表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/35

文章だけの存在

 文章だけの存在になりたいと思っていました。


 どれだけまともに振る舞おうとしても、どれだけ自由奔放に振る舞おうとしても、人間としての自分の皮が邪魔をして、妙にダブついて不恰好な存在になってしまいます。


 俺が俺としてこの世界に存在している以上、俺の言葉は全て、この不恰好な皮の隙間から漏れ出ます。それは、しぼみかけの風船の空気みたいに、弱々しくも確実に漏れ出てしまうのです。

 

 そして、社会的な立場とか、生い立ちとか、容姿とか、経済力とか、そんな感じのよくわからないものが、俺の言葉や文章の価値を、勝手に決めつけようとしてきます。

 やたらめったらに付箋が貼り付けられ、よくわからないところに二重線が引かれている俺の言葉は、おそらく本質的には俺の言葉ではないような気がします。


 だから俺は「幕田卓馬」とかいう架空の存在を作って、それに成り変わりました。


 それは文章だけの存在で、人間を装うダブついた皮も、言葉に勝手に張り付いてくる付箋もない、日常から独立した存在でした。文章だけで居場所を作り、文章だけで語り合い、文章だけで評価される、厳しくも公平な存在でした。


 最近そいつが、俺が必死で守っている人間の皮を破り取ろうとしてきます。

 それは困りますが、でもまあ、そうなったらそうなったで仕方ないかな、という諦めみたいなものもあります。


 文章だけの存在が持つ心地良さは、日曜日の朝の毛布みたいに心地よくて、捨て去るのはとても難しいのです。


特に病んでるわけではないので、大丈夫です(*´Д`*)

言いたかったのは「文章だけの存在」となってる自分が、とても理想的で、心地いいなと感じているって事なんです。

そういう時間があってもいいじゃない。

面倒臭いに日常の、わずかばかりの逃避として……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] わかる。。 [一言] Ajuは幕田卓馬さんしか知りませんし。。 でも、ちょっと会ってみたい気もしますけどね。(*´艸`*)
[良い点] こんにちは。私は文章の精霊です(*´ω`*)
[良い点] 興味深く拝読しました。 『文章を書いている自分』がいるお蔭で、リアルの自分が必要以上に病んだり思い詰めたりせず、どうにか生きている気が、私はしますけど。 その感覚に近いような気がいたしま…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ