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ユウの力と三つの到達点

【固有能力】

 ユウが持つフェバルの特殊能力【神の器】に由来するもの。【神の器】のポテンシャルによってユウが至る「三つの到達点」については後述する。


・完全記憶および完全学習

 習得:最初から ユウ:0歳

 ユウが経験したあらゆる世界情報は、自動的に漏れなく完全に『心の世界』へと保存される。そのため、ユウ自身が見聞きしたことは基本的に全て完璧に覚えている。また、一度食らった技ならばどんなものであれ記録され、習得してしまう。ただし、習得したからといって実際に問題なく使用できるかどうかはまた別の話であり、決して万能ではない。ちなみに、直接食らった技でなくても一度見た技ならば性質を解析することは可能であり、結果として習得できることもある。

 本来のユウが持つポテンシャルは、習得したことのすべてを問題なく使用できるほどであるが、本編においてはユイにスペックの大部分を分け与えてしまったために、あまり負担の大きな力は身体が耐え切れず、使えなくなってしまっている。


・マインドバースト

 習得:人工生命の星『エルンティア』 ユウ:21歳

 ユウの師であるイネアが使用する気力技《バースト》を、『心の世界』に満ちたエネルギーを利用することによって疑似的に再現したもの。爆発的な身体能力の強化と、『心の世界』の活性化を伴う。『心の世界』を活性化することは、それだけ能力の制御を失う危険性がある諸刃の刃である。リスクを背負う分、その効果は凄まじい。『心の世界』の力は気の理による支配を受けないため、近距離のみに限定をしない運用が可能である。人工生命の星『エルンティア』時点のユウは、このことに気付いていなかったが、二つの世界と二つの身体の時点では理解しているようだ。この技は、リルナとの戦いの最中に編み出した。


・マインドリンカー

 習得:人工生命の星『エルンティア』 ユウ:21歳

 二章のバラギオン戦で初使用。他人の心を自らの『心の世界』に接続することで、感情や記憶、力を結び付ける技。人数が多いほど効果が大きく、人数分の強化効果を全員に付与することができる。その分、ユウにかかる負担もマインドバーストより遥かに大きくなる。

 流れ込む人々の心の容量にユウ自身の心が耐え切れなくなったとき、理性は吹き飛ばされてしまう。そのとき、『心の世界』においては一時過剰飽和のため、要素結合反応が起こり、男女の身も心までも結び付けられて、男でも女でもない状態、『神性体』と呼ばれる第一の到達点が発現してしまう。これについて、詳しくは『神性体』を参照。

 また、心を繋げる相手がユウと心を通わせているほどユウ及びその相手への効果が大きく、この場合はユウにかかる負担が減るという特徴も持っている。数多くの赤の他人よりも、心を深く通わせた数人と繋がる方がずっと効果は高い。特にシンクロ率が高ければ、相手の考えていることを読み取ったり、相手の持つ技を負担なく使用することができる。その代わり、ユウの考えていることも相手に漏れ伝わってしまう。現時点で最も心を通わせている相手はユイとリルナ。

 人工生命の星『エルンティア』終了後のユウは、常にユイ、リルナとマインドリンカーがかかったような状態になっているので、彼女たちの力をほぼ丸ごと上乗せした分の強さがデフォルトになっている。リルナも同じく、常にユウとユイから力を受けて強化された状態である。


・ストレージ

 習得:人工生命の星『エルンティア』の幕間 ユウ:21歳

『心の世界』へ現実世界の物をしまったり、逆に『心の世界』から現実世界へ物を取り出したりすることができる。ウェストポーチを失ってしまったユウが新たに編み出した能力の使い方。要するに四次元ポ○ット。ドラ○もん。エルンティアの事件解決後、リルナと協力して編み出した。


・アシミレート

 習得:人工生命の星『エルンティア』の幕間 ユウ:21歳

 相手の攻撃を受ける瞬間に、その攻撃を『心の世界』へ吸収することによって完全に無効化してしまう技。無効化と同時に、能力の特性によって習得する。ただし、吸収した技の威力に応じて『心の世界』に負担がかかるため、むやみやたらに使用することはできない。また、飛び道具でなければ吸収することはできないため、直接攻撃に対しては無力。エルンティアの事件解決後、リルナと協力して編み出した。


・ディスチャージ

 習得:人工生命の星『エルンティア』の幕間 ユウ:21歳

 アシミレートによって吸収した技を任意のタイミングで放出する。アシミレートよりはずっと負担が少ない。エルンティアの事件解決後、リルナと協力して編み出した。


・スティールウェイ

 習得:アッサベルト ユウ:23歳

 第六の異世界アッサベルトにおける旅の途中に編み出した。『心の世界』に記録やイメージしたことの正確性を利用した技。予め行動プログラムをイメージして組み込んでおき、『心の世界』に保存。行動プログラムの通り、指定した条件で指定の動作が意志に関係なく自動的に発動する。途中でキャンセルしない限り、指定した通りの動作を必ず行うので、最速の行動が可能となる利点と、臨機応変さに欠けるというデメリットがある。機械的な動きは先を読まれやすいので、デメリットを重視して、ユウは大事な場面では使用していない。スティールウェイは「鋼のように決まりきったやり方」の意であり、後ろにプログラムした動作名が付く。代表的なものは《スティールオーバースラッシュ》。気剣あるいは強化した指や手で、指定した対象を機械的な動きでめった斬りにする。


・暴走体

 能力の制御を失った危険な状態。身体は男。発現条件は、主に能力の過度な使用である。抑え切れなくなった心の世界の力が外に漏れ出しており、泡白い光のオーラを全身に漂わせている。ランダムに表出した記憶に則った不安定な言動を取る。単純に凄まじい力を誇るが、それを操る意志が宿っていないため、隙だらけでもある。一般のフェバルよりは劣る。


【気力技】

 主に男のユウが使用する、気力を用いた技。


・センクレイズ

 習得:剣と魔法の町『サークリス』 ユウ:16歳

 師イネアから学んだ、ユウが最も信頼を置く必殺技。力を込めた気剣の刃で敵を斬り付けるだけの単純な技だが、シンプルゆえに奥が深く、本人の技量や使い方、他の技や力との組み合わせにより様々な応用が効く。使用時は気剣が青白く輝く。

 近接技であるが、【気の奥義】発動時は剣閃として飛ばすこともでき、元々の開発者であるジルフ・アーライズはそのような遠距離技として使っていた。いずれにせよ、直接斬り付けるのが最も威力が高い。

 真の完成形においては、刀身は深青に輝き、斬りたいものだけを確実に斬る力を持つ。ユウによって完成された。


・身体能力強化

 習得:剣と魔法の町『サークリス』 ユウ:16歳

 師イネアから学んだ。気力強化とも言う。気力を用いて全身の身体能力を強化する基本技。男のユウが最も多用している技であり、一章終了以後は一々文中で断わっていない場合でもデフォルトでこの技をかけているシーンが多い。


・気力感知

 習得:剣と魔法の町『サークリス』 ユウ:16歳

 師イネアとの修行で習得。周囲にある気力を感じ取ることができる。魔力感知に比べると感知できる対象が広く、かつ鋭敏。


・スタンレイズ

 習得:イスキラ ユウ:18歳

 相手を斬り付けるセンクレイズとは違い、気剣による打撃とショックでダメージを与える人を殺さない剣技。使用時は、気剣は白のままバチバチとスパークする。ぶつけると同時に気を相手に流し込んで、ショックによる気絶を狙う。大抵格下の相手にしか通じない。第三の異世界イスキラで起こっていた紛争にフリーの傭兵として参加していたとき、ユウが自分で編み出した。


・気断掌

 習得:イスキラ ユウ:18歳

 掌に気を集中させ、インパクトと同時に一気に対象へ叩き込むことによって、爆発的な衝撃を引き起こす。【気の奥義】発動時には、使用距離が制限されないため、さながら衝撃波のような使い方もできる。内部破壊の用途に優れ、使い方によっては相手を苦しませるような惨い殺し方もできてしまうため、ユウは魔獣以外に内部破壊としての使い方は極力しないようにしている。イスキラにて、魔獣ハンターとしての活動中に編み出した。


・気裂脚

 習得:イスキラ ユウ:18歳

 足の先端に気力を集中させて放つ、強烈なあびせ蹴り。軸足の踏み込みによる溜めとワンセットで、溜めが入る分威力は高い。不用意に腕でブロックしようものなら、防御ごと蹴り抜いてしまうことも。イスキラにて、魔獣ハンターとしての活動中に編み出した。


・インテンシブガード

 習得:人工生命の星『エルンティア』 ユウ:21歳

 リルナとの戦闘時に使用。要するに攻撃を避け切れない箇所に気力を集中させて身を防ぐということであり、そもそも普段からユウはやっているのだが、気力許容性の低いエルンティアでは満足に気力を発揮できなかったもどかしい思いと、やっと彼女に実力が通じるようになった喜びと、戦闘中に高まったテンションが、ユウにこの技名を叫ばせた。特に意味はない。もう二度と叫ばれることもないだろう。


・気断衝波

 習得:名も無き世界の旅 ユウ:22歳

 エスタとアーシャと三人で旅を続けていた際、巨大な獣イエローハウンドの群れに襲われ、対処するために編み出した技。掌に気を集中させるところは気断掌と同じであるが、気断掌がピンポイントを狙って放つのに対し、より広範囲に向かって広がる衝撃波として放つ。遠距離攻撃の少なさ、特に対複数技がないことを苦慮していた男のユウ待望の複数攻撃技。


・スタンディード

 習得:アッサベルト ユウ:23歳

 気剣を地面に突き刺してショック性の気を流し、地上にいる多数の相手を同時にスタンさせる技。気断掌が飛ばなかったり、気断衝波が使えないような気力許容性の低い世界でも問題なく使える技であるため、主に代用として使用される。地面を介するため、直接ぶつけるのに比べると威力やスタン伝導率はかなり低め。


【魔法】

 主に女のユウが使用する、魔力を用いた技。一章に登場したほとんどの魔法は使えるので、ここでは特に一章終了以降でよく使われる魔法を紹介する。


・魔力感知

 習得:剣と魔法の町『サークリス』 ユウ:16歳

 周囲にある魔力を感知する。気力感知と違って感度が鈍く、少々使い勝手が悪いが、魔力感知でなければ発動前の使用魔法の特定はできないため、一概に下位互換とは言えない。


・転移魔法

 習得:剣と魔法の町『サークリス』 ユウ:17歳

 師イネアが使用していたものをラーニング。本来はイネアの種族であるネスラのみが使える固有の時空魔法。予め特殊な魔力マーキングを施しておくことによって離れた二地点間を繋ぎ、マーキングした場所ならどこでも自由に転移することができる。カルラを連れて魔法研究所から脱出する際に初めて使った。マーキングする二地点は近過ぎても遠過ぎてもいけないという欠点があるものの、非常に使い勝手が良い。


・アールレクト

 習得:剣と魔法の町『サークリス』 ユウ:17歳

 アーガスが使用していたものをラーニング。光の上位魔法で、向かってきた非物理系の攻撃を跳ね返す壁を張る。注ぎ込んだ魔力量に応じて跳ね返せる威力は変化する。


・アールリバイン

 習得:剣と魔法の町『サークリス』 ユウ:17歳

 光矢の超上位魔法。ミリアの実家に伝わっていたエデルの魔法書から習得。超高速で空を貫く光の矢を放つ。時空魔法に対する特効を備えており、強力な時間操作魔法さえ無効化してしまう。この効果により、対クラム戦にて決定的な役割を果たした。しかし、ウィルには全く通用しなかった。

 たった一発で当時のユウの総魔力の約八割も持っていってしまうほどの膨大な魔力消費量が欠点だったが、ユウが改良を重ねたことによって劇的に消費量は減少。連射が効くようになった。


・セインブラスター

 習得:人工生命の星『エルンティア』 ユウ:21歳

 リルナの《セルファノン》に着想を受けて、バラギオン戦にてユイ(もう一人の「私」)が編み出した。純粋な魔力を高度に凝縮し、淡緑色の光線として放つ。任意で出力の調整が可能。魔力を直接エネルギーに変換しているため、単純なエネルギー効率で言えば最もロスが少ない最強の魔法。最大威力は絶大であり、《アールリバイン》を遥かに凌ぐ。小さい頃からかめ○め波を撃つことに密かに憧れていたユウ待望の光線系魔法。


・ブラストゥールレイン

 習得:二つの世界と二つの身体 ユウ:26歳

 ラナソール滞在中に、ユイが特訓によって編み出した魔法。対象に狙いを付けて、全方位かつ極めて広範囲に光弾の雨を降らせる。光弾の一発一発の威力は、初等魔法から超上位魔法レベルにまで調整可能。また光弾の形状についても調整できる。使う所によっては一発で地点制圧も可能な、非常に強力な魔法。ただし広範囲に拡散するため、消費魔力も凄まじく、光弾の威力を中位魔法のアールリット相当としても、超上位魔法のアールリバインを十数発撃ってお釣りが来るレベルである。事実上、許容性が無制限であるラナソールのような世界でなければ、普段のユウやユイにはとてもではないが使える代物ではない。

『チート能力者ユウの異世界放浪記』(チート旅)でユウが使用していたものと全く同一の魔法であるが、チート旅のユウが使用していたものは殺傷力を高めるために、光弾の代わりに光槍としている。


【魔気混合技】

 通常、ユウとユイが協力して使用する気力と魔力の合わせ技。普段のユウは気力と魔力を同時に扱うことができないため、二つの身体に分かれている3章「二つの世界と二つの身体」編でしか使えない技が中心である。


・魔法気剣

 習得:二つの世界と二つの身体 ユウ:26歳

 許容性の低いトレヴァークで気剣の威力を補うために開発した手法。気剣に魔法の力を纏わせることで威力を高める。火の気剣、水の気剣、光の気剣など、様々な属性を付与することが可能。この場合、気剣技に魔法属性の接頭語が乗っかる(例:火を纏わせた《ボルセンクレイズ》、雷を纏わせた《デルスタンレイズ》等)。

 ちなみに光の気剣自体は、1章「剣と魔法の町『サークリス』」において、白ユウが使用していたが、理性のある状態で通常使用が可能なのは3章に限られる。


・魔法気拳

 習得:二つの世界と二つの身体 ユウ:26歳

 魔法気剣の拳バージョン。魔法の力を併用した体術で威力を高める。既存の技に属性付与した場合、横文字が合わないときには、ユウのセンスで適当に技名が付けられる。あくまで脳内で。(例:闇を纏わせた《影気断掌》等。厨二っぽいともっぱらユイには評判)。


【その他の技】

 ユウがラーニング能力によって学び取った技など。


・許容性限界突破

 習得:金髪の兄ちゃんともう一人の「私」 ユウ:8歳

 レンクスからラーニング。【反逆】の使い方の一種。ユウが使えるのは、気力許容性限界突破と魔力許容性限界突破の二種類。

 世界の理を弄って、一時的に世界の限界を遥かに超えた凄まじい力を得る。その効果は、世界が定めた限界の数倍から数百倍、ないしそれ以上にも及ぶ。世界を直接操作するという凄まじい効果のため、心の世界にかかる負担も比例して恐ろしく大きい。仮に許容性の低い世界で無理にこの能力を使用した場合、使用しただけで即死に至る。ユウはレンクスとはそれなりに心を通わせているため負担が軽いはずなのだが、通わせていてなおそれほどの負担であることは特筆しておくべきだろう。


・反重力作用

 習得:金髪の兄ちゃんともう一人の「私」 ユウ:8歳

 レンクスからラーニング。【反逆】の使い方の一種。世界の重力法則に働きかけて、一時的に反重力作用を生み出す。レンクスの能力の中でも、比較的使用時の負担は軽い。ユウがおじさんたちに仕返しするのに使ったのが最初。


・不適者生存

 習得:人工生命の星『エルンティア』 ユウ:21歳

 レンクスからラーニング。【反逆】の使い方の一種。生命体の理に働きかけて、本来ならば生存不可能な環境でも一時的に生存を可能にする。要するにテキ○ー灯。これも、レンクスの能力の中でも比較的負担が軽い。ユウが宇宙空間に放り出されたとき、レンクスはこれを使ってユウを助けた。


・パストライヴ

 習得:人工生命の星『エルンティア』 ユウ:21歳

 リルナと戦いの最中に習得。いわゆるショートワープ。最初は技との相性が悪く、使用時に血反吐を吐くほど大きな負担がかかっていたが、後にリルナの愛を受けて、常に彼女とマインドリンカーがかかっている状態になったため、男のときのみノーリスクで使えるようになった。しかし体力はそれなりに消耗するため、気を付けて使う必要はある。


・ディートレス

 習得:人工生命の星『エルンティア』 ユウ:21歳

 二章の最終盤、リルナに抱き締められて使われたときに自動習得。単純物理攻撃・生命エネルギーによる攻撃を完全に無効化することができる強力なバリア。やはり男のユウのみノーリスクで使うことができるが、彼女のオリジナルと違って、ユウ自身にバリアの展開機構があるわけではないので、あくまで任意発動であり、自動で身を守ってくれるわけではない。また、このバリアは魔力を伴った攻撃までは防いでくれないため、魔法が存在する世界では安易に頼るわけにはいかない。


・強制変身

 習得:プロローグ ユウ:16歳

 ウィルに使用された際に自動で学び取った。【干渉】の使い方の一種。本人の意思とは関係なしに、強制的に変身をコントロールされてしまう能力。が、ユウが自分に使う意味は全くないので、完全な死に技と化している。


時空の支配者スペース・タイム・ルーラー

 習得:剣と魔法の町『サークリス』 ユウ:17歳

 エデルにおけるウィルとの戦いで習得。使用者の体感で約10分間にも渡り時空を支配する凶悪極まりない能力。時間停止、時間消去、時間逆行、時間加速、空間切断、空間圧縮などなど、おおよそ考え付く限りありとあらゆる時空の操作が任意で可能。効果は魔法を超越しており、《アールリバイン》の時空特効すらも無効である。ユウも一応覚えてはいるのだが、明らかに許容性限界突破よりも負担が大きいので、とても使おうという気にはなれないでいる。

 実はウィルの力では、一度の使用では約10分間が限界であるというだけで、使用者の力に応じて効果時間は可能な限り引き延ばすことができる。黒性体に覚醒した後のチート旅ユウであれば、実用上ほぼ無制限で使用可能。

 元はと言えば、チート旅においてヴィッターヴァイツが使用していた《時空の支配者》という技がモデルである。こちらは約10分間単純に時間停止のみができる技であり、これにチート旅ユウがアレンジを加えて強化した技こそが時空の支配者スペース・タイム・ルーラーである。

 したがって、ウィルのオリジナルという発言は実は嘘である。ウィルはチート旅ユウの劣化コピーとしての側面も持つため、この技を遥かに性能を落とした形で使うことができる。


【三つの到達点】

【神の器】の究極的なポテンシャルは、ユウのあり方によって変質し、三つの到達点に至る。


・神性体

 男でも女でもない第一の到達点。通称「白ユウ」。

 身体は男女を足して二で割ったような状態であるが、性器はどちらのものも失われている。発現条件は、『心の世界』において要素結合反応が起こること。能力の全てをフルに活用することができる究極の強さを持っている。その強さは初覚醒でフェバルでも最上級の強さを誇るウィルに匹敵し、さらに際限のない成長を続けている。

 人間としての理性を完全に失っており、ただ己に取り入れて結合させた人々の感情、心のあるまま無邪気に振舞うため、何をしでかすかわからない恐ろしく危険な状態。

 仮にある敵を倒すという認識を持ったならば、それ以外のこと、手段も犠牲も全く頭の片隅にはない。世界を滅ぼすほどの圧倒的な力を持っているため、敵を滅するために放った攻撃によってかえって周囲に甚大な被害を巻き起こしてしまうこともあり得る。

 初めて発現したエデルにおいては、同じく強大な力を持つウィルと戦うことに心を惹き付けられていたため、事なきを得た。当時、ユウはウィルに執拗な攻撃を受けて心が限界まで弱っていたため、親しい仲間の心を数人分接続した程度でも発現してしまったものと思われる。

 実は元々は、オリジナルの女性のユウ(【神の器】を宿す少女)が宿していたオリジナルの【神の器】における究極の到達点である。要素結合反応によって『心の世界』のすべてを結びつけることで覚醒する点は変わりないが、オリジナルのユウは理性を保ったまま神性体になることができた。その力は『黒の旅人』ユウを遥かに上回り、ルミナスとアルをあと一歩のところまで追いつめたほどである。

 本編ユウは一種の「先祖返り」によってこの状態に覚醒したのであるが、オリジナルユウほどのスペックはないため、神性体を使いこなすことは絶対にできない。不適合である。


・黒性体

 極めて高いポテンシャルを持つ超越者が、絶望。怒り。殺意。心を負の感情が満たして限界を超えたとき、発現する第二の到達点。通称「黒ユウ」。

 ユウの場合、身体は男。全身をどす黒いオーラが覆い、瞳は暗く闇に塗りつぶされる。

 性格は冷酷冷淡そのもので、まるで人の温かい心のないような言動を取る。氷のように冷え切った心は何をしても全く動じないため、能力の全てをノーリスクで使いこなすことができる。ただし、どこまでも自分一人だけで力を振るうため、他の人物の力が全て加算される神性体には一段強さが劣る。が、この状態が恐ろしいのは何より徹底した心のなさ、情け容赦のなさであり、対敵戦闘ではむしろこちらが上かもしれない。

 ウィルが当初目論んでいた別ベクトルの究極体であり、同じ力を持つ彼をして破壊神と呼ばしめるほどの圧倒的なパワーを誇る。あまりの強さに、並のフェバルや星級生命体では子供扱いされるほどである。

 覚醒するためのポテンシャル要件は極めて高く、全宇宙全史上で八人しかいないとされる。

 実は真の意味で黒性体になれるのは、アルとチート旅の『黒の旅人』ユウだけである。アルがルミナスによって付与されたものがオリジナルであり、オリジナルの女性ユウが【神の器】でコピーしたものを次の周回において『黒の旅人』ユウが覚醒したのがオリジナル再現である。ウィルのそれはあくまで劣化コピーであり、本編ユウに託されたものもやはりオリジナルの残滓に過ぎない。他の者が覚醒したものは、すべて似た性質を持つだけの紛い物である。

 オリジナルの「黒の力」は、あらゆるものを殺す力である。


・TS体

 TSは「トランスソウル(超越本源)」もしくは「トゥルーセイバー(真なる救世主)」の略とされる。アイとの死闘の果てに辿り着いた第三の到達地点。通称「青ユウ」。

 男でも女でもなることができる。人としての性質をまったく保ったまま、普段と変わらぬ精神状態で、ただオーラだけは静かに深青の光を放つ。この特別なオーラは「青光気」と呼ばれ、宇宙で唯一ユウだけが纏うことを確認されている。

 フェバルとしての能力を高めることで力を追い求めた多くのフェバルやこれまでのユウと異なり、本編ユウの出した結論は「フェバルの力など要らない」というものだった。

 フェバルでありながらフェバルとしての純粋な力を捨て去り、普通の人間と変わらないまでにパワーを落とす。

 代わりに究極にまで高めたのは「心の力」である。

 すべての記憶を取り戻し、これまでの旅と死闘の果てに大きく成長したユウは、自らの持てるすべてを――『心の世界』のすべてを「心の力」によって調和させ、完全にコントロールすることに成功する。

 暗い宇宙空間のようだった『心の世界』は青空のように晴れ渡り、世界の情報に満ちた色鮮やかな真の姿を現す。

 純粋な肉体レベルではもはやただの人間と何も変わりはないが、逆に言えば、この状態に達したユウはもはやフェバルの【運命】からも星脈の支配からもほとんど解き放たれ、自分自身の「人としての」力を取り戻したことになる。

 ルミナスとアルから見れば、異常生命体に当たる危険な存在へと回帰している。

 単純な意味での人を超える力を失った代わりに、得たものは二つ。

 一つは、「世界と調和し調和させる力」。

「青光気」により、ユウ本人を含めた周囲のあらゆるものは世界と完全に調和する。

 したがって例えば、星脈由来の超越的な力などはほとんど一切が無力化されてしまう。

 あらゆるフェバルは、TS体のユウの前では彼(彼女)と同等以下のレベルにまで強制的に引きずり落とされてしまう。これにより、ユウ自身があえて人のレベルを超えることなく、仲間たちと対等に力を合わせて超越者に立ち向かうことができるようになった。

 世界と調和し、人と交わるフェバルとして生きることを選んだユウが掴んだ一つの「答え」である。

 もう一つは、「本源を捉える力」。

 世界のすべてをありのままで受け入れることのできるユウの持つ能力の真価とは、そのストレージ機能のみならず、あらゆるものの「本源を捉える」ことであった。

 TS体のユウは、物質・非物質を問わず、あらゆる力や概念をも正確に捉え、扱うことができる。

 例えば、肉体に一切のダメージを与えることなく心だけを破壊するといった芸当が可能となる。ナイトメアや霊体のような実体を持たない者に直接触れ、ダメージを与えることもできる。能力そのものに触れて封印術を施すことも可能になる。

 戦闘になれば、相手の「本源」をも捉えてしまうため、心を読み透かして、最小限の動きで先読み回避や攻撃などもできてしまう。このため、身体能力・気力や魔力において大きく上回る者が相手でも、よほど差が離れていなければ互角以上に立ち回ることができる。

 それでもなお足りない場合には、《マインドリンカー》の使用によって仲間の力を一時的に借りて能力を向上させることで対処する。心の力を極めたユウには、もはや肉体が耐えられないような厄介な副作用は存在しない。

 ただし弱点も生じた。

 一つは、この状態を維持するためには『心の世界』の調和を完全に保つ必要があるということ。

 アイとの死闘による重大な後遺症で、ユウは『心の世界』の調和を乱すわけにはいかなくなった。

 男女の状態に偏りがあれば、心身のバランスが乱れて『心の世界』の調和が崩れてしまう恐れがある。

 したがって、従来は自由に変身できていたものが、なるべくまめに変身してバランスを取るよう心がけなければならなくなった。

 また、不可逆な変化であるため、二度と通常のフェバルとしての力を振るうことはできなくなった。心に関する能力以外のすべての借り物は、《マインドリンカー》時を除いて一切が使用不可能になる。レンクスの【反逆】やジルフの【気の奥義】なども、もはや本人と繋がっていなければ使用不可能である。

《マインドバースト》によって一時的に許容性限界を超えることも『心の世界』の調和を乱すためにできず、まして「白ユウ」や「黒ユウ」になることなど絶対にできない。

 人と繋がることで助けを借りなければ、純粋な戦闘能力においては本質的に人のレベルを超えられない能力者へと変質したのである。

 ユウは「本源」を捉えることにより、フェバルの持つ星脈との繋がりや【運命】すら斬ることも可能となった。『黒の旅人』ですら不可能だった真の意味での「フェバルキラー」になったのである。

 たた殺すだけでなく、終わらない旅に苦しむ者や疲れ果てた者たちに安らかな死を与え、絶望の【運命】から解き放つこともできる。

 あらゆるものの「本源」に触れ、時に破壊し時に癒す力。

 最も残酷で最も優しい力とも形容されるTS(トランスソウル、トゥルーセイバー)能力を極めたユウは、旅を続けるうち宇宙の中でも一目置かれる存在となり、『青の旅人』と呼ばれるようになる。

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