部屋
「ぐごぉ~」
と腹が鳴った…腹をさすり回りを見渡すと、葉芝や恵は呆れている、丹下達は笑いをこえらえるように、うつ向いて震えてる。
「腹減った…」
「直ぐ用意するから待ってて」
と丹下が台所に行った、その後を里見手伝うと言って、久米田も連れて行った、いつもだったら直ぐに手伝い行くのにと恵を見ると苦笑して
「流石に、手伝うだけの体力が無いんだよ」
と言った。それもそうかと頷いた。ふいに葉芝をみると、物珍しそうに部屋を見て、オレの視線に気付いた
「この部屋は、広いな?さっきの甘利達の部屋とは大分違うようだな?」
恵が呆れた様子で
「それは、そうだよここの部屋は元々二つの大きな部屋を一部屋にしたものだからね!だから余計に広いんだよ」
「にしちゃ広いなぁ、お前等の部屋が狭く感じるよ?」
「失礼なやつだな、いいんだよ!あの部屋はあれで…ね、椿?」
ん?と恵を見やると、恵がオレに
「何フラフラしてるの椿?」
葉芝も、同じような事を聞いて来た。
「何やってんだ?」
オレは腹をさすりながら、二人に
「なんか、食うもんさがしてんだよ」
それに小鳥遊が苦笑して
「またかい?ほどほどにね?丹下さん結構御菓子楽しみにしてるようだから?」
「オイオイ他人ん家勝手にして、良いのか?」
恵も立ちオレにならい、探して本棚を探している
「ん~こっち無いな!それなら大丈夫ですよ小鳥遊さん、丹下さん公認なんですから、それより葉芝も探してよ?丹下さん最近巧妙に隠すのが上手くなってきてさぁ…どっかにあるはずなんだけど」
「もしかして…これか?オレが座っていたソファに違和感が…」
葉芝がソファの下を引っ張ると、引き出しになっていて、底から箱が出てきた。
「スゲ!ソファにそんな細工が…」
恵もビックリしているが、葉芝はもっとビックリしている、いやむしろ引いている
「どうなってんだ…これ!いやそれよりも…ここまで念入りに隠す意味がわからない…何なんだこれは…?」
葉芝は知らない今までの丹下との御菓子の闘いを…そんな葉芝を無視して、箱を手にビリビリと真新しい包装紙を取り、一気に中身をテーブルに出すと、焼き菓子が散らばった。その中の1つの袋を破りパクリと食べた。
「!まじ、うめぇ!恵!」
オレの言葉に、恵がどれどれと1つ袋を開けて食べて驚愕した。
「本当だ!美味しい!」
さっきあんな事を言っていた小鳥遊もオレ達の様子に興味深く、袋を開け食べて
「これは…美味しい!」
葉芝も食べて
「これは…食べたとたん、口の中で溶ける!バターの香りが良い!いいバター使ってんな」
その後4人で、無言で食べてしまった、最後の1つは早い者勝ちで。無言の闘いが繰り広げられ、勝者は恵だった、オレも間髪入れたが、恵に遠く及ばずで負けた。良い勝負だった、皆も仕方無いと頷いた。知らず知らずに拍手がオレ達の中で起こり、恵に拍手を送っていると、この騒ぎに丹下が不思議そうに台所から顔を出した。
「何、どうしたの…拍手なんかして、ごはん出来たからテーブル……片して…」
急に丹下の動きが止まった。そして次の瞬間ヨロヨロとテーブルに散らばった袋を取り
「ああああ、私の御菓子が!!」
がっと小鳥遊に詰め寄り、小鳥遊がまあまあとなだめながら、オレ達に目で助けを求めて来たが誰一人として目を合わせない。
「何で、何で?バレた!絶対に見付からないと…」
小鳥遊が葉芝を見ると、葉芝は思いっきり、気まずげに目を反らした。
「……えっと、オレ…か?…なぁ?」
葉芝が、オレ達に何か言いたそうにしている。ゴホンと咳をして丹下に
「あんな所じゃ、まるわかりだったよなあ、恵?」
恵も、ウンウンと頷いて
「あそこは、ダメですよ丹下さん?」
目にうっすら涙しながら、小鳥遊から離れると、あらかさまに小鳥遊がほっとしていた
「今度こそは!絶対に見付からない所に隠してやるー!」
と橋って台所に消えて行った。すると台所から里見と久米田がやって来て
「一体どうした?」
と、それに何もなといと首を振ると、久米田が
「丹下さんが…泣きながら……準備してて気持ち悪いんだが……なぁ?里見」
「ええ、ちょっと怖いね…どうしようか?」
それは、想像するに引いた。二人には悪かったかなと少し思ったが、オレ達は無言でやり過ごした。小鳥遊だけが二人に
「大変だったみたいだね…」
と言った。その後丹下は落ち着いたのか、普通にしていた、皆一様にほっとした。皆で用意されたごはんを食べていると、葉芝が急に
「そう言えば、会長はここに住んでいるんですか?」
いきなりの質問に、小鳥遊は箸を止めて
「うん?そうだよ、それがどうかしたのかい?」
「そうなんだ、良いな、ここ落ち着く」
恵が、「ああ」と思い出した様に
「そう言えば、葉芝一人暮らしって言ってたね、今どこに住んでいるの?」
「実は、今は知り合いのホテルに住まわして貰ってるんだ」
それを聞いて、久米田が、からかうように
「流石人気作家さんだなーお金持ちかよ!」
久米田の言葉に、葉芝が苦笑して
「そんなんじゃ、有りませんよ、母さんの知り合いなんで…」
ふうんと久米田が聞くと
「だったら、その内他を探すのか?」
葉芝が頷き
「そのつもりなんですが、中々良いのが見付からなくて…」
何となくで聞いていると、葉芝が丹下に
「そこで…丹下さん、オレもここに住まわしては、貰えませんか?」
「どうぞ?」
一連の言葉に、聞いた葉芝が一番ビックリした。
「えー!いいんですか?」
丹下が、笑いながらもう一度「どうぞ?」と言うと、今度は恵が
「丹下さん、簡単に決めないで下さい!もうちょっと考えましょうよ?」
まあまあと丹下が恵をなだめ
「どんなに怒らないでよ、大丈夫。君達の知り合いだったら大丈夫でしょ?」
恵が嫌そうに、首を傾げ
「イヤイヤ、ボク達葉芝の事よく知りませんし、椿知ってる?」
恵の言う通りと頷くと、丹下が
「えー…。そうなの、うーん」
その言葉に、小鳥遊は大笑いし、葉芝は慌てたように
「オイオイ、そりゃ無いだろう、オレ達お昼一緒に食べる仲だろ?」
どうやら本当に焦っている葉芝に、小鳥遊がニッコリと
「二人供?そこらへんにしてあげなよ、葉芝君大丈夫だよ?」
その言葉に葉芝はホッとしたように胸を撫で下ろした。そんなこんなで葉芝もここに住む事が決まった。壁の時計を見ると、だいぶ夜も更けていた、丹下が手を叩き
「さて、今日はもうお開きにしょうか?君達は明日も学校が在ることだし、いいね?」
それもそうかと恵を見ると、眠いのかいつの間にかうとうと船をこいでる、恵を揺り起こして
「恵、部屋」
声をかけると、目を擦りながら頷いて、丹下に向かってペコリと頭を下げて
「すいません…今日はこれで、お休みなさい」
オレはフラフラする恵の腕を持ち部屋を出ると、小鳥遊も帰ると後ろから歩いて来た。葉芝はどうやらタクシーをいつの間にか呼んだらしく、来たら帰ると手を振っている、それまではここに居るんだろう。ソファに座ったままの久米田を見ると、どうやら…このまま飲むのだろうとこれは最近のパターンだな、里見は帰ろうと立ち
「それじゃ私も帰りま…」
すっと言おうとした、その時、久米田にしっかりと捕まっていた
「何言ってんだよ?カオルはこのままオレ達と飲むんだよ?」
「ええ、私明日仕事が!…」
狼狽える、里見に丹下と久米田がタッグを組み
「帰さないよ、里見君?逃がさないー私の御菓子の恨み事を…」
いつの間にか酒を飲んで出来上がった丹下に、絡まれている…グラスを里見に渡し
「飲め!」
その様子を楽しそうに、葉芝が見ている。まぁ未成年に飲ますような事はしないだろうと思い直し部屋から出た、そして小鳥遊と分かれ自分たちの部屋に戻り、一息つくと。フラフラと恵はベットにバタンと倒れたかと思ったとたん、顔をこっちにオレに手招きしてた、なんのきなしに近づくと、眠たそうなかすれた声で
「ボク言ったよね…問題起こさない様にって」
昨日言った事を言ってるんだろう、しどろもどとに
「あれは、不可抗力で、オレのせいじゃ…」
眠たそうな目を開けて
「この話は…ふぁ…明日はななそう…いいね椿?」
言うなり、目をつぶってしまった。疲れていたのだろう。
「いや…恵?別に明日じゃなくても…」
もう、恵は寝ていた。はぁ、とため息を着き、布団をキチンとをかけて、明日どうしようか。言い訳を考えないと…と思ったが、流石にオレも疲れた…恵の横に潜りこんで目を瞑った。
「お休み、恵」




