第一話 Prologue
初めまして、シロサギと申します。拙い文章ですが、温かい目で見守ってくださると幸いです。
一話は完全に導入のみなので物凄く短くなっております。
むかしむかしのおはなし。ひとがうまれる、ずっとまえのおはなし。
あるところに、ひとりのてんしさまがおりました。
てんしさまはたくさんのいたずらをくりかえしました。
それにおこったかみさまは、てんしさまをこわーいこわーいじごくへとおとしてしまいました。
じごくへおとされたてんしさまは、それでもこりずにいたずらをつづけました。
てにおえないてんしさまは、ついにかみさまにはねをとられてしまいました。
はねをとられたてんしさまは、もうてんしさまではなくなってしまいました。
こうしてへいわなせかいがおとずれたのです。めでたしめでたし。
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光が、世界を駆けた。
それは余りに莫大な、可視化し得るほどに濃密な、力の奔流だった。
力を持たぬ一般人は、わずかに変化した雰囲気に首を傾げ。
戦う力を持ったばかりの者は背筋が震え。
一流、と呼ばれる者は身の凍るほどの圧力を感じ。
名のある古豪はただただその力に恐怖し。
長命極まるありとあらゆる生物は、世界を呪った。
何が起こったのか、理解できた者は、それこそ一握りにも満たない。
ただ漠然と、何かが起こったと感じるのみ。
一瞬にして世界を駆けた衝撃は、翌日になっても解明されるに至らず。また、一部の認知済みの者は絶望から逃れるように籠る事となった。
何か世界にとって良くないことが起こる。そう予感させるには十分な出来事であった。
この一瞬が、世界の転換点となる。吟遊詩人は口々に謳い回り、人々を湧き立たせた。
ある者は新たに神が生まれたと。
またある者は大陸が消滅したと。
そのどれもが荒唐無稽。お伽噺の中の出来事と言っても過言ではない代物だ。
現実では「ありえない」と一蹴される出来事。
そう。これはお伽噺に匹敵する出来事。
それ即ち、現世を題材とした、お伽噺の続きだった。