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Arseare ~創魔の術師が行なう魔術観光~  作者: 柿の種
第6章 雷鳴轟く瘴気の大地にて

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Chapter6 - Episode 7

結論から言えば、各スレッドに載っていた対処法はどれも効果はなかった。

否、効果がなかったというよりは『煙管:【狐霧】』にそれらが全て弾かれたと言うべきか。

それぞれの対処法を試そうとする度、存在が不安定であるはずの管狐達が全力で妨害をしてくるのだ。

……特定の方法以外は認めないタイプの奴かなぁ。


事実、そうなのかもしれない。

それこそ、特定のアイテムを用意するタイプの対処法では、用意したアイテムを管狐達に噛み砕かれてしまい失敗に終わったが、私が元々『煙管:【狐霧】』を作成するために『奏上』で用意した『魔力球:【神】』、そして第2回防衛クエストの報酬として手に入れた『霧玉』の2つを近づけた場合のみ、態度を反転させてすり寄ってくるのだ。

逆にあからさますぎて笑ってしまった。


「――って感じなんだけど、分かる?」

「……まだ話しかけてないぞ、俺は」

「いやまぁ、ここ私の家みたいなもんだし。境内に入ってきたら分かるよそりゃ」


と、ここまで調べた所でメウラが静かに境内へと入ってきたのが分かったので話しかける。

逐一結果自体は彼にメッセージで送っていたため、話自体は理解出来ているだろう。


「まぁ単純な話、こっからはまた別の技術だな。これ作るのに使ったのってどれだ?」

「儀式魔術だね。でも私が持ってるの魔術言語とシギルしかないんだけど」

「あー、じゃあ習得からになるか。……一応聞くが、【海岸】の方には行った事あるか?」

「無いね。方角は?」

「西だ」

「あー。そもそも私、北か南しか行ってないから……」


考えてみると、私のArseare内での行動範囲はまだまだ狭い。

北の【凍原】、南の【荒野】に【土漠】。

それぞれ【凍原】と【荒野】に関しては街を散策しているものの、まだそこまで探索出来ていない【土漠】はそれすらまだだ。

最近は色々忙しかったのもあるが、少しイベントが終わったら『惑い霧の森』から離れて、新規のフィールドや街の開拓を行ってもいいかもしれない。


「成程な。……とりあえず案内すっから行くか。それ、インベントリには入るのか?」

「それは問題なく。所で、【海岸】って西の何個目のフィールドなの?あと技術って何を?」

「【海岸】は第2、取りに行く技術は付加魔術(エンチャント)だ」

「付加魔術……」


付加魔術。

RPG系には良く登場する、武具や自身に対して特定の属性やバフ、作品によっては相手に対してデバフを付与することが出来るものの総称をそう言ったりする。

それこそ大枠としては私の持つ【魔力付与】も近いものになるのだろうが、恐らくこのArseareでの付加魔術はそうではないのだろう。

何せ、魔術言語や儀式、シギル魔術などと同列として扱われているのだから。


……カルマ値が関わってくるタイプは何枚も裏があるって考えた方がいいからなぁ。

だが、その分便利なものであるという事実も変わらない。

習得する事が出来るならば習得しておいた方が得なのだ。


「オーケー、じゃあ行こっか。私は走れば何とかなるけど、メウラは?」

「俺はゴーレム使えばなんとでも出来るからな。……だが、良いのか?」

「何が?」

「いや、その鎖。消えかかってるが、見た感じ呪い系だろ?しかも動きを見るに動作系に干渉してくるタイプだ。解呪しなくて大丈夫なのか?」

「あー、これ時間経過じゃないと解けないタイプ。『奏上』のデメリット系だから」


私が苦笑いでそう言うと、彼は仕方ねぇと溜息を1つ吐いた。

正直、動き自体は本当にどうとでもなるのだ。

私の思考速度や、霧の操作能力自体はいつも通りのまま。これに関してはメウラが来る前に馬鹿狐や巫女さんに見てもらった上で確認しているために問題ない。

……まぁだからこその動きってのは出来るよね。やっぱり。


「【血液強化】っと」


境内の外へと向かい、歩き出す。

それと同時に狐面から霧を引き出しつつ、魔術言語の形へと変化させる。

構築する言語は身体強化系を中心としたものに。


「お前まさか……」

「いやぁこれどれくらい速度出るんだろうね……一応どっちの方向に行けばいいかだけ教えてもらっといていい?」

「そら西の方に行けば大体分かる位置に港町があるんだが……」

「了解。【脱兎】、【衝撃伝達】」


境内から出た瞬間に更に2つの魔術を発動させ、横でメウラが馬型ゴーレムを作製し始めたのを視界の隅で見つつ、西へと向かって力強く踏み出し走り出す。

瞬間、私の身体を襲ったのは強力な前方方向への力だった。

前から感じる風が顔を打ち、目が乾いていく。

風によってランニングフォームが徐々に崩れていくのを無理やり元に戻しながら、何とか前へと一歩、また一歩足を出す。


……主観がこの速度感って事は、鎖が無い時を考えると少し怖いな……。

移動用の構成として、あとで作りやすいように魔術言語の名前を考えておく必要もあるだろう。

だが、その時は風除けなども盛り込んでいかないといけないだろう。


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