17
Zzzzzzzzzzzzzzzzz
~side アリス~
久しぶりにあの夢を見た
あれからもう30年ぐらいたったわね……
今の私ならあの程度の勇者なら倒す事ができた
だが…… 当時の私はその力を持ち合わせていなかった
そして…… あのときに私を助けた男の顔が思い出せない……
私を助けた恩人のはずなのに……
名前は覚えている……
確かレイルと名乗っていた
見た目だけならレイドと同じ黒髪だった
だが…… 別人だろう
そんな偶然あるはずもないし名前も違う
そもそもあの人とあいつには性格でも強さでも天と地ほどの差がある
明らかにオリジナルであろう魔法、見ていると安心する背中
かたや適当な術式に魔力だけでごり押しする魔法、見るからに頼りない表情
あの人は言っていた、いつか魔王になって僕の大切なものを守りたいと
それが何だったのかは分からない、ロード領から来た救助隊に預けた後にすぐに行ってしまったから聞くことができなかった
でも…… あの背中に憧れていつか私も魔王に…… そして魔族のみんなが大切な人を失わなくていいようにしたいと思った
レイドは最初の内は勇者の批判をしていた
それを聞いて最初は頼もしく思っていた
だが…… 途中から分かってしまった
言っているだけで本気で勇者や人間を殺す気などはないということを
それがわずらわしかった
だが、それももうすぐ終わり
補佐の任期が終われば、他の領の魔王になるなり、人間界で人間と戦うのもいいかもしれない……
主人公の代わりにヒロイン?が人間界を攻めようとしています
攻め込んじゃうか、攻める前に未然に思想変更をさせるか考え中