精霊樹が燃えた日
お目通しありがとうございます!
初めて、めちゃめちゃファンタジー小説をかきたくなり、殴り書きしてます!笑
本当にジェスチャーで生きてきたところがあるので、文章での表現方法を研究しながらやっていきます!!
ご感想などございましたら、めちゃめちゃ励みになりますので、お気軽にお書きください!
よろしくお願いいたします。
『はぁっ...はぁっ...はぁ...』
傷だらけのハイエルフは幼い子を抱えて、全速力で走っている。
戦いで汚れた白いローブ。
見た目は人間でいう三十代前半。
長い金白の髪が揺れ、その隙間から覗く空色の瞳が、痛みに歪む。
耳元では、魔力を蓄えたいくつもの耳飾りが、じゃらりと音を立てて揺れていた。
ぎゅっと抱えられ、左右に揺れる少女は体中に傷を負っていた。
『...パパァ...』
少女は弱々しく父を呼ぶ。
ハイエルフはだんだん衰退していく少女を見下ろして、心苦しそうに詠唱した。
淡い緑色の光が少女の体を包む。少女の体に治癒魔法がかけられた。
転移魔法により、ハイエルフと少女は裂け目へと、姿を消した。
トスっ。足が地に着いた。
複雑な魔力が行き交う神秘の地。
ひやりと肌を刺すような空気。
淡い黄色の光が、ゆらゆらと漂っている。
妖精たちだ。
『そうか、ここは…』
ハイエルフの里だ。
『…シルヴァン。』
低く呼ぶ声。
振り向いた先に、長老が立っていた。
人間でいう四十代ほどの姿。
だがその瞳は、長い時を生きた者のそれだった。
長老は抱えられている少女をみて、眉間に皺を寄せた。
『衰弱している…。時間はないな。』
シルヴァンは冷静を取り繕うとした。
自分のローブを脱ぎ少女を包む。
だが手先が震えている。
『ーー頼む…。死なないでくれ…。』
長老はその手を見て、杖を掲げた。
『落ち着きなさい。』
幾重にも重なる魔法陣。
複雑な術式が、少女を包み込んでいく。
バチっ!
電気が弾けるような反応。
少女の体は長老の魔術を拒絶した。
『……龍の子か』
小さく吐き捨てる。
『まったく、お前というやつは……』
だが、すぐに切り替えた。
『ほれ、ぼさっとするな。わしの術に重ねろ』
『……』
『古代治癒魔法くらい、使えるじゃろうが…』
長老はやれやれと呆れ、横目でシルヴァンの傷に目を向けた。
空いた片手で本人に気づかれないように、止血の魔術をかけた。
シルヴァンは我に返り、魔法の杖を構える。
詠唱し、杖が徐々に光を放った。
静かに、そして確実に魔力を重ねていく。
どれほどの時間が過ぎただろうか。
『うぅっ…』
少女の顔から血の気が戻り始めた。
『ーふぅう~…』
張り詰めていた空気が和らいだ。
長老とシルヴァンの魔法は静かに止んだ。峠を越えたらしい。
『じきに目が覚める。』
そう言い終えると長老は少女の前にかがむ。
すやぁ~と眠る少女に見惚れるように『かわいいのう……』と、つぶやいた。
長老の目は孫を見ている眼となんも変わりなかった。
長老は深呼吸をして立ち上がり腰を軽くさすりながら、ぼやく。
『イテテ…。で、この子はどこから拾ってきたんだ。』
シルヴァンは重い口を開いて答えた。
『ラディウスの…長女だ。』
長老は、は?と目をぱちぱちさせている。
『はい?…聞き違いだろう、まさか王家なわけが…』
シルヴァンは続けて言った。
『この子を、きのを、託された』
長老は、もはや口から泡を吐く寸前だ。
『…お前ーー』
長老の言葉を遮るように、転移魔法の裂け目が表れ、血に濡れたエルフ達が表れた。
『陛下!!!お気を確かに!!』
その中心には、体を支えられているエルフ王がいた。
エルフ王は重症だ。
片目を押さえ、全身から血を流している。
滴る血が地面を染め、広がり続けた。
『…エヴェネル…禁術を受けたのか。』
長老が、低く呟いたそして配下へ指示をだした。
『急げ、精霊樹様のもとへ!』
場が一気に慌ただしくなる。
配下たちはとり乱れている。
その中で、きのの指が、ぴくりと動いた。
シルヴァンは、それを見た。
そしてゆっくりと、きのを抱きかかえた。
長老の方へ振り返る。
何かを言おうとして――やめた。
深く一礼し、背を向ける。
そして、二度と振り返らなかった。
エルフ王はシルヴァンの背中と抱えられた少女を見た。
ローブの隙間から覗く、額の角。
押し寄せる激痛に、顔が歪む。
そして、意識を手放した。
エルフの里を後にしたシルヴァンと、きの。
――それから、数年が過ぎた。
幼かった少女は、少しずつ成長していた。
『聞いたか? あのシルヴァンが弟子をとったらしいぞ』
『は? 冗談だろ。あの“弟子をとらない”で有名な大魔導士が?』
酒場では、そんな噂がひそやかに広まっていた。
『一体どんな子なんだよ。』
『俺もよく知らねぇ。あの大魔導士の弟子だ。きっとすごいんじゃないか?』
『どんな天才なんだろうな』
『……でも、妙な噂もきいたぜ』
『妙な噂?』
『ああ。魔法が…うまく使えないらしい』
一瞬、場が静まりー
次の瞬間、どっと笑いが広がった。
『バカだなぁ~お前、もう酒に酔ってるのか?あり得ない。』
『本当だって!俺は金で情報を仕入れたんだ!』
『なら大損だな。あの男が、そんな弟子をとるはずがない。』
――
その頃。
森の奥で、小さな少女が、必死に魔法を放とうとしていた。
『……っ、でちない……』
何度やっても、うまくいかない。
光は生まれても、すぐに消える。
その様子を、少し離れた場所からシルヴァンは見つめていた。
『……もう一度だ。』その声は優しかった。
だがその瞳に、わずかな恐れを宿していた。
まさか。あの選択が、すべての始まりになるとも知らずに…




