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第2章 新たな絆

※2011年6月19日 誤字脱字修正しました。

 しばらく泣いた後、疲れたのか少女は少し離れた民家の塀にもたれて休んでいた。やはり死体がある傍では易々とはくつろげない。しかも、自分が殺した相手ともなれば尚更である。

「私は相良美樹。近くの高校に通う花の女子高生だよ。ちなみに学年は二年生」

「俺は藤堂厚志。近くの駐屯地に勤務してる自衛官だ」

 少女―――美樹が、へーと物珍しそうに厚志を眺める。

「何だ?」

「んー、自衛隊の割に弱いんだなって」

「……君、助けてもらっといてよく言えるね」

 ため息混じりに肩を竦める。だが、美樹は気にした様子も無い。

「最終的に助けたのは私だもーん」

「ぐっ、それを言われたらそうなんだが……」

 事実、後一秒でも美樹がバットを振り下ろすのが遅ければ厚志はこうして話など出来なかったはずだ。それを思い出し、背筋に寒気が走る。

 もはや見えない場所に移動しているため、死体はないが、ふとした瞬間に思い出しそうな経験なのは間違いなかった。

「ところでさが―――」

「美樹」

「は?」

「美・樹。私を苗字で呼ばないで」

「あ、ああ分かった」

 いきなりの剣幕にたじろぐ厚志。先程まで軽い感じで話していた美樹の鬼気迫るような声に驚く。出会って間もないが、まさかこんな声を出すとは思わなかったのだ。

「わ、わかった。美樹。俺も厚志でいいぞ」

「ん、ありがと厚志さん」

「……」

「ん? どうかした?」

 名前で呼ばれた厚志が黙り込んだため、首を傾げる美樹。

「……いや、年上にタメ口使うわりにさん付けで呼ぶのかよ、って考えてね」

「別にいいでしょっ」

 頬を膨らませてむくれる美樹を厚志は複雑な笑みを浮かべて見ていた。

「それで、君はこれからどうするんだ?」

「どうするも何も、私は友達の家に行く途中だったの、なのにあんな変なのがたくさんいたから回り道して行こうとしてただけよ」

「その途中で俺が助けたわけか」

「私が助けたんだけどね」

「……やたら引きずるなあ」

 意地悪な笑みを浮かべる美樹に嘆息する。その笑みはからかっているものだったが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。

「それじゃ、早くその友達の家に行かなきゃな」

「え? 着いて来てくれるの?」

「当たり前だ、今は勤務中じゃないが、一応自衛官だからな国民を守る義務くらいはある」

「ふーん」

 厚志は肩を竦め、言う。美樹は気の無い返事を返したが、厚志の手を取り歩き始めた。

「とりあえず急ごう。いつまたあいつらが来るかわからないし」

「『あいつら』?」

 年下の美樹に手を引かれるのも癪なので、隣を歩く。高校二年だと言っていたから十六、七だろう。厚志とは七、八歳離れている事になる。さすがに年下でも女性と手を繋いでいるという事実に気恥ずかしさもあり手を離そうとするが、美樹は離そうとしなかった。

「さっきの男みたいなゾンビの事」

「ゾンビ……ねえ」

「襲われといてよく信じないわね。ほら、よく映画にあるでしょウィルスとかに感染した死体とかが歩き出して人を襲うの。私は……見たわ、人が喰われるとこ……」

 その場面を思い出したのか、隣を歩く美樹が身震いする。握った手にも力が込められた。

 確かに厚志も人が喰われる場面はつい先程目撃した。だが、それはあくまで仮設に過ぎず、厚志もはいそうですかとは受け入れられるものではない。

「確かにそういう場面は見たが、いきなりゾンビだと考えるのは荒唐無稽過ぎないか?」

 厚志自身、先程考えていたようにゾンビであると言えばしっくり来るのは確かだ。だが、やはり常識が邪魔をして否定したくなる。

「それは……そうだけど」

「……いや、いきなり否定してすまん。俺も友人からそういう映画を見せられてるからそうかもしれない、とは思うが……とりあえずゾンビじゃなくて『感染者』って呼ばないか? そっちの方がなんかしっくりくる」

 しゅんとしょげてしまった美樹をフォローするように言う厚志。だからといっていきなりゾンビ―――いや、感染者が発生したという事を受け入れられない。

「って、そういえば美樹は携帯持ってないのか?」

「あー、鞄に入ってたけどごたごたで無くしちゃった。そういう厚志さんは持ってないの?」

「俺のか? 俺のは今日天に召された」

「何それ?」

 眉をひそめる美樹を放置して、思考する。

(連絡手段は無し、公衆電話を使おうにも金は無い。美樹も鞄が無いから無理だろうな。ならやはり―――)

「……さん、厚志さん!」

 厚志が、どうにか警察なり駐屯地なりに連絡する方法を模索している途中で美樹に強く手を引かれ、遮られる。

「ん? なん―――っ!?」

 美樹に何があったのか聞く前に気付いた。

 ずりずりと何かを引きずるような音が聞こえるのだ。見れば、厚志達が向かおうとしている道の先に先程の男と同じように身体中血や噛み傷でボロボロになった人間がいた。それも一人や二人では無い。ざっと見た限り、数十人はいる。

 老若男女問わず皆一様に一心不乱にとある家の塀に群がっていた。

 家は、周りを容易には登れそうに無い高い塀に囲まれ、そのお陰で侵入を防いでいるようだった。かなり大きな家である。

「あれ、香奈ん家だ」

「……あそこに行くのか?」

 厚志も少し及び腰になりながら聞く。あの中に突っ込んでいくのは自殺行為である。重火器でもあれば話は別だが、生憎今厚志達が持っている武器はバットのみである。さすがにあの数を相手に出来る装備では無い。

「でも、中にはいないみたいだから無事かも……」

「って言ってもなあ」

 美樹も自信が無いのか、その言葉は尻窄みになっている。

 厚志は頭を掻きながら、考えたが、やはり名案は浮かばない。

「あっ、あそこ伝っていけないかな?」

「……んー」

 美樹が指差す方を見て渋った。そこにあるのは隣の民家から延びた屋根である。だが、そこに行くためには中を通るか、どこかしらから上る必要があった。

 上っている間に襲われては元も子も無い。そんなリスクを考え、厚志は少し渋った。

「かなり危ういが……」

「……だよね」

「ま、それが一番堅実な案か。急がないと奴らこっちに気付いたみたいだし」

 美樹が笑顔になるが、すぐに引き攣らせた。

 何に反応しているのか分からないが、厚志達に近かった感染者達が何かを求めるように手を前に突き出し向かって来ていた。まだ数体しか向かって来ていないが、すぐに他の感染者達も気付いて群がってくるはずだ。

「急ぐぞ!」

「うんっ」

 恐怖から強く握られた手を握り返し、厚志は民家に侵入した。

 一応玄関のドアノブを捻るが、やはり開いていなかった。他に登れる場所は無いかと探したが、めぼしい場所は見当たらない。

 もう門を潜って来ている血だらけの者達を見て、厚志は意を決した。

 バットを振り上げ、庭に面した天井から床まである大きな窓を叩き割る。こんな時に雨戸も出さず、補強もされていないため、誰もいないと決め付けて割ったのだ。

「うわ……」

「……何だよ」

「厚志さんってほんとに自衛隊?」

「緊急事態だ。こっちには守るべき国民がいるだから仕方がないのさ」

 言い訳のように呟くと渋い顔の美樹を引っ張り、急いで二階に向かう。

 外から見た隣に延びる屋根がある部屋を探す。外から見たのと中から捜すのでは勝手が違い、少し迷ったがようやく見つけた。

 鍵を開け、窓から屋根に出る。すでに先程の破壊音を聞き付けたらしい感染者達がアイドルに殺到するファンのように厚志達がいる家の庭に入って来ていた。

 屋根は、香奈の家の方が塀ギリギリまで迫り出し、厚志達の方は逆に塀から離れている。つまり、着地し損ねるとこちら側の庭に落ちるという事になる。一度落ちれば確実に奴らの餌食になるだろう。

「先に行くぞ」

「え? やだ、置いていかないでよ!」

 厚志の言葉に置いていかれると思ったのか美樹が追い縋る。今にも泣きそうな美樹はわざとなのか、厚志を落とさんばかりの勢いだった。

「危ないな! 違う、向こうで受け止めなきゃお前が落ちるかもしれないからだ。俺は確実に飛べるが美樹は分からないから、それが確実に助かる方法なんだよ」

「で、でも……」

 厚志は、尚も渋る美樹の頭に手を置いた。

「大丈夫だ、俺を信じろ」

「……っ」

「ま、今日会ったばかりの奴を信じろとか無理かもしれないがな」

 苦笑しながら頭を撫でる。途端に美樹が吹き出した。

「何よそれ、締まらないなぁ……ちょっとかっこよかったのに」

「ん? 何て?」

 後半が聞き取れず、聞き返したが美樹は首を振って何でもない、と答えた。

「んじゃ、行くぞ。もう時間が無い」

 階段の方から呻き声が聞こえてくる。先程開けた――というよりは割った――窓から入って来たのだろう。厚志達がいる屋根の下は血だらけの者達がひしめき合っていた。塀と家の隙間にアイドルのライブでも開くのかというくらい集まって手を伸ばしている。

 厚志はそちらを一瞥すると、助走をつけて飛んだ。屋根と屋根との幅は二メートルほどしかないため飛ぶのに支障はないが、瓦から瓦に飛び移るためなかなか着地がし辛い。

「よっと、美樹早く来い!」

「わ、わかった……っ」

 美樹がかなり危なげに飛ぶ。案の定、着地を考えていなかったのか、瓦を踏み外した。

「馬鹿!!」

 慌てて手を伸ばし、すんでの所で美樹の手を掴む。いくら塀を挟んでいるとは言え、いつ家の中から奴らが出て来るとも限らないため、急いで引き上げる。

「ったく、これくらい飛んでくれよ……」

「……ごめん」

 引き上げた勢いで美樹を抱きしめるような形になっていたが、厚志は何となく離す気に離れなかった。一歩間違えば奴らの中に落ち、喰われていた。それを考えるともう少しだけ美樹が生きている実感を得たかったのだ。

「あの~」

 妙に間延びした声が厚志の耳に届く。辺りを見回すが、それらしき人物は見当たらない。

「あ、後ろですよ」

「……うおっ!?」

 いきなり肩を叩かれ、身体を跳ねさせる。美樹を抱きしめているため、顔だけで確認する。

 そこには今まで張り詰めてきた緊張の糸が緩んでしまうほどの柔らかい笑みを浮かべた少女がいた。

「早く入っちゃってください。下手に来られるとまずいですし」

 雨戸を開け、戸惑う様子も無く促してくる。厚志は底抜けな好意に戸惑いながら、美樹から離れ、落ちないように手を貸して室内に入った。

「……美樹、大丈夫か?」

 ふらふらする美樹を案じて厚志が声をかける。

「へ? あ、大丈夫、大丈夫!」

 美樹は耳まで真っ赤に染め、両手を激しく振りながら言う。挙動不振な美樹に心配した厚志がさらに問い掛ける前に少女が割り込んだ。

「あれ? 美樹ちゃん?」

「うぇっ!? …………香奈っ!」

 少女の問い掛けに美樹は肩を震わせるが、たっぷり数秒後突然抱き着いた。

「香奈~無事でよかった~!」

「わっ、ちょっと、美樹ちゃんっ」

 ほとんど倒れ込む勢いだったため、支えきれなかった少女―――香奈がひっくり返る。だが、美樹はそんな事などお構いなしに頬を擦り付ける。

「あー、感動の再会中すまんが、彼女を紹介してくれないか?」

「なっ!? 香奈は渡しませんよ!!」

 がばっ、っ起き上がると香奈を庇うように立ちはだかる美樹。

「ど、どうしてもと言うなら、わ、私を……」

「いや、意味わからないから」

「あうっ」

 顔を真っ赤にして混乱する美樹のおでこを軽く弾く。

 美樹はようやく正気に戻ったのか、自分の言動を思い出し、さらに顔を赤くしていた。悶えている美樹を放置して、厚志は香奈に向き直った。

「君が香奈ちゃんでいいのかな? 俺は藤堂厚志。これでも自衛官だ。よろしく」

「あ、私は佐草香奈です。美樹ちゃんと同じ高校に通ってます」

 厚志が差し出した手を律義にお辞儀しながら握る香奈。しかも照れたのか、はにかむおまけ付きである。一々和む挙動をする少女であった。

「わ、私は相良美樹!」

「……いや、知ってるから」

 割り込むようにして二人の握手を解いた美樹が叫ぶ。厚志もどう対応していいか分からず苦笑いしか浮かばない。

「あの、お二人は恋人なのですか?」

「は?」

「うぇっ!?」

 香奈が首を傾げながら言った言葉に、厚志と美樹が同時に驚く。

「えっ? あっ、そ、そんなわけな、ない!」

「ああ、ただの行きずりの関係だ」

「はぁ? 何よそれ!!」

 ある意味間違っていないのだが、美樹が過剰に反応するため厚志はからかってみた。

「美樹ちゃん、不純異性交遊は駄目ですよ」

「か、香奈!?」

 香奈はどうやら真面目に受け取ったらしく、腰に手を当てて注意している。美樹が親友な言葉に、あわあわと涙目になりながら、違うよ、と弁明している。

(からかうのはこれくらいにするか)

 美樹の反応の良さについ悪戯心を出してしまったが、さすがに可哀相になり訂正する。

「彼女をたまたま助けらたから、その流れでここに来ただけだ」

「……助けたのは私だけどね」

 ぼそりと呟く美樹を無視して話を進める。

「それで、ここは安全なのか? 出来れば今起きている事が知りたい……テレビを見せてもらってもいいか?」

「あ、はいこの家は安全ですよ。テレビは居間にあるので、こちらへどうぞ」

 香奈に着いて部屋を出る。美樹も唇を尖らせながら渋々と言った様子で着いてくる。

 今更ながら部屋を見ると、明らかに香奈の部屋のようであった。全体的に淡いピンクで彩られ、ぬいぐるみや文庫が目立つ。しかし、今は天戸が閉じられ、部屋は暗くどこか物悲しいものがあった。外から聞こえる呻き声がより物悲しさを引き立てる。

「どうかしましたか?」

「……いや、何でもない」

 いつの間にか立ち止まっていた。不思議そうに首を傾げる香奈に答え、一階に向かった。

 案内された居間には三人の人間がいた。世話しなく動く香奈の母親らしき妙齢の女性。ソファに寝転んだ青年に寄り添うように座る若い女性。母親以外の二人は香奈の兄弟というわけではないようだった。恐らく厚志達と同じく逃げ込んだ者達だろう。

 厚志は母親らしい女性が持っているものを見て慌てて青年を見る。

 青年は肩から血を流し、呻いていた。それが噛まれたものなのか、単なる怪我かは分からないが、あまりいい状態とは言えない。

 母親が真新しいタオルを持って青年の患部を押さえていた赤く染まったタオルと交換する。だが、血は一向に止まる気配はない。

「あ、厚志さん……これまずいんじゃ」

 美樹が小声で言う。どうやら美樹も知っているらしい。

 確かにまずい状況に違いない。外にいる感染者が本当に映画などで見るゾンビならば、この青年はいずれ奴ら仲間入りするはずだ。ここに立て篭もるつもりなら危険要素である。

「止血するなら患部を押さえないといけません。血を吸わせるだけでは意味がないです」

「厚志さん!?」

 驚く美樹を余所に手当を開始する。

 まず、ゴム手袋を貰い、血に触れないようにする。次にタオルを取ると傷口を確認した。

 確かに噛み切ろうとしたような歯型がそこにはあった。すぐに患部が見えなくなるほどの血が溢れ出す。

「厚志さん……」

 不安そうに美樹が近付いてくる。

 厚志はとりあえず無視して患部を新しいタオルで押さえる。傷口が左肩であり、心臓からも近いため出血量も多い。だが、位置が位置のため縛って血流を一時的に止めるわけにもいかない。

 とりあえずタオルを多めに患部に押し当て、その上から包帯を巻いていく。一時凌ぎにしかならないが何もやらないよりはマシだった。

「後はベッドに寝かせておきましょう、ここよりは休まるはずです」

「……すま……ない」

 謝る青年に首を振り、怪我をしてない方の肩に手を回し、立ち上がらせる。

「寝室は何処ですか?」

「あ……こ、こっちです」

 厚志の行動を呆然と見ていた香奈が案内する。

「あ、お母さんは床やソファの血を拭いて、服も変えてください」

「え、ええ」

 同じく呆然としていた母親に指示すると厚志は香奈に案内されて二階にある寝室に向かった。後ろから若い女性も着いてくる。

 案内された寝室のベッドに青年を寝かせる。

「一体何があったんですか?」

 酷とは思いつつも状況の把握のため少しでも情報が欲しかった厚志は聞いた。

「……彼女…………英子と……今日は…………ゴホッ」

「駄目! 和臣は喋らないで!」

 咽せて血を吐いた青年―――和臣の口を慌ててタオルで吹きつつ女性が代わりに話し始めた。

「彼は山田和臣。私は今野英子といいます」

 厚志は、とりあえず名乗った女性―――英子に自己紹介しつつ先を促す。

「今日はたまたま二人とも休みが取れたから出掛けようって事になって……アパートを出たらフラフラしてる人がいたんです…………私は近寄らないほうがいいって言ったのに……和臣が近付いていったらいきなり噛み付いてきたんです…………」

「わかりました。とりあえず今は和臣さんは休ませておきましょう。あなたも食事でも摂らないと倒れてしまいますよ?」

「いいです。私は和臣と一緒にいます」

「ですが、寝かせた方が体力も戻りますし、あなたも疲れているでしょう?」

 英子に居間に戻るよう言う。だが、英子は頑として和臣の傍を離れないと言う。

「嫌、絶対和臣から離れない!」

「英……子……」

 厚志は渋ったが、譲る気は無いのか、和臣にしがみつく英子を見て肩を竦めた。

「……分かりました。何かあったらすぐ呼んでください」

 努めて笑顔を浮かべ、部屋を出た。先に廊下に出ていた香奈が首を傾げていた。

「あの……何で二人を離そうとしたんですか?」

「……意外と鋭いね」

 肩を竦めてため息を吐く。

 厚志は和臣を隔離しようとしたのだ。下手に予想が当たって彼が外の奴らの仲間入りしてしまえば、美樹や香奈達に被害が出てしまう。それだけは避けたかったのだ。

「とりあえず着替えをもらえるかな? その辺りの事を話したいし」

「あ、はい。こっちに父の着替えがまとめてありますので好きなのを着て下さい」

「……ありがとう」

 案内された部屋は倉庫のような場所だった。そんな場所に服がある理由を少し思案したが、下手に掘り下げるつもりもなかったので好意に甘えた。

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