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第84話 ジローのソロキャンプのんびり配信#622 【2/2】

「もちろん、もっと早く知ってたからって、俺になにかができたわけじゃないんですけどね。オランダにはUDの拠点がないし、そもそも俺は世話になってるだけで、UDの一員ってわけですらない。それはわかってるんだけど……。でも全部終わってから知るのは、なんか、なんだろう……。言葉にできないけど、申し訳ないというか、自分が許せないというか……」




”自分を責める必要はないと思うけど”

”気持ちはわかる”

”ユリスはマジで悲劇の英雄だよな。本人は冒険者になる気もなかったって話だし”

”そうなん?”

”管理局に『名誉特別管理官』みたい肩書を無理やり押し付けられそうになって、それなら冒険者の方がマシって冒険者登録したらしい”

”Sランク認定されたのも、白人のSランク冒険者を増やすためにゴリ押しされたって言われてる。もちろん実力は本物だけど、本人の意思はガン無視だったって”

”才能ある若者が、汚い大人に潰される典型やん”




「本当に、なんなんだろう、あのダンジョンは……」




”特殊ダンジョン攻略は実は、裏で政治的圧力が働いてたって噂”

”俺はユリスを目障りに思う権力者が、特殊ダンジョン攻略に見せかけて排除したって聞いたわ”

”胸糞わる”

”それはさすがにないやろ。そんな話、信じんなよ”

”ないって言い切れる根拠は?”

”「特殊ダンジョンは、秘密結社によって作られた人工ダンジョン」とか言い出しそう”

”日本だとあまり有名じゃないけど、円卓の守護者の結成秘話はマジで面白いから、興味ある人は調べて欲しい”

”面白いとかいうなよ。不謹慎やぞ”




「階段が上に続いてて、この世に存在しない宗教や、存在しない神様がいて……。なんか、ハンガリーだったかな? どこかのインディーズゲームに、よく似たモンスターが登場するみたいだけど……。でも意味わかんないし。なんでハンガリーのインディーズゲームのモンスターが、オランダのダンジョンに出現するんだっていう。百歩譲って、ゲート周辺で、そのインディーズゲームが流行ってるとかならわかるけど。でもそんな事実はなかったらしいし……。たぶん偶然、見た目が似てただけなんだろうね。……『特殊』なんて呼ばれるだけありますよね。本当に、あれは……」




”ダンジョンが自然発生してるって考える方が馬鹿。人口や国土比で考えて、日本のゲート発生率が異常に高い。統計を見れば明らか”

”特殊ダンジョンは世界滅亡の前触れ”

”統計w でた、馬鹿の考える統計なw”

”不謹慎厨ってどこにでも湧くよな”

”ちんこ”

”思考停止でいられる脳みそが羨ましい”

”糖質乙w”

”やばすぎ……。俺、気づいちゃった……。これ見て。ゲート発生地点を適当に線で結ぶと、地球にでっかいチンコの絵が……!”

”地球からチ⚪︎コ生えたアアア!!”




「……あぁああああ!」




”怖”

”どうしたんや、急に”

”びっくりした……”

”大丈夫? ちょっと休んだ方がいいよ、マジで”

”そんな頭を強く掻いたらハゲちゃう……”

”あんまり無理しないでね”

”さすがジロー。荒れかけたコメント欄を一瞬で黙らせやがった”

”頭おかしい奴の相手をする時は、相手以上に自分が狂えばいいという、いい実例やな”




「いや、さすがに……。それは……。でも……」




”マジでどうしたんやろ”

”変なキノコでも食った?”




「なんか、色々言われてるじゃないですか、あのダンジョンって。まあ、『特殊』なんて呼ばれるくらいだし……。ボスが連続するダンジョンなんじゃないか、とか。一部じゃ『九九(くく)()の段ジョン』とか言われてたり。でも俺は……。あれ、特殊でもなんでもなくて、普通のダンジョンなんじゃないかなって思って。ただ、方向が逆なだけで……」




”はい?”

”本気で言ってる?”

”お前もうマジで休め”

”あれ見てどこが普通やと思うねん”

”ユリスの死がそれだけショックやったんやな……”

”方向ってなに?”




「いや、それは、もちろん、俺だっておかしいとは思ってるけど……。でも、あのダンジョンを一目見た時から、頭から離れなくて……。そんなわけない、ありえないって、その考えを振り払おうとしても、できなくて……。だから、その、つまり……。あれって、出口なんじゃないかな……」




”は? 出口?”

”どういうこと?”




「ほら、例えば、ダンジョンの階段って、上層階ほど幅が広いんですよ。一階層から二階層への階段なんて、五人が肩を組んでも平気で降りられるくらい広くて。それが下に行くほど、幅がどんどん狭くなっていくんですよ。まるでダンジョンが理解してるみたいに。深く潜れば潜るほど、そこを通れる者の数が減っていくって。それから、深階層で見られるダンジョン文明。それも、下に行けば行くほど、文明の色が濃くなっていく」




”まぁ、そうだけど”

”でもそれがなんなんや”




「だから……。もしダンジョンを、このままもっともっと深く潜っていって、最下層に着いたら……。たぶん、ちょうどあんな感じになると思うんですよね」





”え……。つまり、ユリスたちはダンジョンの出口から入って、最下層のボスと戦ったってこと?”

”いやいや、それはさすがに……”

”確かにそれなら、あの異常なボスの強さにも説明がつくけど……”

”いや、でも……。えぇ?”

”やばすぎ”

”俺まで頭おかしくなりそう”




「そう考えると、全てに説明がつくんですよ。ほら、あのダンジョンって、ルールというか、文化というか、世界観というか……。なんかこれまでのダンジョンと、根本的なところから、まるで違ってる感じがしませんでしたか? 前にどこかで話したんですけど、ダンジョンって過保護なほど、人間に都合よくできてるんですよ。でもあのダンジョンは違った。ボス戦が始まったら、決着がつくまで不可侵で、魔物も悪意に満ちていた……。これまでと違いすぎる。あまりにも、理不尽で……」




”だからこれだけ騒がれてるんやろ”

”今更なに言ってんの”

”だから特殊ダンジョンって呼ばれてるんじゃん。それを……”




「もちろん『特殊ダンジョンだから』で説明もできるんですけど……。でも『()()()()()()()()()()()()()()()()()』って考え方もできませんか? あのボスだって、そうです。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()……。そういうふうに考えることも……。いや、むしろそっちの方が筋が……」




”なに、別の世界って”

”怖い怖い怖い怖い”




「……根拠のない仮説ですけどね。それもかなり突飛(とっぴ)な。でも……。ダンジョンが存在するのに、別の世界は存在しないって決めつける理由って、どこにもない気がするんですよ。もちろん、別の世界が存在するって決めつけることもできないですけど。例えば俺が今いる、このラストヘイブンダンジョンの最下層まで行けば、あの特殊ダンジョンに繋がる可能性だってゼロじゃない。ダンジョンは空間が歪んでるから、十分ありえる。ダンジョンの最下層は、オリジナルの魔物が跋扈(ばっこ)して、世界観が狂ったと思えるくらい、理不尽度が跳ね上がるのかもしれないし。……いやそもそも、あれが出口だって仮説が正しい保証すらないんだった。……でも。……俺は、怖いんですよ」




”俺はお前が怖いよ”

”よくそんな吹っ飛んだ発想ができるな……”

”ジロー、これ本気で言ってんのかな?”

”過去一じゃない? これまでも妄言を吐きまくってたけど”

”さすがにジローのメンタルが心配やわ”




「ほら、オランダ政府は、特殊ダンジョンへの立ち入りを恒久的(こうきゅうてき)に禁止するって発表したじゃないですか。それで批判も殺到したみたいですけど。『だったらなんで攻略隊を行かせたんだ。危険なのは分かりきってたんだから、最初からそうしろ』みたいなね。みんな楽しみにしてたくせに、問題が起きた途端に『俺は最初からそうなると思ってた』みたいな顔して……。いや、知りもしなかった俺に、言えた話じゃないな。ごめんなさい、今のは忘れてください。とにかく……。批判があっても、立ち入り禁止って判断に異論を持つ人は少ないでしょ? 国も個人も、こっちから手出ししなければ危険はないって、みんなそう思ってる」




”いや、だってそれは……”

”魔物は生きたままゲートを越えられないんだから、そりゃこっちから近寄らなければ、なにも……”




「……俺は、本当に怖いんですよ。そのうち、あの化け物を倒せるだけの力を持った誰かが、ゲートを越えて、この世界にやってくるんじゃないかって。それこそが、ダンジョンの目的なんじゃないか。宝箱や希少なアイテムで射倖心を煽って、配信で人を集めて……。そうやって強化した人間を、別の世界に送り込むことこそが——」

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― 新着の感想 ―
これはアマちゃんの出番かな 今のところただの突拍子もない仮説だけど、あのジローの発言だからね 値千金の可能性が高すぎる そこらへん正確に組み上げられるのUDしかなさそう
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