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終わったならまた始めればいいじゃないか  作者: 朝倉新五郎
降臨した神
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第4話 ビーツとクライアン

 どうもおかしい。オサムは考えていた。

 そう言えばこの世界のことを思い出すとかなんとか言ってたな?

 しかしまだぼんやりとも思い出せない。体が覚えているだけのようだ。


 恐らく自分が「以前」居た場所がここなのだろう。

 リムル・シャッセと言う侍女を見た時には何故か心臓が高鳴った。

 100パーセント自分の好みであることは間違いないが、恋とはまた違う。


 もっと他の大切な、そういう存在に思えたが、まだわからない。


 広い部屋が与えられ、食事等の心配もいらない。

 後は自分が何をすべきか、それだけだ。


 オサムは伯爵から新しい服も数着与えられた。城下へ出る時に着る貴族のような服だ。

 しかしあまり気に入らなかった。その日は服を買いに城下を回って見ることにした。


 考えている間にリムルが朝食を運んできた。

 「おはよう、リムル」そういうのが当たり前のように言っていた。


 「おはようございます、エリトール様」

 リムルは持ってきた食事をテーブルに並べ、ワゴンを下げて、扉近くに立っていた。

 オサムはそれを食べながら「リムルは城下に詳しいのかな?」と尋ねた。

 「はい、5歳から13歳まで城下で育ちましたので」リムルは答えた。


 オサムは少し考えて

 「じゃあ今日ちょっと城下を案内してもらえるかな?用があるなら一人で行くけど」

 「街のどこからでも城が見えるから帰り道に迷うことは無いとは思う」

 リムルに言うと

 「いえ、ご一緒させていただきます。専属の侍女ですので」と答えた。




 オサムとリムルはまず換金所へ向かった。

 「金貨を10万枚、銀貨を100万枚残して全部預けたい。」

 そう言って金貨と銀貨のポーチを開いて渡した。

 その時に「絶対枚数のこと言わないでね、驚きもしないで、頼んだよ?結果だけ教えて」

 そう受付の女性に頼んだ。


 暫くして女性がゆっくり近づいてきて

 「エリトール様、金貨が1億枚程、銀貨が30億枚ほどでした」

 「金貨10万枚と銀貨100万枚はこのポーチに残しています」

 そう言ってオサムが渡したポーチを差し出した


 オサムは「そうですか、ありがとうございます」とポーチを受け取った。

 『やはりあの話は本当だったんだ、てことは青銅貨も30億枚か、多すぎるし両替出来るのかな?』

 オサムは考えて「両替とか出来る場所は無い?青銅貨や黄銅貨も預けたいんだけど」

 受付の女性に言うと「あちらの受付カウンターで行っています」

 そう言われたので指示されたカウンターに向かった。


 「すいません、両替をお願いして銀貨として預けたいんですが?」

 オサムが青銅貨と黄銅貸のポーチを出した。

 「どちらも100万枚残して銀貨に替えてもらえますか?」カウンターに置いた。

 「で、枚数のことで驚かないように、結果だけ教えてくれると良いから。」

 同じように受付の女性に言った。


 暫くすると女性は帰ってきて

 「銀貨で6千万枚程になりました。エリトール様の口座に入れておきました」

 『60億枚が6000万枚ってことは100枚で銀貨1枚か』

 オサムは「そっか、じゃあ残りは持って帰るよ」目の前のポーチを受け取りバッグに入れた。


 『金貨1億枚に銀貨30億枚以上か、俺って何者だったんだろう?』

 少しだけ考えたが、リムルが待っていることを思い出した。


 二人は換金所を出て鍛冶屋へ向かった。

 鍛冶屋に着くと「すみません、どなたか居ますか?作って欲しいんですが」

 

 すぐに奥から鍛冶師が出てきた。

 「えーと、レイピアを1本作って欲しいんです、出来るだけ丈夫な物を」

 オサムが言うと、鍛冶師が「丈夫なものですか、レアアイテムなどはお持ちで?」

 そう訊いてきたので、オサムは「何が使えるのかわからないけど」

 と言いつつバッグから大量のアイテムを出し続けた。

 その中にはシルバードラゴンやゴールドドラゴンの鱗や角、牙を始め様々な物が有った。


 鍛冶師は「ちょ、ちょっとお待ち下さい、奥の方へお願いします」とオサムを連れて行った。

 「全体的にこのシルバーとゴールドドラゴンの鱗や角で作れますが・・・」

 言葉を止めて「何故こんなとんでもない代物を沢山お持ちで?」と驚いていた。


 オサムは「それがよくわからない、ドラゴンは倒したけど元からバッグに入ってたものも多いね」

 そう説明した。

 鍛冶師は「分かりました」と言って素材を分けだした。

 「これだけあればかなりの物が作れます、ただ使いこなせるかと言うとわかりませんが・・・」

 「とにかく作ってみます」と言うので、オサムは「あ、ちょっと紙と書くものあるかな?」と言った。


 鍛冶師は「ありますが、何をなさるつもりで?」そう訊かれたので

 「ちょっと変わったデザインにしたい、今から描くよ。」と出された紙に書いていった。


 「ほう、これはレイピアにしては変わってますね、サーベルの要素も入ってますな?」

 鍛冶師はじっとデザイン画を見て「分かりました、1ヶ月下さい、素材が硬いので時間がかかります」

 そう答えて「それで、工賃ですが銀貨500枚程頂けますか?ずっとこれに打ち込まんとならんので」

 と続けた。


 オサムはポーチを取り出し銀貨をジャラジャラと出しながら数えていった。。

 「500枚あるかな?」二人で確認して渡した。

 「じゃあよろしく頼みます。」そう言い、不要な素材をバッグに詰めていった。


 その時鍛冶師が

 「マジックバッグですな、先程のポーチもですが。一度クライアンにも会ってみてはどうですかね?」

 「ここをお城の方に戻っていって、右に行くとマジックアイテムの店がありますんで」

 「鍛冶屋のビーツの紹介って言えばすぐ会えます」

 オサムにはよくわからなかったが行ってみることにした。


 「ここかな?魔法物品店?」ドアを開けてリムルと入った。

 丁度人が居たので「クライアンという人に会いたいのだけど、鍛冶屋のビーツに紹介されました」

 オサムがそう言うと「ビーツの紹介ですか?マジックアイテムの作成ですね」

 恐らくこの人物がクライアンなのだろう。


 「えーと、よくわからないんだけど」とバッグを外してカウンターに置いた。

 「この中に素材があるので何か作ってもらえるかな?」とオサムが頼んだ。


 クライアンというマジックアイテム店の店主はバッグを開けようとしたが開かない。

 「これは、持ち主の方じゃないと開けられませんね、革も特殊なものを使ってますし」

 店主の話によると、 ベルト部分はハミアンとナーガ、ヒュージワイバーンの革にドラゴンスパイダーの織物で強化されているらしい。

 バッグ本体もそれらに加えて知らない材料が使われているということだった。


 オサムはバッグを開けて「このカウンターには乗り切らないんだけど、広い場所ありますか?」と訊き、奥の工房へ通された。

 バッグを開けてすべての素材を出して、ちょっとした小山を複数作った。

 「これは」とクライアンが言ったきり黙り込んだ。


 オサムは「何か問題がありますか?使えないなら持って帰りますが」と言うと

 「いえいえ、出来れば全て置いていって頂きたいです。相当な物が色々と作れます」

 そう言われたので「では預けますね、出来上がったものはどうしましょうか?」と言った。


 クライアンは「出来上がったものがある程度溜まればご連絡します、お名前をうかがっても?」

 と言われて「アキバ・オサムです。あ、今はエリトールだったかな?」首を傾げた。


 「エリトール様でしたか、では使いの者に連絡させますので暫くの間お待ち下さい」

 クライアンはそう言って素材を確認していた。

 「何を作るかはお任せいただいても?」と言われたので「はい、お願いします」と答えた。


 マジックバッグに入れると重量は感じないのだが、雑多に物が入っていると少し困る。

 これで金貨や銀貨等のポーチ以外には何も無くなった。


 オサムは「次は服屋に行きたいんだけど、リムルの服も買っておく?」

 そういうのが当然の様に口をついて出た。


 リムルが「はい?私の服ですか?」と訊いてきたので

 「うん、何故かそうしないといけないように思えたから。なんなんだろうね?」オサムが答えた。


 「そんな、私はエリトール様の侍女ですので。それに伯爵様からも頂いておりますし」

 困惑したかのようにリムルが言うと

 「これは秘密なんだけど、今金貨10万枚と銀貨100万枚あるんだ、内緒だよ?」


 驚いたリムルの口を塞いだ。

 「驚かないで、俺もわけがわからないから。」

 「ただリムルには色々としてあげたいって何故か思うんだ。だからプレゼントさせて?」


 オサムは自分の服を10着と「そんなに、要りません」と言うリムルの服30着を買った。

 置いておく場所が無いと言うのでオサムの部屋のクローゼットを使うことにした。

 「夕食までの間に伯爵様に頼んでくるよ」と言って自分の部屋を出た。



 「侍女に服を?それで本題はなんだ?」伯爵に尋ねられて

 「出来れば俺の使ってない部屋に居てもらいたいんですが、ダメでしょうか?」

 オサムは何故かリムルと居たかった。

 「あの子とは何故かわかりませんがずっと一緒に居たいと思ってしまうんです」


 「そうなのか?では直接雇うか、エリトールの侍女として」伯爵が言うと

 「良いんですか?そうすれば部屋に居てもらえますか?」オサムは喜んだ。


 伯爵は

 「城の侍女ではなくなるからな、空いている部屋を使わせれば良い」

 「お前は何故か不思議な事を言うな、まぁグランパープルから預かっているので好きにせよ」

 そして何やら書類を書き「ここにサインをしろ」と言われた。


 「えーと、文字ですか?ここに」とオサムは迷ったが、サラサラと書けた。

 「あれ?文字がわかる。これは契約書ですね?」不思議に思ったが記憶と関係しているのだろう。

 伯爵が「これであの侍女はお前が雇うことになる。屋敷が出来れば一緒に移れ」

 そう言われてオサムは嬉しげに部屋へ帰った。


 そこにはリムルが居り、書類を見せた。

 「エリトール様の侍女になったのですか?でもどうすれば?」とリムルが言うので

 「奥の部屋のベッドルームで寝起きすることになるらしいよ?いいよね?」

 オサムは楽しかった。理由は分からないがリムルと居たかった。


 そのまま夕食前に侍女の部屋へ行き、リムルの荷物を自分の部屋に一緒に持ってきた。

 「これでずっと一緒だね?嫌かな?」オサムは不安になったがその必要は無かった。


 「こんなきれいなお部屋をいただけるのですか?よろしいのでしょうか」

 そういうリムルに「使ってない部屋だから、自由に使ってね」と言うと

 「分かりました、ご主人様。ありがとうございます。」

 とりあえず自分の荷物を奥のベッドルームに運んだ。

 リムルのために買った服もその部屋のクローゼットに移した。

 そして空いた場所に甲冑と剣を押し込んだ。


 朝食も夕食もリビングで二人で食べることにした。オサムは幸せを感じていた。

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