3/死後の進路はお決まりですか?
友達と遊んだ帰り。俺はいつも通りの道路を、ヘッドホンをつけて歩いていた。
その道は人通りもあまりなく、夜になると街灯も少ないため、夜はあまり通らないようにと言われていた。
ただ、俺の家には一番近いこともあって、気にせずにいつも通っていた。
しかし、その日はそれが失敗の選択だった。
後ろから近づく影。それはトラックの影だった。それも無灯火の飲酒運転。それに加えて俺はヘッドホンで周りの音を遮断していた。
そこから連想出来るのは、事故以外のなんでもない。
結果として、俺はトラックにひかれ、そのまま数m引きづられて死んだ。
「っていう死に方だったらしいね、慧君。いやぁ、無灯火の飲酒運転かー。その上ヘッドホンとは。なんとも悪い状態の連鎖だ。まぁでも、最近じゃあちょっとレアだよ。この死に方。」
謎のレアリティは置いておいて、俺には気にしていることがあった。
「あの…この後って俺はどうなるんですか?裁判とかって…」
予想だとこの後、裁判かなんかで善悪を裁かれて、地獄か天国かを決めるのだが…。
「ん?何それ。そんなことしないけど?まぁいいか。えっとねぇ…慧の進路は…
お主、入学義務を持っているではないか!だったら行き先決定だよ。」
…え?裁判なんて…ない?
「あ、あのぉ…だとしたら天国と地獄ってどうやって決めてるんですか…?」
「え?もしかして地獄制度のこと?
あんなのは数十年前になくなったよ?」
「…え!?」
「だって地獄での刑罰に時間割かれてたら、魂が足りなくなっちゃうんだもの。あ、言っとくけど、魂って使い回しだからね?あんなの量産不可だからね。」
なんとも拍子抜けな話だ。個人的には、少し裁判に興味があったというのに。
それとは別に、今聞いて気になっていることがもうひとつ。
「そうか…。あ、じゃあ入学義務っていうのは?」
「それはねぇ、天界にある学校に通いなさいっていう義務なんだよ。亡き者全員に渡すわけじゃなくてね?
ある条件を満たしてる人だけにあげてるらしいよ。」
『らしい』ということは、ここの職員全員が知っているわけではないのだろう。
…ん?入学義務?
えっと…つまり…
「死んでも勉強しなさい…と?」