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問題

いつものように恵と二人丹下の部屋に行くと、見知らぬ男がソファに座っている、男がこっちを見たが何も言わず座ったままだった、その態度にムッとしツカツカと近づき


「オイ、お前誰だよ!」


男が不機嫌そうに睨んできながら


「はぁ!お前こそ誰だよ」


一触即発の空気に割って入って来たのは丹下だった


「まあまあ、二人共落ち着いて」


手にはトレイに乗ったコーヒーをもち


「椿君、恵君二人に話があったんだよ、座って?」


丹下に言われ恵と渋々座った。すると恵が聞いた


「それで、話って何ですか?」


「ああ、実は良くない噂が立っていてね」


「噂ですか?何の噂ですか?」


それに、答えたのはずっとこっちを睨んでいる男だ何者かと思っていると丹下が


「まだ、紹介して居なかったね、ことら久米田 護君デザイナーなんだよ」


紹介されても、不貞腐れた様子を隠さず、軽く会釈した程度だった、そんな様子を見ていた丹下が苦笑をした。


「んだよ、そんな事も知らないのかよ、全く」


ガタンと立ち上がったと同時に恵に腕を掴まれ、恵を見るとダメと、仕方なく座ると恵が


「スイマセン、良かったら教えて貰っていいですか?」


丹下が申し訳なさげに


「言っていなかったのは、君達に面倒をかけたくなかったんだ、それに事がこんなに大きくなるなんて思っても見なかったよ、モデルが実在しないなんて噂」


「なんだよ、それは!」


「そうですよ、誰がそんなデマを流してるんですか!」


誰なんだろうねと丹下が頭を抱えた、それを久米田が横目でみながら


「そんなの、怪しまれて当然なんだよ!モデルの名前も無し、事務所も秘密、丹下さん以外知らないスタッフも知らない!そんなのどう信じるだよ?まだCGって言った方が信じるぜ」


「あまりに隠し過ぎたらしいんだよ、ゴメン二人共」


「ああ、そう言う事かぁ、でもそうか…言われてみてばCGって言われても仕方ないね、こんなにキレイなんだし」


「恵!」


睨むと、ゴメンゴメンと言い久米田を見て


「それで、久米田さんは何の用でいるんですか?」


丹下が苦笑しながら


「相変わらず察しが早いね、私はこのモデルが実在する事を証明しないといけない、それで彼久米田の出番、彼にはモデルの服を作り、その服を着たモデルを写真に収めれば、信じて貰えるようなんだよ」


「そーゆことだよ、分かったか?オレだってこんな事やりたくねーんだよ!早く終らせてーんだよ、本当なら本人が出てくれば、簡単なのに、丹下さんが出さないって言うから面倒な事になってる……所で丹下さん、何でコイツらに説明しなきゃいけないんですか、必要無いでしょ」


「この子達は私の助手だと思ってくれていいよ、久米田君」


「別に、どうでも良いですけど」


「さて、二人共聞いての通り、手伝って貰えるかな?」


「ボクは良いですけど椿はどうする?」


丹下と恵が心配げに聞いた、椿はため息をつき二人に


「オレも手伝うけど、コイツは嫌だ」


二人はやっぱりなと顔し、久米田はソファから立ち上がり


「ああ、それはオレのセリフだ!ガキ!オレだって暇じゃねんだよ、さっさとこのモデル連れて来いよ」


ガタと立ち上がったところ、恵が前に立ち


「椿行こう?それじゃボク達用があるんで」


腕を掴まれたまま部屋から出た、恵がチラッと丹下を見て丹下が頷いた。二人が出て行ったのを確認して、振り返り


「あまり、あの子達に当たらないで欲しいな久米田君」


「何であんな高校生相手に気を使ってるんですか?あんた、あの有名な丹下よしきだろ?」


「それは過去の栄光だよ?今はシガナイ写真家だよ?…さてそろそろかな?」


言った側からドアが開き、恵が顔を出し丹下を手招きし、二人で何やら話している、待っていると恵の後ろに誰かいる覗くと、居た!例のモデルが、本当に居たのか実は半信半疑だった、そのモデルがこっちに気付いて一瞬嫌な顔した様に見えた。でもそんな事気にならなかった、感動の方が大きかった、思わず


「どのモデルよりキレイだ……」


口に出していた、するとモデルが


「測るんなら、早くしろ」


面倒臭そうな口調で言われ面を食らった、すると恵が


「こら!」と怒った。それにソッポ向いた。持って来たメジャーで測ろうと、手が中々言う事聞かない何とか測り終えると、機嫌が悪いまま、さっきのガキが座っていた所に座り、残っていたコーヒーを飲んでる、話がしたくて近づき


「あ、あのオレ、あんたの服を作るんだけど、どんな服が」



「……何でも適当に作れば?それで早く終らせてくれ、面倒だから」



久米田がムッとし、恵と丹下がため息をついている


「は!オレを馬鹿にしてんのかよ!」


恵が目の前に来て


「さっきも言ってただろ?いくら嫌いでも丹下さんの為なんだから我慢しようって?」


「……分かってる…」


恵が久米田を見て


「もう、良いですよね?ボク達はこれで失礼しますよ、さあ、行こう」


立ちあがって不意にソファの横に積まれている本から薄い何かを取り出し持っていく丹下がイキナリ


「3ヶ月待ちが!何でバレたんだ」


おやすみと涙目で答えた。そして気を取り直して久米田に


「どうかな?良い服作れそうかな実は困っていたんだよね、何でも似合うんだけど、合う服が無くてね、でも良かった本当楽しみだよ」


言われギクリとした、さっきもそれを思っていたから、モデルに会う前迄は最悪デザインしてあるのでいいだりろうと思っていたが、もう無理だあんなデザインじゃダメだ似合わない。そして疑問に思っていた事を聞いた


「そう言うば、さっき迄居た椿とか言ったガキ帰ったんですかね」


「え、うん帰ったみたい!」


「?あいつ、何なんですか?」


「えーと、出来るなら仲良くして欲しいかなあ」


「……無理ですよ!」


「ウンウン、出来ればでいいから」


「そうだ!あのモデル名前何て言うんですか?一度も名前言わなかったもんで」



「……!そういえば、名前!名前ね……月、!そうだ月子って言うんだよー言って無かったね!?」


「……今考えませんでしたか?」


ううんと首を振り、焦っている


「取り合えず、デザインが出来たら持ってきますね?」


丹下に頭を下げてそれじゃと


「うん、連絡して」


丹下に見送られ、ふと空を見上げると月があった


「今日は満月だったのか…」


あれ?と何かが過ったが、分からず首を傾げった。

一方丹下は久米田を見送くり部屋に戻りスマホを取出し


「彼帰ったよ」


しばらくすると恵と椿が顔を出した。


「今日は本当に済まなかった。こちらの一存で決めてしまって、事前に話そうと思ったんだけど彼が付いて来てしまって」


「いいですよ、大丈夫ですよ、ね?椿」


「ああ、ちゃんと協力するから大丈夫だが、あいつは無理」


「ハハハ、今はそれでいいよ無理言っているのは、こっちなんだし、そうださっき久米田君にモデルの名前聞かれ咄嗟に月子って言ってしまったんだ」


申し訳なさげに丹下が謝っていたのを恵がプッと吹き出し


「いいんじゃない!月子!良いよ!ぴったり!」


と大笑いしているのを丹下がハラハラしながた見ている、それにムッとし


「それで、いい」


「本当、済まない」


「アハハ、丹下さん悪く無いですよ、ボク達名前考えつかなかったですもん、本当ならボク達が考えないと、いけなかったんですから」


「有り難う甘利君、田中君」


「あ、それ!名前で思い出した。ボク達の事は恵と椿でいいですよ、まあ、椿は月子の時があるけど、いいよね椿」


それに椿が頷き、それでとなった。


「だったら、私の事も、よしき良いよ?」


それは恵がダメと、いくら何でも年上の人を呼び捨てには出来ないと。結局丹下さんと呼ばさせてもらう事となった。ポツリと恵が


「さて、上手く行くかな?」


「……行くように、するんだろ恵?」


「そうだね、頑張らないといけないね」


丹下が一言


「困った事にならないと、いいんだけど…」













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