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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

お金の配達員

作者: ヨコタコヨ
掲載日:2022/11/01

ひたすら自転車を漕いで漕いで食べ物を届ける。

知らない道もGoogleマップを使って、知らない場所に行くのが楽しかった。


また、件数を多くこなすほどお金が稼げる歩合制なので注文を受けて、マップに指示された道をひたすら走り続ける。

お金の為となると周りが見えなくなり、猛スピードで少し危ない走行をしてしまうともあった。


ただそんな配達の仕事だが怖いこともたまにはある。それは昼間は大丈夫だが、夜は電灯などもない場所に行くと少し怖さを感じたりもする。

ただ怖さよりお金への執着の方が強いので我慢して配達を続ける。


そんなとある日の配達。


7/31(水)

時間は夜23時を過ぎていた。いつもならこの時間には帰るが今日は帰らない特別な理由があった。

実は一月で300件配達するとボーナスが手に入る。

そのボーナス料はなんと5万円。

そして今日は月末の7月31日。

その為、今の配達料が299件の俺はどうしてもあと1件配達して家に帰りたかった。


実は先月の月末

6/30(火)

今回と同じ様な状況で299件まで行き23時30分で注文を受けた俺は猛スピードで自転車を漕いでいたが途中の交差点で転んでしまった。

痛みもあったが5万円のお金への執着は人一倍強い俺。


お金!お金!5万円お金


そんな気持ち一身に痛みより金のために自転車を漕いだ。


そしてなんとか24時までには注文した人の家に到着し商品を渡すとお客さんはとんでもない形相をして

「こんなもの受け取れるか!」

と怒り受け取ってもらえず300件を達成できなかった。

よく見ると袋にはおそらく転んだ時ついた血がべっとり付着していた。

その時ボーナスの5万円が貰えることが出来ずとても悔しくて、今月は何としてもあと一件はいたつしたかった。


しかし路上で15分待っても注文が来ない。

24時を過ぎると一月分の配達数はリセットされてしまい、ボーナス5万円が手に入らない。

あと一件の注文がどうしても欲しかった。


金持ちからすればたかが5万円かもしれないがお金への執着の強い俺は注文を受け取り24時までに配達をしたかった。

もし今から注文を受け取ったら、猛スピードで配達をする。


そんな時一件の注文が入った。

確認するとマクドナルドでポテトとハンバーガーの注文。


一目散に指定されたマクドナルドへ行き、商品を受け取った。


目的地を見ると交差点の真ん中に、ピンが立っていた。


普通は家の前に配達する為、道路に商品を置いてくわけがない。しかし注文したお客様が、住所の入力ミスなどがあると、この様な形でピンが道路などにたっていることもある。

そのような場合先ずはお客さまに電話を入れ、正しい住所を確認し配達を始める。

その為、今回もまずはお客さまに連絡を入れてみた。


電話が繋がった。


「もしもし、配達員のものですが商品をピックアップしたので今から配達をしたいのですが、住所が分からずご連絡させて頂きました。」


すると受話器の向こうで不思議そうな声で


「もしもし、こちら119番ですが

事故か救急車、火事でしょうか」


お客様の電話に連絡したのに何故か連絡した相手先は119番だった。


「すみません、間違えました」

と言い残し電話を切った。


普通に考えてこんなことはありえないが、何か電波の間違えかと思い、もう一度お客さまにかけると再び119に繋がった。


再び間違えましたと謝罪し、24時までのリミットも迫っていた為、猛スピードでピンのたってる交差点へ向かった。

もしかしたらお客さまは、自宅の場所を知られたくなく、近所のここで商品を受け取ろうとしてるのかもしれないと思い自転車を漕ぎ始めた。


漕いで約15分ほど経ち指定された交差点へ着いた。

するとその場所は一月前の、6月30日ラスト

一件の注文を配達する為、猛スピードで自転車を漕いで転んだあの交差点だった。


時刻は23:40分、あとはここで待つしかない。


人は誰もいなかったが辺りを見渡すと交差点の歩道の脇に花が置いてあった。


あぁ、この場所で事故があって誰か亡くなったのだろうなぁ、と思いあまりこの場所には長居したくなかったが待つことにした。

お客様が指示した場所にいき、電話しても応答がなく10分待っても現れなかった場合、商品は自分のものになるからだった。

配達料としてお金も貰え、300件の配達ボーナスの5万円も手に入り、更にお客様が注文した商品も自分のものになる、とてもラッキーなことなので少し気味が悪い場所だが待つことにした。


待っている途中よく見ると向かい側の横断歩道を渡った先に何やら白い板が立てかけてある。

10分待つのも暇なので横断歩道を渡り白い板の方へと向かった。


そこには

6/30 (火)この交差点で自転車とぶつかった男性が転倒し死亡した為、現場を目撃した方の情報提供を呼びかける看板だった。


それを見て、歩道脇に置いてあった花は献花だということがハッキリわかったと共に、この交差点で事故があった日に俺はこの場所で転んだことに、少し怖くなった。


それを知り尚更、早くこの場から立ち去りたい気分になったが、まだ持ち帰りができる10分まではあと5分ほどあり、お金が大好きな俺は

5万円のことだけを考えることにした。


お金お金お金5万円

その気持ちだけが俺を蝕んでいた。


すると1人の女性が横断歩道を渡っていると猛スピードで走る自転車と接触した。


女性はその場で血を流し倒れている。


ぶつかったのにも関わらず何故かその場を猛スピードで立ち去っていく自転車。


走って女性のもとへ立ち寄ると

その女性はとても怖い鬼の様な形相と男の様な低い声で


「今度はどうする」


と一言だけ残して血を流して倒れていた。


とても怖かったが先ずは119と110に連絡をしたら5分程で救急車が到着し女性は運ばれた。


その後、警察も来て詳しい事情聴取もされた。

今回の事故のことを一通り話し終えたところで警察が俺の自転車を見て不思議そうな顔をして聞いてきた。


「この自転車って貴方のものですか?」


「はい、そうです」


答えると、怪訝そうな顔で


「普段から配達員をなされてるのですか?」と聞かれ


「そうです」と答えた。


すると更に自分の配達履歴や、自分の住所・電波番号を事細かく全てを聞いてきた。


そんな話をしていると病院から

「今回事故にあった女性は事故後、すぐ救急車を呼ぶことが出来たおかげで一命は取り留められた」

との情報が入った。


それを聞き警察も少し安心した表情で

「情報提供、事故後の迅速な対応ありがとうございました、おそらくまたご連絡させて頂きます」

と言われてようやく警察に解放され自宅に戻ることにした。


マックの商品はとてと冷めていた。


家に着いて、今日は人助けもしてマックの商品もタダで貰えて、300件配達の5万円も手に入り気分がよかった。

交差点で献花や事故の情報提供を呼びかける白い看板を見た怖さも忘れかけていた。


そして、何より人を轢いたのに走り去っていった今日の配達員に自分と同じ様に300件まであと一つの注文をしていていたのだと思う。

ボーナス5万円への執着の気持ちは分かるが

おそらくあの配達員は明日にでも捕まるのかとそんなことを考えていた。


自分のものになったマックを食べようと袋に手を取った時異変に気付いた。


先月お客さまに渡したが怒鳴り返された商品みたいに血がべっとりついていた。


怖くなり怯えていると

なぜかもうオフラインにしていて注文は入らないはずのアプリから注文が入っていた。

見てみるとあの交差点の場所に再びピンが立っていた。

怖くなり直ぐに電源を消したが何故か注文の音が鳴り止まない。


再び携帯をつけるとの地図画面になっておりあの場所の交差点にピンではなく1人の男がたっており猛スピードで自転車を漕ぐ人とぶつかった。


その自転車を漕いでいた人は明らかに俺だった。


その瞬間携帯の画面が

血だらけの男に変わり


「何故あの時は、今日みたいに直ぐに救急車を呼ばなかったんだ」と叫んだ


その瞬間、何故警察が今日の事故より俺の情報を聞き出していたのかがわかった。


お金への強すぎる執着は周りが見えなくなる…


お金お金お金

金金金


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