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Arseare ~創魔の術師が行なう魔術観光~  作者: 柿の種
第7章 心象変わる霧の果てにて

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Chapter7 - Episode 31


色々とイレギュラーな事態があったものの。

目的であった素材の収集は終わり、馬鹿狐の試練用の準備を整える段階に入ることができた。

と言っても、基本はアイテムの補充がメインであり、これから行うのは私の戦術の幅を広げる為の作業だ。


「じゃ、お願いします」

『はいはいー』


巫女さんに狐面を封印してもらい、深層のボスエリア内で収集してきた素材のリストを見る。

中層に『瞬来の鼬鮫』の再戦エリアを設置した為、転移系の性質を持っている素材や、新たに出現した3種の敵性モブの素材、またキザイアと共に攻略した『神出鬼没の古戦場』の素材も合わせれば色々と悪さは出来るだろう。


私が今回創る魔術(モノ)

それは大きく分けて2つ、魔術数にすれば3つ。


1つ目は、【羨望の蛇】から教えられた魔術言語の暴走の被害を相手に押し付ける魔術。

2つ目は、いずれかの攻撃魔術の等級強化。

そして3つ目は、


「そろそろ強化するべきだよね」


【魔力付与】の等級強化だ。

現在の性能に不満があるわけではない。

動作行使のし易さから、連撃中に発動できる点。

形状変化による、対応距離の自由さ。

視認性の悪さからくる、不意打ち気味の一撃。

どれもが私の戦い方に合っている。


だが、それ故に『更に』を求めてしまう。

なまじ、このArseareというゲームをプレイし始めてから私と共に在ったからこそ、この魔術がもっと活躍している場面を経験したいと思ってしまうのだ。


「……先に他の等級強化からかな」


それでも私は、先に他の魔術の等級強化をする事を選んだ。

というのも、これにはしっかりとした理由が存在している。

……フィッシュさんや灰被りさんは確実に私よりランクが上なんだよねぇ。


思い出すのは、フィッシュと組手をした後の記憶。

あの時、彼女は自身のランクを『novieよりは上』と言っていた。

しかしそれなのに、彼女は私が馬鹿狐に言われたような試練を受けてはいないという。

ならば、あの強さの一端はやはりランクが上がる事による恩恵が関わっている……んじゃないだろうか。


そして、ランクを上げるのに分かりやすい指標と言えば……習得魔術の平均等級。

これについては掲示板の方で様々な検証が行われているものの、しっかりとした答えは分かっていないらしい。

しかしながら、習得魔術の数を増やせば増やすほどにランクが上がりにくかったり……かと言って、極端に少ない数でも上がりにくいという事実だけは分かっている。

具体的に言えば、等級が中級の魔術を30以上習得していてもmedium magiからランクが上がらなかったり。

キャラクリと同時に得られる魔術だけでプレイを行い、その魔術の等級が上級になったとしてもbeginnerから変わらなかったり。


ならば私の習得魔術数は他のプレイヤーに比べるとどうなのか、と言うと。

あくまで掲示板からの情報の為に信用できるかは置いておいて……掲示板に書き込みしているプレイヤーの平均習得数は約15ほど。

それに比べて私は【創魔】を数に含めなければ12しか習得していない事になる。


平均よりは少なく、しかしながら掲示板のプレイヤー達は、基本的にその習得魔術を全て中級に上げる事で次のランクに進む事が出来た、とも言っていた。

それを鵜呑みにする気はないが、彼らよりも習得魔術数の少ない私は魔術全てを中級に押し上げる必要はないのでは?と考えたわけだ。


「ま、希望的観測っと」


そう言いながら、私は魔術の等級強化を開始する。

私が今回強化するのは、割と新入りでありながら最近の戦闘のほぼほぼ全てで使用している攻撃魔術。

路を開く刃を(ネブラ)】だ。


【魔術の等級強化が選択されました】

【【路を開く刃を】の等級は現在『初級』となっています】

【習得者のインベントリ及び、行動データを参照します……適合アイテム確認】

【『霧鮫の鋭歯』、『霧鼠の目玉』が規定数必要となります……規定数を満たしていません:『霧鮫の鋭歯』、『霧鼠の目玉』】

【『霧鮫の鋭歯』が上位素材『瞬来鮫の鋸歯』に置き換えられました】

【『霧鼠の目玉』が上位素材『狐憑巫女の目玉』に置き換えられました】

【【路を開く刃を】の強化を開始します】


いつも通りに出現した魔導書のページを確認しつつ、私はその内容を書き換えていく。

今回も強化内容はある程度自分の中では定まっていて……それに伴う素材消費も覚悟の上だ。


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