地球の特殊性、【神の穴】と星海 ユナの関係について
【地球の特殊性】
現在の地球は、全宇宙の星々の中であらゆる許容性が最も低い星となっている。あまりの低さに、たとえ三種の超越者であってさえろくに能力を満足に発揮できないほどの極めて特殊な環境である。ルミナスの片腕アルですら例外でなく、地球においては下手をすると銃器で傷が付くほどに力が落ちてしまう。
実は地球は、原初の時代においては元々あらゆる許容性が宇宙でも最高レベルに高い星であった。だが、「フェバル~神の器を宿す少女~」において、オリジナルのユウとルミナス&アルの決戦の舞台は地球であった。壮絶な戦いが行われた結果、あらゆるエネルギーは使い尽され、許容性を含むあらゆる理の概念が崩壊し、未来永劫、宇宙の周回すらをも越えて許容性が最低になってしまうほどの甚大なダメージを受けた。
【神の穴】
ルミナスがオリジナルのユウと決着をつけるため、初めて地球に顕現したときに開いた、小さいけれども宇宙の周回をも越えて決して消えることのない「穴」。外宇宙の創造主が内宇宙に顕現する際の影響は注意を払っていても甚大なものであり、やむを得ず開いてしまったものである。その後、ユウとの戦いの結果、ルミナスは大きく力を損なってしまったため、もはや誰にも塞ぐことができなくなってしまった。
時空を越えてあらゆる場所に繋がっており、通る者の資質や望みに応じて行く先を示す。行く場所は同じ宇宙の違う星であったり、既に「潰された」宇宙であっても一つ前の周回であれば繋がることがある。時代も過去であったり未来であったりと様々である。
ルミナス自身が生み出したものであるから、ルミナス自身に届く可能性をも秘めている。ゆえに「穴」を誰にも利用されないよう、ルミナスは【運命】によって「穴」を不可知にしていた。
【星海 ユナと【神の穴】】
だが本編の周回において、【運命】の影響力は著しく低下しているため、当時16歳であった星海 ユナは偶然にも「穴」を発見してしまう。料理以外(料理もある意味で)のあらゆることで天才的であった彼女は、平凡な周囲との壁を何となく感じており、また日常に退屈する部分がないわけでもなかった。そんな彼女が望んだものは退屈な日常に刺激を与えてくれる何かであり、「穴」は望み通り彼女を異世界へと誘った。フェバルでないユナが時代を越えて様々な世界を旅したのは、ひとえに「穴」の力によるものである。
一度「穴」を通った者は「穴」に認証され、「穴」を知覚することができるようになる。「穴」は繋がった場所に専用の「帰り道」も用意する。
「穴」で旅している間は年を取らないため、ユナは地球での休憩期間を挟みながら、16歳から大学時代に至るまで「飽きるほどの数の」世界を旅し、時に救いまくった。三種の超越者とも何度か戦い、周囲の協力も借りながら何とかやり過ごしたり打ち勝ったりもしている。
その後、シュウと結婚。ユウの妊娠を機に異世界の旅からは引退。地球に現れた「能力者」に対応するための裏組織「QWERTY」の指揮を執りつつ、ただの主婦であり一児の母となる。
ちなみにユナはフェバルでも星級生命体でも異常生命体でもない、魔力がそれなりに高く凡人より天才的なだけのただの一般人である。常人の身でありながらいくつもの異世界の旅を経た結果、どうやら異常生命体になりかけてはいたらしく、アルをして最も油断ならない敵の一人であるとまで評された。だがあくまで一般人である。もし彼女が異常生命体であったならば、【運命】に対抗する力を持っていたならば、フェバルの物語はユウに託される前に終わっていた可能性すらある。もしかしたらフェバルシリーズで一番おかしい人かもしれない。