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王子様がやって来た

思い描いてることは書けたと思うんだけど、なんか微妙な感じであります。

田中君は今日も元気です! まだそんなに描いていないキャラに勝手な感想を持っています。

 朝の日差しと朝の空気を感じ、街中を風を切り走る。雨さえ降らなければ本当に気持ちのいい朝だ、雨さえ降らなければね。

 新聞配達を終え、帰宅。これから私と母のお弁当の用意をする。

お弁当のおかずのほとんどは前日の余り物やらを利用して準備してある、私は朝ごはんに食べる分を含めての卵焼きを作る。

 うちの家族は、玉子焼きの味を塩派と砂糖派で分かれるので、いつもわざわざ2種類の卵焼きを焼く。

 私と弟は塩派、母と妹は砂糖派。甘い方を選ばない私は男っぽいのか? いや違う私は朝から動き回って汗をかいているからきっと本能的に塩分を求めてるんだ、そうに違いない。砂糖入りの甘いとき卵を、卵焼き用の四角いフライパンに流し込しこんだ。


 最初は母、お弁当を渡し送り出す。次に兄妹たちを学校へと送り出す。私は一番最後だ。

学校までは自転車でゆっくり行っても十分少々。朝食を終え、洗濯物を干したら家を出る。


 今日は雲一つない晴天だ、風が気持ちいい。今日は何かいいことあるかな?


 自転車のペダルにゆっくりと力を込め走り出す。


学校までの道のりも時間も見える風景もいつも通り、学校の中へ入るまでは……。

 

 靴を履き変えていると、普段クラブの活動場所を掲示いている大きなホワイトボードの前に人だかりができていることに気がついた。

なにか連絡事項があるのかもしれないとは思ったが、この人だかりを割って入るのは少し気が引けたのであきらめた。

 大事なことなら教室でも話題になるからいいだろう。 

 横目で人だかりを眺めながら通り過ぎる。みんなの反応を見る限り悪い事ではなさそうだ、時折きゃっきゃと黄色い声が聞こえる。

気にならないと言えば嘘になるけど……。私は教室へと向かった。


 生徒玄関から一番近い階段を上がり、Aクラスの前を通り、Bクラス、Cクラス、と通り過ぎると私のクラス、Dクラスへと到着する。心なしか来ている生徒が少ない気がした、あそこに集まっているからだろうか? スライド式の扉を開けると、やはり我がクラスも人がいつもより少なかった。

 窓側、後ろから二番目の私の席に座る。カバンの中の物を机の中へと移していると、教室内でもよく通る声で話す田中君の席から帰ってきた白井君。

「おはよう、高鳥さん。張り紙見た?」

おはよう、ううん見てない。というか見れなかった、人が多すぎて。と私は首を振った。


「なんかどこかの国の王子が日本に来ていて、こっちにいる間うちの学校に通うって書いてあったよ」


へぇー。そんな感想しかなかった。私には全くもって関係しないことだと感じたから。


「それで、これから紹介があるから第一体育館で全校朝礼だよ」


「裕太~大変だ~! 帰国子女って男でも帰国子女らしんだ! それじゃあ帰国子女だからって期待してても男がやってくることがあるってことだろ!!」

大きな声を上げてバタバタと近づいてきた田中君。白井君と話してる途中で、何か驚きの声みたいなのが聞こえたのはどうやら田中君だったようだ。

 どういう経緯でこの話になったかは簡単に想像がつくが、やってくる王子は帰国子女ではないと思うよ。


 体育館へ向かう間も田中君の話題は帰国子女でいっぱいだった。

 第一体育館、この学校にある体育館で一番大きく、式典など生徒全員を集める場合はこの場所が使われる。

 私達が体育館に到着すると、先に来ていた生徒たちが学年ごとに集まりつつあった。田中君は誰かを見つけると急に三年生の集まっている所に駆け出していった。数秒後、先輩に怒られちったーと自分の頭を叩きながら軽く走って引き返してきた。先ほどの帰国子女のくだりを報告しに行ったのだろうか? 驚きの行動力に、さすがの白井君も呆れて田中君に注意をしていた。


 学年ごとクラスごとに整列が完了すると朝礼が始まり、ステージに学園長が上がりマイクの前へと立った。

 この人は一体幾つなんだろう? いつもにこにこと笑顔が絶えない美人学園長。童顔のせいか年齢不詳な人である。高校生の子供がいるとかいないとか、噂がある。いるとしたらそれなりの年齢になっているはず。なのにあの若々しさ! あれが美魔女というやつか……。


 あの若さの秘訣は!!? などと考えを巡らせているといつの間にか学園長の話が終わっている。全然聞いてなかった。

 学園長が横に移動し促され壇上に姿を現したのは、浅黒い肌の青年。既にこの学校の制服を着用している。その整った顔立ちは少し緊張の面持ちであるものの優しい笑顔を浮かべている。


この人どこかで見たような……?


壇上を見つめる私の目と、壇上に立つ彼と目が合い私に微笑みかけた? ような気がした。


 「皆サン、オハヨウはようございます。私ハ、ベッテルマデン公国王子『カイレン・フォンベルト・ベッテルマデン』デス。キガルに『カイ』と呼んでくだサイ。」

笑顔で手を振る王子に黄色い歓声が起こる。


「ニホン語は勉強しましたガ、まだまだデス。皆サンのごキョウジュよろしくお願いしマス。」

マイクから離れ一息つくと、緊張した顔がほぐれまた笑顔に戻る。その表情で挨拶が終わったのだと分かった。


私の中でまだ何かが引っかかっているような思いは消えない。彼の笑顔を見るたびに感じる思いが私の胸を刺す。



 教室に戻っても先ほどの興奮冷めやらぬのか、クラスメイト達は浮き足立っている。

その理由も私が見逃した張り紙に記載されていたようだ。周りの雰囲気で大体のことはわかったが、一応白井君に確認を取ってみる。


 王子はこのクラスにやって来る。ここで一緒に机を並べて授業を受ける。

私には関係のないと思っていたことなのに、一歩、また一歩と私に近づいてきている? まさか、ね。


 担任の先生が教室へと入ってきた。いつもものぐさな先生も今日ばかりはキッチリネクタイを締め、ヒゲも剃っている。

「皆、もう知ってると思うが、このクラスで王子を預かることになった。くれぐれも失礼の無いようにしてくれ、先生のクビが飛ぶ!! 学園長の目が本気(マジ)だった!」

頭を抱え、なんでウチなんだよーAクラス行けばいいだろう~。と愚痴を漏らす先生にすかさずクラスのお調子者がしゃしゃり出る。


「先生のクビも俺ら次第ってことだな!! まかしとけよ、先生!」

語尾には『(笑)』が入っていたんじゃないか? そう思えるほど楽しげな田中君。


 先生は教壇に顔を伏せ、長い溜息をすると気持ちを引き締め直し廊下で待つ王子を呼び入れた。


 王子は、全校生徒の前で見せた緊張感はもうなく落ち着いた様子で教室へと入ってきた。

教壇の前に立つとクラス全員の顔を見回すと、皆さんどうぞよろしく。と柔らかな笑顔と共に軽い挨拶をした。


 王子と私の目が合う。王子は大事なおもちゃを見つけた子供のように目を輝かせ私の名を呼んだ。

「ミナト」

王子が手を振るその先のにクラス中の視線が集められた。

予想外の王子の行動に驚きより戸惑うばかりの私。


「なんだ、高鳥! 王子と知り合いだったのか!?」

それはよかった! これ幸いと先生は私に王子を託した。


白井、悪いが後ろの空席と変わってくれ。王子を高鳥の横の席にするから。


私がうろたえている間に、どんどん話が進んでいく。


 席が決まり王子は私の横までやって来た、近くで見るとよりその端正な顔立ちなが映える。

「王子、どうして私の名前を……?」


「昨日、ファミレスで合ったヨ。ミナト」


昨日……? 数秒の間。


「ああ! ハンバーグの!」

忘れかけていた昨日の出来事がフラッシュバックして、私はなんとも間抜けな声を上げてしまった。

高鳥、まだ朝だぞ。ご飯の話はよせ。と先生のツッコミに教室が笑いに包まれる。


そんなつもりはなかったのだが、場を和ませることとなった私の言動を皆と共に王子も笑っていた。


 普段から皆の注目を集める対象でない私は、恥ずかしさで顔を上げられないでいると、席に着いた王子は私にだけ聞こえるかのように囁く。


「ミナト、君はボクと一緒ダ」

目を細めいつも笑顔の王子が、目を開き優しく語りかけるように。


私の聞き間違い? 私と王子が一緒って? 一国の王子とただの貧乏な娘。何一つ同じところなどありはしない。


 王子はいつもの笑顔に戻っており、私はその横顔を見つめることしかできなかった。



一話ごとに書いていると一話完結な書き方をしようとしてしまうのは考えものです。今回はその辺を注意してみました。そして文字数が減る、ボリューム感はなくなる。(´・ω・`)

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