4/7
四日
朝から少しそわそわしていた。
というのも、今日は佐藤先生が初めて教壇に立つ日だったから。
授業が始まると、佐藤先生は黒板に数式を書きながら、その柔らかい声で、一つ一つ解説する。
最初こそぎこちなかったが、授業が進むにつれて、佐藤先生の緊張もほぐれていったようで笑みが増える。
彼女が問題を解くために生徒を指名するとき、俺も一度当てられた。
人前で何か発言するのは苦手な質だが、彼女の優しい目を見ていると、なんとか答えることができた。
彼女は「よくできました」と小さく微笑んでくれた。