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Zzzzzzzzzzzzzzzzz
魔王に就任して9ヶ月
最近勇者の襲来の数が少ない…
極端な時は1週間通して一人も来ないこともある
もちろんありがたいことだ
毎日1、2人勇者が来ていた日々と比べると兵士達も楽を出来るし、当然僕も楽を出来る
だが…… どこか、きな臭いものを感じる
いくらなんでも数が減りすぎだろう
「ねぇ、何でだと思うデール?」
「小さい イ を入れろ」
最近の僕の主な話し相手ディールに聞いてみる
ここ最近はもう、アリスは書類整理だけして帰ってしまう
話すらしない
どうしても話さなきゃいけない時は伝言をディールにことづけて去っていってしまう
本格的に嫌われたとみて間違いないだろう
「気にしないでよその程度、僕なんか美少女に生理的に嫌われてるかもしれないんだよ」
顔すら合わしてもらえないのだから可能性は低くない気がする、非常に悲しい事だが
「いや、名前をまともに覚えてもらえない方が辛いね」
いやいや
「覚えてるよ、わざと間違えてるだけで」
「余計に悪いわ!」
ですよねー
「でもさぁ、冗談抜きで結構深刻なんだよね」
「ああ、あの様子じゃ次期の補佐の継続は断られるだろうな」
「何がいけなかったんだろうね?」
「さぁな…… 性格じゃないか?お前不真面目だし」
「否定できないね……」
「兵士間でも一時期は性格面に問題があるんじゃないかって話もあったし」
初耳だよ
「まぁ…… 領内に侵入した勇者を倒してからは皆お前の事を魔王として認めるようになったがな……」
「そっか……」
「……そういえば、ずっと聞きたかったんだが…… 何で勇者を殺すことをためらうんだ?人間は魔族の敵だろうに?」
「君もその考えなんだね……」
仕方が無いのかもしれない、人間は魔族をあまりに殺しすぎた。でも僕は他の皆と違って相手がよほどの者でなければ殺そうとまで思えない……
僕は魔王に向いてないのだろうか……
僕の性格が原因であそこまで彼女に嫌われているのなら、きっと僕とアリスは同じ道を歩めない……
それでも僕は勇者をほとんど倒さないだろう……
僕は、人に対して悪い感情をほとんど抱いていないのだから……
次回、レイドの過去に迫る
レイドが魔王を目指そうとしたわけとは?
何となく予告編をしてみた