仲介屋について
仲介屋は、犯罪を除くあらゆる依頼の仲介を行う組織である。
国家間・勢力間に一切関わらず、完全な中立を守り、依頼人と引受人の橋渡しをするために存在する。犯罪関わることでなければ、『犯罪組織』からの依頼も受けることがある。ただ、やはり過去に受理された依頼の件数は、とても少ない。
信頼を大事にするため、受付に嘘を見抜くのを得意とする『聞き耳』と呼ばれる人が必ず一人座っている。『聞き耳』は魔法使いではなく、経験から嘘を見抜く技術を鍛えた人である。杓子定規で、嘘をついたから依頼を受理しない・依頼を受けさせないわけではなく、その嘘をついた時の質問やその回答内容によって依頼の受理や依頼を受ける資格があるかを図っている。依頼には、いわゆる家政婦や家事代行、介助などの仕事の斡旋も含まれている。
完全中立を立場とするため、各地の仲介屋をとりまとめる人物については、複数人居るという情報以外は秘密にされている。権力者などによる接触を防ぎ、自浄作用を強くするためである。
依頼人や引受人が自分の身分や名前・容姿などの秘匿を希望すれば、仲介屋はそれを守りどのように高い地位の人にもその情報はもらさない。これは、仲介屋に在籍する職員全員に『誓約』として徹底されている。
もし、権力者や支配者層にいる人間がその権利を持って仲介屋を傘下に治めようとすると、彼等の権威が届く全ての範囲の仲介屋が、全て店を閉め機能を停止する。その際には、『原因が何によるモノか』を張り出して行われる為、大抵権威者の信頼が大きく失墜することになる。
仲介屋の始まりは、世界規模での戦争が起きていた頃。
市井の人々が害獣や盗賊、野盗など様々な困ったことを、現品支給という形で対応できる人間に渡りをつける人が複数箇所で同時に現れたことから始まった。その渡りをつけた人間が、依頼の完遂を確認してからの報酬の支給、かつ、支給される現品を確実に渡し続けていたことから少しずつ広まり、真似を始める者が現れだした。その知名度を利用して詐欺を働く者が出始める前に組織立てを行い、各地で渡りをつけていた者同士で各地での連携を取り、拠点を少しずつ作っていき世界に広めていった。
そもそも国家や権力者に頼らずに市井で作られ、権力が口を挟むまもなく組織立てされたことで、中立を確立できたと言える。
と、格好良く言ってみたが、この組織を立ち上げたのは、戦場になった大地を鎮めて回っているさなかに、人からだけではなく、贔屓が居る精霊や神々から様々な事を頼まれ続けて、めんどくさくなった石の一族だったりする。当然、『複数人の取りまとめ役』は、彼らを指し示している。