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パンイチですが変態ではありません〜転生したら全裸だった。ダンジョンで見つけたパンツを履いたら呪われた〜

作者: あお

 『異世界転生』

 ついさっき交通事故で死んだはずなのに、今は見たこともない洞窟の中にいる。これはきっとそういうことなのだろう。


「神様にあったりとかは… 無しか。」


 俺は趣味のなろう作品を思い出しつつ呟く。

 まあ転生物でもそのへんカットされてる作品も多い。


「うん。まあ…それはいいんだが……」


 別にチート能力がないなら知識無双をすればいいだけだ。

 そんなことを考えつつ、俺はあたりを見回す。

 洞窟のゴツゴツした岩肌を光る苔やキノコがLED照明バリに照らしている。日本にもヒカリゴケという物は存在したがあれは淡く発光する程度で周囲を照らす明るさはない。そんなファンタジーRPGにしか存在しなさそうな不思議植物から、俺はここを異世界だと認識したわけなのだが……

 そして明るいおかげで今の俺の格好もはっきりわかってしまう。

 マッチョとはほど遠い貧弱な腕、最近気になりだしたぽっこりお腹、美白ではなく単に日にあたってないだけの不健康そうな白い肌、肌の白さで余計に毛深さが目立つ体毛、日本の成年男性の平均サイズよりやや小さめのゾウサン…


「…チート装備とか言わないので、せめてまともな服くらいくれてもいいんじゃないですか…神様……」


 不思議植物に照らされて普通に明るい洞窟のなか、伊勢(イセ)正義(マサヨシ)32歳…全裸です。

 なんのプレイだよ…

 全裸縛りプレイ? いいえ、露出プレイです。っか??

 はっはっはっ……


「…笑えねぇ……」


 洞窟だけどたぶんここ、ダンジョンだよね? モンスターとか出るよね?? 冒険者に助けを求める? 俺、全裸だけど法律的にセーフ?アウト??


「まてまて、まずはわかることから確認していこう。」


 だいたいこういうのは小説とかだとステータスの確認が出来ることが多い。戦えるのかどうかまずそれを確認してみよう。


「ステータスオープン。」


 物は試しでしかなかったがどうやらテンプレ通りの台詞で正解だったようで、俺の前に半透明のステータスが書かれたウィンドウが現れる。


《  名前  》 マサヨシ・イセ

《  年齢  》 32

《 レベル 》 1

《  体力  》 100

《  魔力  》 45,450,721

《物理攻撃力》 20

《物理防御力》 20

《魔法攻撃力》 19,190,721

《魔法防御力》 20

《 敏捷性 》 15

《 スキル 》 鑑定 アイテムボックス

 装備

《  武器  》 無し 

《 頭装備 》 無し

《 腕装備 》 無し

《 胴装備 》 無し

《 脚装備 》 無し

《 装飾品 》 無し


「…ステータスクローズ……」


 ウィンドウが消えた。

 …ふぅ……


「童貞の俺への当て付けか!!」


 ああそうだよ!童貞だよ!魔法使いだよ!! ってかなんだよ!なんでわざわざ0721とか端数つけんだよ!!ナニしかしてないと言いたいのか!? その通りだよ!!


「はぁ… ってか魔法使いっぽいが魔法ってどうやんだよ?」


 とりあえずそれっぽい感じで思い付く呪文をあれこれ唱えて見るが…

 しかしなにもおこらない。

 …あれか? スキルに魔法がないと使えないのか…??


「…使えねぇ……」


 となるともう、こそこそ進んで宝箱でも漁り着るものがあることを祈るしかない。

 俺は意を決して洞窟を進むことにした。




 洞窟を進みどれくらい時間が過ぎただろうか。案の定いたゴブリンなんかのモンスターに見つからないよう、おっかなびっくりうろうろ進んだせいで時間に対して探索は全くできていない。


「…やべぇ……」


 不思議植物で明るいだけでここは洞窟のなか、全裸だと涼しい通り越して寒い。途中見かけたゴブリンのいつ洗濯したかもわからない犬小屋の毛布並みに臭そうな腰巻きですら羨ましいほどだ。


「…熱は発してねぇかな?」


 俺は少しでも暖をとろうと光る苔に手をかざしてみる。


「って…あれ?」


 全く暖かくはないが壁にむした苔の下にスイッチのような物がある。


「…ひょっとして隠し部屋とか……?」


 ポチッ


 スイッチを押すと洞窟の壁が静かに開き、先には綺麗な宝箱があった。


「おおっ!」


 お願いします!毛布とか!服とか!なんか衣類入ってて!!

 俺は祈りながら宝箱を開く。

 中には金貨が詰まっており、その金貨の下に埋まるように他にもなにかが入っている。

 金の価値が日本と同じなら宝くじでも当たったほどの財産だろうか?だが今は金なんて後回しだ。俺はゴミ箱でも漁るかのように金貨を掻き出し宝箱の中を漁る。

 引っ掻き回した時に指先にいろいろな物の肌触りを感じたがまず俺が掘り出せたのは1冊の本だった。


『ゴブリンでも出来る! 初級魔法入門』


 鑑定スキルが働いたのか、見たこともない文字にも関わらず不思議と表題が読めた。


『ゴブリンでも出来る! 初級魔法入門

 長い修行も難しい勉強も必要ない!? 脳に直接作用することで最後まで見るだけで火、水、風、土の基本四属性の初級魔法を使用可能にする素晴らしい魔法書。

 効果:スキル 初級魔法《火、水、風、土》を付与』


 …いろいろ気になるが後だ……

 俺は本を脇に奥と再び宝箱を漁る。それよりさっき宝箱の中に布っぽい肌触りがあった気がすることの方が重要だ。


 ガサゴソ……


「っ!!これだぁああ!!!」


 俺はちらりと見えた布地を掴んで引っ張りだした。


『魅惑のパンティ』


「……」


 シルクのレースをあしらった高級感のあるデザイン。

 可愛らしい淡いピンク。

 それでいて大胆にギリギリを攻めたセクシーさ。


「……」


 …ねぇ、こんなときどんなかおしたらいいの……??

 全裸で女性用下着を握り締めてるおっさんにはわからないよ……


『魅惑のパンティ

 冒険者だっておしゃれがしたい、そんな声にお答えした大人気シリーズ第3弾。小悪魔な魅力で気になる彼のハートも射止めちゃお。

 効果:スキル 快適 清潔 疾病耐性を付与』


「……」


 いや、確かに衣類だよ… パンツも衣類だけどさぁ……着れねぇよ!

 ってか無駄に性能いいな。快適は装備者を暑さ寒さ湿気なんかから守るスキル。清潔は文字通り装備者を清潔に保つスキル。疾病耐性は病気にならなくするスキルみたいだが…あれか?やっぱ性病を見越しての物なんかね? 冒険者向けみたいなこと鑑定できたけど優秀なスキル揃ってんな…着ないけど…

 しかしあれだな、意外と伸びるな。ゴムみたいな感じじゃなくてそのものが大きくなる感じ。あれか? これがチビッ子から巨漢までパーティみんなが装備を共有出来るファンタジーフリーサイズってやつか? いやほんと不思議だなぁ。

 それにしてもほんと肌触りとかさらさらで高級品って感じですげぇな。いくらすんだコレ? そういや日本でも女性物の下着って専門店とかブランドあって男物と別の世界だったからな。うん、だからこれは未知なる物への純粋な好奇心であって別にパンツに興味があって調べてるわけじゃないぞ?

 いやでもコレほんとに履けんのか?後ろとかほとんど紐みたいなもんだぞ? あっいや、着ないよ?試してるだけだから。

 だが、どうでもいいが腹毛と陰毛の境目ってどこだ?はみ出したこの毛は腹毛ってことでセーフだよな? ん?着てない着てない、履いただけ。

 っと、少しポジションが悪いな……


 ごそごそ……


「っは!! 着ちまった!?」


 やべぇ、なんか一時の気の迷いで大変な過ちを仕出かしてしまった気がする。


「ぬ、脱ごう!今すぐ脱げばきっとセーフ!!」


 俺は急いでパンツを脱ぐ。

 が、どう頑張っても片足の足首に引っ掛かって脱ぐことが出来ない。


「…あっ、コレ知ってるわ……」


 なんて呼ぶのか知らないが、オカズとしてかなりお世話になったよ。猫画像ってフォルダにかなり集めたなぁ…

 …まあ集めたのはおっさんじゃなくて二次元美少女のだったが……


「って違う!!」


 俺は慌ててステータスを開き該当箇所を確認する。



 装備

《 胴装備 》 魅惑のパンティ(呪い)


『初めてできた彼女と過ごすクリスマスイブ。男は悩みに悩み、勇気を出してこれを購入するも卒業を逃した上フラれてしまう。そんな悲しき童貞の無念と怨念が込められている。』


 そんなクソみたいな理由で該当装備を外せず、さらに該当箇所に追加装備をつけれなくする呪いという異常が発生している。



「す、すみません遅くなりました。転生システムの方に不具合がありまし…」


 その時、突然俺の前にまばゆい光と共に白く輝く女神が頭を下げながら現れ


「…お邪魔しました。」


 顔を上げた途端に帰っていった。

 違うんです女神様聞いてください。確かに好奇心に負けてしまったのは認めます、でも…

 パンイチですが変態ではありません。

普段真面目に書いているやつです。良ければ読んでください。

https://ncode.syosetu.com/n7669hm/

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