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Arseare ~創魔の術師が行なう魔術観光~  作者: 柿の種
第5章 記憶残る白霧の先にて

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Chapter5 - Another Start


「……ふむふむ、これで魔術を創ればいいんですね?」

『そうなります!詳細、自動と種類はありますが、基本的には使う素材を基とした魔術となります!』


私は目の前のNPCの説明を聞きながら、否。

半分聞き流しながら、チュートリアルをこなすために手元の魔導書を操作する。


魔術を作る際、基本的には素材に効果が左右される。

だが、目の前の……アルファというNPCの言い方を考えるに、左右されない(・・・・・・)作り方も存在するのかもしれない。

……その方法を探すのは面倒だから、出来ればここで創りたいのが創れればいいんだけど。


願っても仕方ないだろう。

そして、考えても答えは出ない。

だからこそ、私は自分で設定して創るのではなくシステムに頼って魔術を創造することにした。


【魔術を創造しました】

【自動創造のため、名称が自動設定されました】

【自動創造のため、行使方法が自動設定されました】


「あは、いいじゃんArseare!」


そうして出来上がった魔術の詳細と名前を見て思わず笑ってしまう。


『満足されましたか?』

「えぇ、満足です。あ、質問いいですか?」

『どうぞどうぞ、なんなりと!』


目の前のNPCが楽しげに笑うのを見ながら、私は疑問を直球にぶつけてみることにした。


「このチュートリアルで創れる魔術って、もしかしてこれまでやってきたゲームとかを参照して創られたりしてます?」

『……なぜ、そうお思いで?』

「詳細はどうか分からないですけど、自動、尚且つ運営側が初回サービスとして用意した素材……ってことを考えると、出来る限り最初に詰まないようにすると思うんですよね」


指を鳴らす。

しかしながら今しがた創った魔術が発動しない。

少しだけ考えを変え、行使する事を意識しながら指を鳴らす。

すると、だ。私の目の前に人が1人入れるかどうか程度の大きさの裂け目(・・・)のようなものが出現した。


「これとか、詳細みるにほぼほぼ同じようなものだし?だから今までやってきたゲームをある程度参照して、1番使いやすい形のモノを1番最初に提供する……って考えたんですけど」

『……えぇ、そうです。そうなります。私は案内役のNPC、という立ち位置(ロール)では在りますが答えましょう。そうであると』


何処か芝居がかった喋り方をするアルファに対し、少しばかり苦笑を浮かべそうになるものの。

聞きたい事を聞く事ができたため満足しておくことにした。


「よし、じゃあ行きますか」

『おや、よろしいので?』

「何がです?」

『プレイヤーの方の中には、貴女様と同じ答えに至った方も居られます。そしてその方々の中には、新鮮な気持ちでこのArseareという世界を楽しみたいからと、所謂創り直しを要求する方もいらっしゃるのです』


あぁ、と目の前のNPCが私のことを止めた理由が分かり1つ笑みをこぼし。


「そんなの勿体無いじゃないですか。折角またこれが使えるんですから」

『……成る程。では、貴女様の御心のままに』


私の回答に満足したかのように笑うと、彼は息を吸い私にこう告げた。


『これにて、貴女様はこのArseareにおけるプレイヤー……創魔の術師となりました。これから貴女様は魔の頂を目指すため、多くのプレイヤーやそれ以外の人と、そして多くの困難と立ち向かうことになるでしょう!しかしながら、その【創魔(クリエイト)】という力をもって、困難を撥ね退けていくことでしょう!……貴女様のこれからの魔道に、知恵の光あらんことを』

「ありがとう、また会えたら宜しく」


彼が一礼すると共に、周囲の景色が変わっていく。

そこは何処かの街の噴水のある広場のようで。

視界にはそこがどこなのかを示すテキストが浮かび上がってきた。


【始まりの街:イニティ】


「よし……じゃあまずは、っと」


私はこのArseareというゲームに誘ってくれた昔からの友人に連絡を取ることにした。

といっても、ゲーム内の機能ではなく外部のメール機能を使ってだが。

返信を待つ間、早速手に入れた魔術の詳細を改めて確認する事にする。

見れば見るたびに笑みが零れてしまうそれを、今後どうやって使っていこうか考えるだけでもわくわくしてしまう。


「あ、もしかして貴女が……?」

「ん?……あぁ、灰被りさん!」

「どうも。変わりないようで……というかアバターほぼそのままですね?」

「そりゃあその方がこうやって見つけてもらえますし。……ちなみに話にあったグリムやリセットボタンは?」

「彼女達はイニティにはあまり来ないですから。丁度いいですし、早速狩りにでも行きますか?」


その言葉に私は頷き、イニティ周辺に出てくるモブの特徴や、このArseareにおける序盤の効率的な動き方などを教えてもらいながら街の外へと向かって歩いていく。


「あは、いいなぁこの世界(ゲーム)

「貴女なら気に入ると思ってました」

「まぁ似たようなゲームやってましたからね。……さて、案内してくれるっていうダンジョンに向かいますか。確か……『惑い霧の森』、でしたっけ?」

「えぇ。貴女にぴったりなダンジョンだと思いますよ――クロエさん」


静かに、歯車は動き出す。


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