フェバルシリーズの時系列と各章解説
【時系列】
上から古い順番に並べていきます。
■原初の時代
1.ある外宇宙において「彼女」が「ヒト」であった時代。
2.「彼女」は超越者となり、外宇宙が滅びた後もただ在り続けた。
3.「彼女」による「ヒト」の宇宙創造の開始。失敗を繰り返す。
4.大規模な宇宙破裂事故により、「彼女」自身の外宇宙と周辺の宇宙が消滅する。
5.星脈システムの採用による定常宇宙の実現(現在の内宇宙)。
6.異常生命体の発生。対策として彼らを星脈と【運命】の支配下に置く。後のフェバルと呼ばれるものの始まりである。一番最初に支配下に置いた者に最高の力を与え、アルと命名する(始まりのフェバル)。ルミナスはアルを一のしもべとし、アルはルミナスに絶対の忠誠を誓った。
■フェバル~神の器を宿す少女~の時代
1.異常生命体星海 ユウの誕生。星脈そのものの力である【神の器】を宿し、極めて強力なポテンシャルを秘めた女性であった。
2.ルミナス、アルにユウ抹殺を命じる。アルはユウと戦い追い詰めるものの、ユウは「白の力」に覚醒。アルはユウに滅ぼされてしまう。
3.ルミナス、自信の力を大きく削ってアルをより強力な形で復活させる。さらには「黒の力」を与える。
4.ユウ、仲間たちと地球に帰る。
5.ルミナス、アルを伴い地球に顕現する。このとき、「彼女」は自らに「ルミナス」の名を与え、星脈の奴隷たちにフェバルという名を与えた。また、顕現時の影響で宇宙を繰り返しても消えることのない小さな「穴」が開く。
6.地球におけるルミナスとアル、ユウと仲間たちによる決戦。
7.ユウは敗北し、星脈と【運命】の支配下に置かれる。ただし代償としてルミナスは全盛期の力を失い、痛み分けの形に終わった。
■フェバル~チート能力者ユウの異世界放浪記~の時代
1.次の周回において、ユウの力を恐れたルミナスとアルは、ユウの力を封じ込める対策を取った。ユウが「神の子」を産めないよう男に性転換させ、さらに決して仲間の力を頼れないよう、親しくなった者が必ず死んでしまう【運命】を付与する。以後の周回においても欠かさずこの設定が適用されることとなる。
2.【運命】の力により、ユウの両親が事故で亡くなる。
3.【運命】の力により、ミライとヒカリが亡くなる。
4.ユウがフェバルとして覚醒し、地球から惑星エラネルへ旅立つ。
5.【運命】の力により、惑星エラネルで出会った仲間たちをすべて失う。
6.ユウ、ヴィッターヴァイツとの戦いで「黒の力」に覚醒する。
7.【運命】の影響を直観的に悟ったユウは、以後誰に対しても心を閉ざすようになった。
8.ユウは孤独のまま旅を続ける。やがて『黒の旅人』『フェバルキラー』と呼ばれるようになる。
9.宇宙が終わりを迎える。ユウはアルと戦うが、手も足も出ずに完敗。潰れる宇宙と共に滅びる……はずだった。
10.ユウの恨みと執念は【神の器】に保存され、次の周回の宇宙において幼い無垢なユウを乗っ取る形で覚醒する。以後、繰り返される宇宙の中で『黒の旅人』ユウとルミナス&アルの終わらない戦いが始まった。
11.周回の中で力を高め続けた『黒の旅人』ユウは、やがて直接時空を超えて次の宇宙へ到達するほどのレベルに達し、次の宇宙のユウを乗っ取る必要がなくなる。同じ宇宙にユウが二人存在する状態となる。
12.現在の宇宙に至るまで、『黒の旅人』ユウとルミナス&アルは戦い続けた。彼らの戦いの間に繰り返した宇宙は897932384626433832795028841971693993751058209749445923078164062862089にも及んだ。永い時の果てに、『黒の旅人』ユウはアルとほぼ互角に戦えるまでに力を高めていた。
13.本編開始直前の宇宙で、ついに『黒の旅人』ユウはアルに相打ちで大きなダメージを与え、アルを介して発揮されていたルミナスによる【運命】の影響力を削ぐことに成功する。
■フェバル~TS能力者ユウの異世界放浪記~の時代
〇星海 ユナの時代
1.当時16歳だった星海 ユナは。偶然にもルミナス顕現時に生じた「穴」を見付け、「穴」を通じて異世界と地球を行き来する旅を始める。これは【運命】によって支配されていた今までの周回の宇宙では決して起こらなかった出来事だった。
2.ユナ、「穴」を通じて時代を越えた旅と交流を結ぶ。レンクスやJ.C.などと親友になる。
3.ユナ、色々世界を救う。
4.アルがようやく内宇宙に存在できるほど回復する。だが万全にはほど遠い。
5.ユウの母親であるユナが【運命】から外れて異世界を旅していることを知ったアルは危惧を強める。ユナの始末を試みるが、ユウの誕生が【運命】で確定しているため、どうしても殺すことができない。
6.アル、ユナを確実に始末するため、ルミナスを伴い地球に再び顕現する。顕現の影響で地球人のごく一部が劣化フェバルのような力を持つようになる(過去編一章 地球(箱庭)の能力者たち)
7.ユナ、大学時代に能力者対策サークルとして「QWERTY」を立ち上げる。
8.ユナ、大学在学中に知り合った一般人男性のシュウに猛アタックされ、結婚。卒業後しばらくして、一児ユウを授かる(【運命】の範疇の出来事)
9.アル、ユナをユウにとって最悪の形で確実に始末するために手を尽くす。ついに死の【運命】がユナに付与される。
10.だが【運命】はわずかにずれ、ユナは死すべきときに死ななかった。ユナは最後の力で母としての愛をユウに託した。このときユイが生まれた。
11.結局は【運命】の力がユナを殺す。ショックのあまり、ユウは自己防衛反応で初めて「女の子」に変身してしまう。
12.かつて自分たちをあと一歩のところまで追い詰めた「女性」のユウ。まさかの「先祖返り」を目の当たりにしたアルは、【運命】の影響力の明らかな低下を悟り、目の前のユウが宿す可能性を恐れた。始末しようとするも、追いついた『黒の旅人』ユウがあと一歩のところで阻止する。アルとルミナスは撤退を余儀なくされる。
13.自分の心を守るためにすべての記憶を「切り離した」ユウは、親戚の家に預けられる。
〇星海 ユウ/ユイの時代
・過去編二章 金髪の兄ちゃんともう一人の「私」
1.親戚に虐待され続けたユウは、『心の世界』への扉を開きユイと出会う。
2.ユウ、金髪の兄ちゃんであるレンクスと友達になる。
3.ユウ、虐待により黒の覚醒をしかけるも、レンクスのとりなしによって事なきを得る。
4.ユウ、レンクスと別れ、ユイとも一時的に別れる。
・過去編三章 運命の始まりと終わり
いつもと明らかに異なった成長を続ける「今回の」ユウを支配するための戦いだった。ルミナスとアルの手により、ミライは死に、ヒカリはルミナスの手に落ちた。『黒の旅人』ユウは、「今回の」ユウに未来を託し、己のすべてを賭けてアルとルミナスを内宇宙から追放し、ついにこの世から姿を消した。戦いはまたも痛み分けに終わった。
このとき『黒の旅人』は「黒の力」をユウに託した。アルもまた布石として自らの存在をユウに焼き付けた。両者の凄まじいほどの力と親友の死に耐えられなかった子供のユウは【神の器】で記憶ごとすべてを切り離し、一つの存在を創り出した。
死んだミライをベースに、『黒の旅人』ユウとアルの要素と力を併せ持つウィルが生まれた。ウィルは【神の手】の劣化コピーである【干渉】と「黒の力」をその身に宿していた。
『黒の旅人』ユウが「今回の」ユウに託したものの、「今回の」ユウにはまずできない汚れ仕事を、ウィルは嫌々ながら「今回の」ユウの代わりにすべて請け負うことにした。
それは「世界の破壊者」として宇宙を【運命】の確定から延命する仕事だった。ウィルは協力者を得て遥か過去に遡り、心を鬼にして必要な仕事をこなした。
・本編一章 剣と魔法の町『サークリス』
・本編二章 人工生命の星『エルンティア』
・本編三章 二つの世界と二つの身体
・本編四章 I
ユナを始末するために地球にいた頃、アルは万が一ユウに成長を許してしまったとき、彼(彼女)を滅ぼすための布石として、あえて忌避すべき異常生命体を利用することを考えた。毒をもって毒を制す発想である。
アルは自らの【神の手】を振るい、強力なポテンシャルを秘めた異常生命体を人工的に創り出す計画を打ち立てた。
「プロジェクトI」の始まりである。
無から超越生命を創り出すプロジェクトは難航したものの、やがて安定体である「I-3318」が生まれる。ガラスケースに収められたその実験幼体と幼き日のユウは、アルによって引き合わせられることになった。
「I-3318」は自由なユウを羨ましいと思った。できるものならば取って代わりたいと望んだ。刷り込みは成功したのである。
「I-3318」の完成には、遥かな時間が必要だった。そこで古の時代、地球とそっくりに創り上げた星へと飛ばされた。
その星は、リデルアースと名付けられた。「I-3318」は異常生命体にして、リデルアースの星級生命体となり、長い時間をかけて成長していった。
そして、ユウがリデルアースへ訪れたとき、「I-3318」は自らをアイと名乗り、ユウを滅ぼし手中に収めるべく戦いを開始した。
すべてがアイにとって有利になるように仕組まれていた。アイはユウにとって天敵と言える存在だった。ユウを熟知したアルが、アイをそのように設計していたからである。
ユウとアイの戦いは悲惨かつ壮絶を極めた。
やがてアイは、アルの想定した【運命】をも越えて動き始める。アイ自身もアルなど気に入らなかった。言うなりになってやるつもりなど最初から毛頭なかったのだ。
アイはユウの力のほとんどを奪い自らの糧とし、あと一歩のところまで追いつめた。
だが死闘の果て、自分の記憶を完全に取り戻し、自分だけの道をついに見つけたユウは、「白」でも「黒」でもない――これまでどのユウにも到達できなかった第三の地点「青の力」に辿り着く。
フェバルでありながらフェバルとしての力をほぼすべて捨て去ったユウは、異常生命体に復帰し、ついに「【神の器】を宿す少女」以来自らを縛り続けていた【運命】の呪いを打ち破った。
アイとの決着をつけたとき、アルの目論見はもはや完全に潰えていた。
ユウを滅ぼすための最大の毒は、皮肉にも自らの首を絞める結果になった。ルミナスとアルにとって「【神の器」を宿す少女」をも超える史上最大の敵が生まれてしまったのである。
・本編間章 TS能力者ユウの異世界放浪記
・本編五章 フェバルと新世代の異常生命体
・本編六章 終わらない旅の向こうへ
・本編終章 ???
すべての記憶を取り戻したユウは、異常生命体こそがルミナスの【運命】に打ち勝つ唯一の鍵であることに気付き、仲間とともに彼らを守り育てるための旅を続けていた。
時代は進み、やがて舞台は宇宙の中心、ダイラー星系列へと移る。
復活したアルと力を取り戻しつつあるルミナスに、ユウたちは最後の戦いを挑む。