 「えぇ!?」と二人が驚いた。

 それはそうだろう”以前の時”のようにはロレーヌとはあまり関わっていない。

 良い説明を無理にでも作り出す必要がある。以前側室だったとはいえない。

 

 「以前エリトールだった頃ですか、ロレーヌのことを美しいと思っていましたが、子爵令嬢でしたので」

 「しかし今は国王でもあり、東を統べる皇帝でもありますゆえ、胸の思いを吐き出せました」

 オサムは少し嘘を混ぜた、これは以前の思いだ。


 「いや、しかしグレイス陛下ならば側室とて各国の王から姫を紹介されるのでは?」

 子爵はそう言ったが

 「私はロレーヌに居て欲しい、それだけです」そうオサムは答えた。


 「グレイス陛下がお望みなら」子爵もロレーヌも承諾した。

 「では3ヶ月後に式を行うので、その少し前にロレーヌをグレイスに。」そう言い残して去った。



 そして、ロレーヌとの式の1週間前にグレイスに呼んだ。

 ロレーヌは緊張していたが、伝えなければならないことがあるとオサムが言う。


 「神ですか!?」ロレーヌは驚いていたが、オサムのステータスを見て信じざるを得なかった。

 そしてリムルも”Gods”である。


 オサムは以前の世界の話をした、丸1日掛けて。

 信じられないが信じるしか無かった。

 そして共に生きるかどうか問われて「私はこのままで」と返答をした。



 グレイス王国での式は盛大に行われた。

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