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小鳥遊 優

恵とオレは生徒会室に呼び出されていた。生徒会室には他の役員は居なく会長一人だった、それにホッとし恵の腕をこづくと恵もこづいて来る、その行動に痺れをきらした会長が


「よくも、私の呼び出しをことごとく無視してくれたものだね?1週間も…」


机に肘を付き、睨んでいる会長に恵が横を向いたまま


「そうでしたっけ?いや~すいませんでした会長。色々用事がありまして、ね椿?」


「ああ、そう!」


焦りながら、恵に同調すると会長が


「私が君達に用がある事、分かっていると思ってたが」


「さぁ~言っている意味が分かりかねます。だって心当たり多くて?」


会長が恵と睨見合って、まるで狐と狸の化かし合いだ


「しらを切るつもりかな?じゃあ言うが、先日君達、私と会ったはずだ」


「いえ?知りません。誰かとお間違えでは、ありませんか?」


会長は感情が読めない顔をし恵を見る


「私には…会って無いと?」


「………。会長知っていますか?この世には自分とソックリな人間が3人いるそうですよ?」


どうやら恵は、それで押しきるつもりなのかと、それは無理があるだろうと…呆れた顔で恵の腕を引くと、腕を払われた。黙って聞いていた会長が、いきなり笑いだした。


「アハハ!君は面白い事を言うんだね?田中君」


恵を見ていた会長がこっちに視線を移し


「先日帰る途中にいきなり出て来た女性とぶつかってしまってね、その女性は酷く慌ていて、ぶつかった拍子に女性の髪が私の服のボタンに絡まってしまって、女性は焦ったんだろうね?自分の髪を強引に引きちぎってしまって、あれはにはビックリしたんだけど、もっと驚いたのは、その女性はとても君に良く似ていてね、それだけじゃなくて、なんと一緒にいた人物が田中君に似ていたんだよ、その人物は女性の手を取り、そのまま凄いスピードで走って行ってしまったんだよ?どう思うかな?甘利君」


「…………」


無言で何も言わずに会長を見ると、ゴソゴソと会長は引き出しから何か出し、そっと手に持ちその物をだしながら


「ただ…余程焦っていたのだろうね、その女性が身に付けていたネックレスが髪を引っ張った時に一緒に絡まって、落としたようなんだよね…これなんだけど」


咄嗟に、それを取ろうとすると会長は手を引っ込めてニッコリと笑っている。そうあの時大事にしていた、ネックレスを落としてしまった事に気付いたのは翌朝だった、あのネックレスは、ばあちゃんから貰った大事な物だ、いつも肌身離さず付けていたのに会長とのゴタゴタで切れてしまった事に気付かなくて探していたのだ、ここ最近ずっと恵にも手伝て貰っていたのに…と会長が持っているネックレスから目を離さずにいると、会長がスクっと立ちオレの後ろに回り持っていたネックレスを着けた。訳が分からず様子を伺っていると、恵が観念したように、大きなため息をついて


「もう!そうですよ、会長の考えている通りですよ」


怒りながら言うと、会長が自分の席に着き


「やっぱり、そうなのか…聞くが、あれは一体」


「ちょっと待って下さい。話をするのは構いませんが一応言っときます。今から話す事は他言無用でお願いいたします」


「ああ、分かったけど…もしかして、その話って長いのかな?」


「短くは、無いです」


会長はうーんと唸り、


「それは…ちょっと困るかな?だったらどうだろう?日を改めても良いだろうか?今度の日曜なんてどうだろう?だめかな」


恵を見ると、頷き


「分かりました。それじゃ今度の日曜にあの時の公園で」


会長が「分かった」と決まった。そうして約束の日曜が来た。会長と公園で待ち合わせをして、その足で丹下のアパートへ、そして取り合えず自分達の部屋へ案内すると、会長は珍しそうにキョロキョロと見渡し


「ここは、君達の部屋なのかな?」


恵が会長にお茶を出しながら「そうです」と会長はお茶を受けとると


「へぇー良いところだね、なんだか落ち着くよ」


くつろいだ様子でお茶を飲んでいた。その様子にイライラした、


「あんま、ジロジロ見んな!」


本当はここに他人を入れたく無かったが、恵が「いきなり丹下さんの所って訳にもいかないだろ?ある程度説明しないと」と言って聞いてくれなく、こんな事になった、会長は悪びれる事もなく「すまない」と軽く言っただけだ、ギっと睨むと恵がため息をつき


「椿…睨まないの!取り合えず座りなよ」


渋々椅子に座ると会長が


「それじゃ、聞かせて貰おうかな?」


その言葉に恵が話始めた。あの日からの経緯を簡単に説明した、会長は驚きを隠せない顔で興奮気味に


「本当に、そんな事があるなんて…嘘みたいだが…実際見ているから信じるしかないけど…凄いな」


感心したように、頷き考えている。あらかた説明が済んだかと時間をみると、昼を大分過ぎている事に気が付いた、そう言えば今日朝から何も食べて無い。恵と二人そんな事も忘れていた。恵を見ても気が付いて無いのか会長とまだ話をしてる、どうするかと考えていると、急に腹が鳴った。「ごぉ~」その音に会長と恵がビックリして見て来たから、一言


「………腹減った」


恵がため息をつき、会長は体をよじらせ声をこらえて笑っている。仕方無いだろっと恵を見ると、恵の腹からも「くるるる」と鳴った。気まずそうに


「……取り合えず、もういいですね?説明は」


それに頷き、恵と会長と3人で丹下の部屋に行こうと、ノックも無しで開けると、丹下が部屋で待っていた。勝手知ったるで台所に行くと昼食が4人分用意されていた。丹下は待っていたと昼食をテーブルに用意し


「さぁ、食べようか?」


とその言葉に自分の席に座って食べ始めた。会長は緊張しながら丹下に自己紹介をし、話をしていた、それをオレ達は黙って聞いていた。昼食を食べ終わる頃には大分馴染んでいた。すると会長が真剣な顔でオレ達を見て


「君達の仲間に私も入れてはくれないだろうか?」


恵が訝しげな顔で会長に


「何故ですか?」


「私程、お得な人間はいないと思うけど?君達に色々便宜をはかる事だって出来る」


「そうだとしても…会長にとって、ボク達はメリットがあるようには思えませんが?」


「メリットか…だったら、私の仕事の手伝いをして欲しい」


「生徒会のですか?でも役員がいると思うんですが?」


「たまに、役員が使えない事案が多々とあるんだよ、それを君達に手伝って貰いたいんだ、どうだろう?」


恵は少し考えて、チラッとオレを見て


「まぁ、いいでしょう…生徒会の手伝いとやらに乗りましょう。良いね椿?この際利用出来る物は利用しようじゃないか?」


恵に分かったと言うと、会長は丹下に違う話を振った。


「この建物は丹下さんの持ち物なんですか?」


「ん?そうだよ、祖父から譲り受けたんだよ。今の所私一人が住んでいるだけだよ、それが何かな?」


「……そうだったんですね、ああ!だから人の気配がしないんですね、そうか…。丹下さんにお願いがあるんです。私に部屋を貸してくれませんか?」


「別に、いいよ?」


恵と二人思わずビックリして、ハモってしまった。


「はぁ?いいのか?」


それに丹下がビックリして「え?」と聞き返してきたが、そんなのこっちが聞きたいと思っていると、当の本人の会長は一人「やった」と嬉しそうにしていて、もう何処から突っ込んだらいいのか悩んでいると、丹下が会長に


「部屋は何処にする?」


と聞いている、会長は少し悩み


「見てきても良いですか?」


「それじゃ、オレが案内してやるよ!」


いきなり声がして振り返ると、いつの間にか久米田が手を上げて立って居た。


「いつ来てたんだよ?」


「今だよ。」


と言って、会長に目配せし「付いてこい」と行ってしまった。黙って見送り見えなくなった途端恵と二人で丹下に詰めより


「何ですか?あれ!いいんですか?」


「ん?いいよ別に、それにここに住んでいるの私一人だし?君達もたまにしか来ないし、淋しいんだよね~」


丹下がニッコリと笑いながら、話していたが恵と二人内心「しまったと」地雷踏んだと、どうやって丹下を交わすか考えていると、遅かった…愚痴が始まってしまった。こうなると長い!会長達に付いていけば良かったと恵を見ると、死んだ目をしている。


「そりゃ君達には、学校があるのは知ってるよ?でも、もっと来ても!」


丹下は親兄弟がもう居なく一人だと前に聞いた。そのせいなのか、やたらオレ達に構いたがる…悪い言い方だとお節介、ギリギリの紙一重だ、だから扱いを間違えると大変な事になる…今がそれだ。初めて会った時と大分印象が違う、どうやらこれが地だろうと思っている。だから久米田がここに住むと決めた時、恵と二人ホッとしたものだった。そして今も続く愚痴。


久米田を先頭に階段を降り3階に着いた。後ろを振り返り自分の部屋に


「ここがオレの部屋だ。間取りはこれと変わらない、なんか聞きたい事あるか?」


「いえ、特には無いです」


久米田は小鳥遊を観察するように腕を組み


「一応言っておくが、お前があいつらに何かしゃがったら、容赦しねーからな!覚えとけ」


部屋の中を見ていると、いきなりの恫喝に小鳥遊はビックリしたが、


「!…大丈夫です。決して裏切るような事はしません」


ふん!と久米田は鼻をならし


「一応、信じてやる」


小鳥遊は苦笑し頭を下げて「有り難うございます」と、そうして部屋の事をあれこれと聞き、どうするか考えた。そうして4階に戻ると、グッタリとした二人が


「ようやく、帰って来たのかよ…もうちょっと早くしろよ」


と怒っていた。訳が分からずにいると、丹下がニッコリと


「部屋どうだった?」


「取り合えず、3階の角部屋にしようかなって思っていますが」


丹下は「そう」頷いている。恵と二人黙って見ていると、会長が慇懃無礼に


「公私共々宜しく二人共」


ニッコリと笑った会長に恵が嫌な顔で


「はぁ、本当はいやですけど…宜しくお願いします会長」


「あれ、もしかして嫌われているのかな?心当たりとか無いんだけどな?」


おかしいなあと心にも無い事を言って、惚けている


「………そう言う所が嫌なんですけど…会長」


「フフフ。気を付けるよ?」


呆れながら二人のやりとりを聞いて思わず口に出して


「似てるよ、お前ら…」


小さく呟いたのに、二人が一斉にこっちを見て


「似てない」


と、地獄耳だなと思っていると、恵が嫌な気配を感じたのか、オレを睨んで「何かな?」と詰め寄られて焦った。すると見かねた丹下が助け船を出してくれた。


「こら!こんな所でケンカしない、今日の所はもう帰るなさい明日君達が学校あるんだろう?」


時刻を見ると、大分遅い時間になっていた。恵をなだめて帰ろうと。それに会長も頷き


「それじゃ、帰りますね」


丹下は、アッサリと手を振り「お休み」と笑っている。久米田が今日居るからなのか、オレ達に愚痴を言ってスッキリしたのか、分からないが今のうちかと目で会話し、そそくさとオレ達は階段を降りて行った。


丹下は苦笑しながら帰って行った3人を見送り、少し言い過ぎたかなっと一人ごちた。


「?どうしたんです?」


不思議そうに久米田に言われ、何も無いと首を振った。久米田はドスンとソファに座り


「良かったんですか?あいつ」


「うん?小鳥遊君の事?」


久米田が頷いている。


「大丈夫だよ。久米田君だって大丈夫だと思ったから彼を案内してくれたんだろう?」


言うと久米田は、グッと詰まって丹下を凝視した。それにクスリと笑って


「やっぱり、そうなのかなって思ってた」


久米田がプイっと横を向いたまま顔が真っ赤だ。ボソリと「そうか」と早口で言った。


「それに、小鳥遊君は大丈夫だよ。私は人を見る目あるし、きっとあの子達に害をなす事はしないよ、それより…久米田君、本当にここに越して来るの?別にあのままでも良いんだよ?自分のマンションあるんだろ?」


前から、マンションとここの往復をしていた久米田がいきなり、このアパートに越して来ると宣言して来てビックリした。久米田は頷き


「あそこは売ってしまおうかなって」


「久米田君が良いんだったら、良いんだけど…なんせここは色々不便だろ?駅まで遠いし…」


「確かに、あっちのマンションの方が駅が近いし便利だけど…あそこは、あいつら居ないし…ここだったら、いつでも会えるから、今のオレにはあいつらが必要なんです。多少の不便でも、ここにいる事が大事なんです!丹下さんだって、あいつらを離したく無くて、ここに入れたんでしょう?」


丹下の顔がニヤリと笑った。


「…良く分かったね?そうだよ私には彼らが必要だった、そうか久米田君もか、そうか…分かったよ、もう何も言わない。でももし困った事があったら相談して?出来る事は協力するから」


久米田は頷いて、ソファから立ち手を差し出して


「宜しくお願いします」


握手をして、共同の関係が生まれた。勿論あの二人には内緒の話だが、久米田は時計を見て


「さてと、それじゃ、オレもこの辺で帰りますね」


丹下は「お休み」と見送り一人になった。さっきまでの喧騒はなく、少し淋しいと、でもあの子達に会うまではこれが普通だった。淋しいとか思っていなかった、それが今ではあの子達に愚痴るぐらいになっている、そんな自分の行動にビックリだと苦笑した。でももう大丈夫…淋しいと思うのは多分最後だからと、もう少ししたら、また騒がしくて忙しい日が来る。あの日椿に出会えた事は運命だと思っている。まぁその後多少強引だったのは否めないが、結果オーライだと思っている。

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