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知り合い

丹下のアパートを出てからも、ずっと恵と会長が言い合ってるいい加減疲れて来た。さっきから幾度といさめていたが、直ることが無く続いている。もう流石にと二人に


「オイ!二人共いい加減にしろよ!」


恵が決まり悪そうに、ゴメンと言い黙った。会長はちゃかすように


「あれ?私もかい?」


「そうだ、あんたが恵に構うから」


ふうん?と会長はオレと恵を交互に見て


「別に、私は田中君にケンカを売ろうとか思っていないよ?」


その言い方が恵のカンに触ると言うのに、分かっているのかいないのか、現に恵が会長を睨んでいる。これは、絶対わざとだなと、スッと恵の前に手を出すと、恵がそっぽを向いた。怒ってるなと、思わずため息が出た。


「恵…分かってるだろ?アイツ等がこいつの事良いと判断したんだ、もし反対したいのなら、それ相当な理由が無いと…アイツ等納得しないし、これは役に立つと恵だって判断したんだろう?」


うっと恵が詰まり、渋々頷き


「あぁ…そうだった。ゴメン椿もう大丈夫だよ、ボク個人の感情のせいで、皆に迷惑かけるとこだったよ」


頭を下げて謝った恵に頷いて。いつでも恵が本気で怒るのはオレの事でだ、心配してくれるのは嬉しいが、迷惑ばかりかけるのは本意ではない。今度は会長を見ると、会長は恵に


「あれ、甘利君の事は聞くんだね?おかしいなぁ~私生徒会長のはずなんだけど…」


恵がビクッと動いた。恵を背中に立ち会長を睨み


「………あんたも、いい加減にしろ、これ以上恵にチョッカイかけんな!何かあるんなら…さっきの話全て無かった事にして貰う!オレにとって恵は大事な家族だ、それを馬鹿にするなら許さない、いくら生徒会長でも!」


会長はふざけていた口調を改めて、真剣な顔で


「それは困る。田中君、甘利君済まない」


頭を下げた。それを後ろで見ていた恵が、オレを押し退けて前に行き


「いえ…あのボクも言い過ぎました。本当にすいませんでした」


二人は互いに反省し謝ってる。よしっと


「全く、二人共面倒起こすなよ!」


言うと、二人から息が合ったように「それだけは、言われたくない」とキレイにハモった。二人は顔を見合わせ笑った。ひとしきり笑うと恵が


「あの、会長今度共宜しくお願いします。」


「いや、私の方こそ、宜しく田中君、甘利君」


ふいに恵が会長とオレを交互に見て、一人頷いて意を決したように会長に向き


「会長、ボク達の事は名前で呼んで下さい。ボクの事は恵と椿も椿で良いですよ?ね椿」


何だ、そんな事かと頷き「いいぞ」と言うと会長が


「だったら、私の事も小鳥遊とでも優でもどちらでも言いよ?」


流石にそれは学校の手前出来ないと断ると、残念がられた。だったら生徒が居ないここでは小鳥遊と呼ぶと決まった。いきなり小鳥遊との距離が縮まったのは良かったが…縮まり過ぎてしまったようで、あの日以来小鳥遊がクラスにチョイチョイ顔を出すようになってしまった…それにクラスメイトがパニックになって大騒ぎ、しまいには他の生徒まで来てしまった、普段お目にかかれない生徒会長をみようと人だかりが出来て大騒ぎになった、あれには本当に恵と二人困った。あの日より大分皆小鳥遊を見馴れたのか、騒ぐ事が無くなったが、まだチラホラと見に来る生徒は居た。小鳥遊が来た当初、恵はオレから距離を取ろうとしたが、小鳥遊から


「恵君、そんな所に居ないでこっちにおいでよ?一体どうしたんだい?」


小鳥遊に名前を呼ばれ、見事に固まった。チラッと見て、今恵は名前で呼んで下さいと言った事を後悔しているなと、恵を見ると凄い顔で笑っていた。心の中で「恐!」と。小鳥遊はシレっと笑い


「今日私用事が無いんだよ、だから二人と一緒に帰ろうと思ってね」


それには流石のクラスメイト達もザワついた。これには不味いと恵に目配せし小鳥遊の腕を取り、人気の無い場所まで小鳥遊を引きづり


「もう勘弁して下さい会長!」


「えー!ダメかな?私達友達だろう?一緒に帰るぐらい…君達行くだろ?丹下さんの所?」


「だったら、椿だけに…ボクは…」


逃げる気なのか恵が小鳥遊を説得している、そんなことは許さない。


「何言ってる恵?一人だけ逃げる気か」


「ボク関係無い!」


一触即発の空気の中、小鳥遊が不思議そうに恵を見て


「関係無いって、何言ってるの?恵君は椿君の大事な家族なんだろう?」


あの時の言葉を言われ恵が、嫌そうな顔でボソリと投げやりに


「…………分かったよ、もう…行くよ!」


ガクリと項垂れた。小鳥遊のクラスへの襲撃は止まらず、今日も手を振り、にこやかに教室に入って来て真っ直ぐにオレ達に近づいて来た。それを葉芝が不思議そうに、


「なあ、何で急に会長と親しくなったんだ?あんな毛嫌いしてたのに?」


ギクリとすると、恵が咳をして


「まぁ…色々合ってね?椿…会長って思っていた以上に、いい人だったんだよ!」


明らかに取り繕ったような、言い訳に葉芝は「ふうん?」と怪しまれたが本当の事なんて話せる訳もなく曖昧にしていると、小鳥遊が


「やぁ、どうかしたの?二人共、変な顔してるんだい?」


葉芝がニッコリと笑顔で、ズイと前に出て


「初めまして、オレ葉芝 零って言います」


勝手に自己紹介を始め、小鳥遊がビックリしてこっちをチラッと見て「ああ」と


「こんにちは、椿君達の友達かな?」


と言うと、恵が嫌そうに首を振り


「ただの、クラスメイトですよ会長、無視しても大丈夫ですよ?」


「オイオイ!田中それは酷くないか?オレ一応転校して来て、まだ間もないんだぜ?オレはただ、オレも交ぜて貰おうと思っただけなのに、酷いよな?甘利」


こっちに振って来やがった。焦って思わず恵を見ると、ため息をつき


「葉芝何が言いたいの?」


「何って、そんなのは一目瞭然だろう?」


葉芝はオレの前の席のやつの椅子に座り、オレ達にも「座らないか?」と言い、皆がそれぞれの椅子にすわると話を切り出した。


「会長はどうして、こいつらと仲良くなったんですか?」


「おかしいかな?」


「そりゃ…おかしいでしょ、生徒会長とあろうも方が問題児の田中と仲良くお友達ですよ?」


問題児ってなんだよと文句を言おうとすると、先に恵がムッとしたのか


「ちょっと!ボクは問題児じゃない!問題を起こしてるのは椿の方だよ!!」


オレのせいかよと言い返すと、小鳥遊が苦笑して


「落ち着いて二人共?話が進まないから、葉芝君だったよね?」


「そうです会長」


「じゃあ聞くけど、君はどうしてこの二人に構うのかな?さっき君言ったよね、君は転校して来てまだ間もないそんな、人間がどうして問題児の二人に構うのかな?」


葉芝が黙り小鳥遊の顔を凝視して


「…………」


「君も私と同じなんだよ?」


葉芝が椅子の背にもたれ、はぁとため息をつき


「質問に逆に返されるとは、思っててませんでしたよ?」


笑いながら、でも目は笑って無いと恵がコッソリとオレに耳打ちして来た。狐と狸の化かし合いってこうゆ事なんだね?と思わず笑ってしまった。小鳥遊の言葉に葉芝は一人納得したように頷き


「そうか…同じ理由か…」


小鳥遊もニッコリと笑っている、分からず恵を見ても、首を振って分かんないと、葉芝に聞こうとしたが、いきなり椅子から立ち、なんだかスッキリした顔で


「理由も分かったし、オレ行くわ、じゃあな、また明日。会長失礼します。」


と、さっさと行ってしまった、オレと恵がポカンとしていると、小鳥遊がオレ達に


「本当に君達の側には、面白い人がいるなあ、本当に凄いよ」


感心したように言い、小鳥遊も椅子から立ち、教室の時計を見て


「もう、時間だ。二人共それじゃ私も行くよ」


と行ってしまった。恵が呆気に取られたように


「え…じゃあ、何で来たの小鳥遊さん……ん?あれそう言えば、さっき問題児のくだり、ボクまで入って無かった?」


ハッとして、恵が思い出したのか、納得行かないと憤っていた。オレは言わぬが仏と黙っていた。

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