七日
最終日。
クラス全員でお別れの会を開いた。
佐藤先生は一人一人にお別れの言葉を述べ、最後に俺のところに来た。
「あなたのこと、忘れないよ」と言ってくれた。
お別れの会が終わった後、俺はこっそり彼女に話しかけた。
もちろん、このまま別れるわけにはいかない。まだ言えてないことがあるのだ。
人気のいない場所。
その条件に合うのは校庭しかなかった。
俺は深呼吸をしてから話し始めた。
「佐藤先生にまだ言えてないことがありました。
……俺、先生のことが好きです」
やっとのことで出した言葉は、声が震え、みっともなかった。それでも想いを打ち明けることはできた。
彼女の表情はいたって平静だった。
あらかじめ分かっていたのかもしれない。
「ありがとう。でも、あなたはまだ学生です。今はその気持ちを受け入れることはできないの」
優しい笑顔がそう語る。
彼女の言葉に、俺は寂しさを感じたが、同時に望みも感じた。
「わかりました。大人になったら、もう一度告白します」
佐藤先生――佐藤さんは目を丸くした。
そして、微笑む。
彼女の頬は赤く染まりだし、優しい瞳が真っ直ぐこちらを見つめる。
見つめ合う中、彼女は「うん、その時を楽しみにしてる」と囁くように言ってくれた。