ポテトチップスは昨夜
私はどんな人でありたいのでしょう。
人助けをする者ですか。
導く者ですか。
同ずる人ですか。
私には分かります。
行く人です。
同せず、征く人です。
大切な何かを、大切に行く人です。
晴れ間のなか、傘を差さぬ人です。
私はたれだろう。
洋菓子を食し、口溢る。あなたと衝けば、灰を飲む。灰を吐けば、湖岸である。
荻の葉を見上げ、雲を伝う。はるか衝き行ば私の白髪たろうか。黄筒を開ける。眼を覚ますのである。酒は要らない。在るのは赤い小座と、白い窓だけ。そこに和菓子でもあれば、葉は一になっただろうか。
5時だ。人を見に行こう。枝毛は何処まで枯れているだろうか。荻だろうか。パンダのティッシュケースが落ちている。白い包帯が巻かれている。あなたの首許には、マスクがあるのですか。その汚い靴には、黒子があるのですか。
食す。ぱきぷへり板チョコを飲み、酒を仰ぐ。酔っ払ってきた頃に、和菓子を飲み、灰を吐く。私はたれだろう。
白い声がする。天使さまのような、川辺のような、灰を吐けばきらきら雲が流れてゆく。笑う。笑う。この口端が、晩秋のようである。
露店をつかつか切れば赤い髪の毛の私である。名前は萩と言う。竜田揚げを主とし売っている看板だ。木漏れ陽のようにきらきら顔を出す。5度出た所で私の体温も5度になる。晩秋だ、と言うと護るとはなんぞやと訊く。あなたの生え際と、その爪元である。それを私はどう護っているのだろうか。私の生え際、爪元・・・。竜田揚げのように、茶色い。
遊具に子供の声。影が散漫している。苗字は何たろう。菊地か、田辺か。萩と言う子の名前は何々たろうか。各々が散っていく。散太、と言うのか。後の奴は名が在るのだろうか。
私の名前は散太、公園に散る、と書いて者の太だ。月が髪を博す。私の名前は、公に居ない。
カレーパンの手触りがする。美味しそうだ。これは女の髪だ。ざらざらとし、香り立つ。貴女はだれだ、私と言わないのは何故だ。カレーパンが離れない。
家を行けば男の声だ。私の名を呼ぶ。聞き取れた。貴男の名は? メロンパンと言う。貴男のように柔らかい存在だと。好きです、と言う。
私の名は何たろうか。多屋か・・・。増田か・・・。荻の葉が鳴る。白々と、赤く鳴る。夕焼けの如く壁が難々しくなる。ちたつちと鳥が渡り、実は残らない。へたくちと実を賭せば、青く光る。身を賭せば、萩が女になる。眠たくはないか? ないよ。お前は女か。そうよ。違う。違う。お前は女じゃない。だって私は女を知っている男も知っている。女はそうよ。など言わない。男はそうだなんて言わない。じゃあ私は何て言うの?
秋が来れば夏が来る。
冬が来れば春が来る。
あの人が帰れば来る人がいる
あの人が帰れば、来る人がいる。
愛せば、愛する人がいる。
愛すれば、愛す人がいる。
籠の中の蟻よ。
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