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12話目です
勇者が領へ侵入してから数日がたった
アリスの僕に対する扱いは更にひどいものとなった
最早愚痴すら言わなくなったのである
話すことといえば僕がしなければならない仕事に関する話のみ
おはよう、さよならの挨拶すらしないとは……
本格的に嫌われたとみて間違いないだろう
「ねぇ…… 兵士dよ、僕は何か彼女に嫌われるような事をしただろうか?」
「俺にはディールって名前があるんだが」
そういうのは僕の近衛兵兼魔王審査のときに色々と世話になった兵士である
「d、僕なんであんなに避けられてるんだろうね?」
「もう少しだけましな呼び方にしてくれ」
「なんでなんだろうね?3時に出されたデザートのケーキをアリスの分も食べたのがいけなかったのかな?」
「そんなことしてたのか?女性のお菓子に関する恨みはおそろしいっていうぞ」
「どうすればいいんだろう?」
「お菓子買ってお詫びしてこい」
「なるほど」
僕はケーキ屋まで走った
「ケーキ100個ください」
「そんなにどうする気ですか魔王様?」
ケーキ屋の店員につっこまれた
買いすぎだろうか?
「色々あるんだよ」
「……そうですか」
ケーキ入手あとは……
「アリス、これ今までのお詫び」
僕はカートを押している
「……何の話ですか?」
「えっと…… ちゃんと渡したからね」
空気が異様に重い気がしたので速攻で立ち去った
「こんな量食べられるわけないでしょー」
なんか聞こえた
だが僕は引き返す勇気を持っていなかった
Zzzz