第5話 魔法習得
ちょっと長くなってしまいました・・・
リオーネをあとにしたライトとシェニミアは傭兵都市に向かっていた、その理由はライトが行った裁きの報告だ。より正確に言うと呼びだされたのだ。実はライトはリオーネを裁く際、クラスト・ミドレバロの許可を受けて裁いたわけだが、その証拠の映像は実はリアルタイムのものだったのだ。本来は厳重に何重もの調査をして国を裁くのだが、ライトはその過程を全てすっ飛ばし城に踏み入る一歩手前で許可を受けたのだ。
それにより傭兵都市サークスに呼び出しを受けたのだ。そんなことは知らずシェニミアは何気なく質問した。
「ライトさん、傭兵都市はどのようなところなんですか?」
シェニミアは依然として黒のマントを着ていた、結局服は手に入らなかったのだ。
シェニミアの疑問にライトは前を向いたまま答えた。
「傭兵都市サークスには王はいない代わりに傭兵最強のクラスト・ミドレバロを始めとする10人が統括している国で、その10人は『国を裁く者』(ジャッジマスター)と呼ばれている。今回あったように国を唯一裁く事ができる奴等だ。」
そこでシェニミアはライトが次の言葉を発する前に次の質問をした。
「何でその10人は国を裁けるんですか?」
「傭兵都市は戦いを仕事にする者の集まりだそれゆえに傭兵都市では強い奴が上、弱い奴は下という弱肉強食の国になってる、そんなやつらが戦争になんて行ったらそれこそ世界の国が一つ残らず崩壊する事になる、そこで再び戦争が起きないように国を修正させる事が必要になる、つまり『国を裁く者』(ジャッジマスター)は世界が平和を保つための集団というわけだ。今回の事件は民の不要な苦しみをなくしリオーネを平和にするという名目で俺が裁いた。」
ライトは長い説明をして疲れた表情をしていた、シェニミアはそんなライトの事などお構いなしに質問を続けた。
「でもなんで傭兵都市なんてものを作ったんですか?」
シェニミアは疑問に思った事が聞きたく仕方ない性格なようだ。
「その昔戦争が世界を覆っていた時には国と国が戦争をすると傭兵を雇う事が多かったんだ、もちろん国の兵もいたんだが、傭兵なら戦いを生業としてるから戦闘にはなれてるし、なにより死んだ後に悲しむ奴もまったくいない。理由は残酷だが傭兵としては金が多く貰える仕事という感じだったらしい。そんでいざ戦争が終わると傭兵の数は一つの国の兵より多くなっていた、そこでそれらを統括するための機関が必要になり、傭兵都市が作られた。それを作ったのが現在傭兵№1として君臨しているクラスト・ミドレバロという男だ。どんな仕組みかしらないがあのじじい歳はとっくに死んでいるはずなのに、今でもまったく変わらない姿でピンピンしてやがる。」
最後の方はただの愚痴になっていたが、シェニミアはそんな事は考えず次の質問をした。
「じゃあライトさんの『黒雷』ってなんですか?」
シェニミアはライトが国民に向けて説明した時に人々が言っていた事について聞いた。
「それはいわゆる二つ名だ『国を裁く者』(ジャッジマスター)全員につけられる、俺は『黒雷』№1のじじいは『白風』そんな感じで与えられる。」
シェニミアはいつの間にか目をキラキラさせながらライトの説明を聞いていた。
それを見たライトは断るにも断れずシェニミアの質問に答え続けた。
そのライトにとっては地獄、シェニミアにとっては天国のような時間は日が暮れ始めた事によって一時中断された。ライトは荷物を下ろし野宿の準備を始めた。最初は何をすればいいかわからなかったシェニミアも火を付けるための燃える物を探す事にした。
燃える物を集めた所にライトが何かを呟き火を付けた。それを見たシェニミアがまた目をキラキラさせながらライトに言った。
「今のは魔法ですか!?私初めて見ました!」
またもや目をキラキラさせているシェニミアに負けてライトは魔法に付いて話始める。
「魔法は習得が難しいからな、魔法使いもそんなにいないだろ。サークスでもそんなにいないからな、よかったら適正審査でもしてやろうか?」
それを聞いたシェニミアはとても嬉しそうにライトに行った。
「ほんとですかぁー!!嬉しいです、奴隷になってもう死にそうだった私が魔法を教えて頂けるなんて!!」
「まだできるとわかったわけじゃないんだから、そんなに喜ぶなよ」
ライトは半分呆れ顔で言った。
「じゃあまず超初歩的な魔法を教えてやろう、手の平に炎を出す感覚でファイアって唱えてみろ。」
それを聞いたシェニミアは言われた通りに手の平を出した。
「ファイア!!」
ライトは考えていたのは手の平に蝋燭程の火が出る事だった。だがライトの目の前には想像を遥かに超えた普通では考えられない程の炎が現れた。
「うわぁ!!」
シェニミアは驚いて手を振り回した。炎はシェニミアが集中を切らした事で消えた。ライトは思わず身構えていた手を下ろし、考えていた。
(あんな炎は見たことないぞ、それにあんなサイズの魔力がどこに?しかも魔法すら見たことがないのに・・・)
「はぁ~びっくりしました~」
シェニミアは驚きのあまり鼓動が高鳴ってしまい深呼吸をしていた。
ライトが見る限り息切れもしていなかった。
魔力とはつまり人間の生命力だ、それは多い程強力な魔法が出せる。ただし魔力を使い過ぎるとそれだけで死ぬ可能性もある。
(おいおい、あり得るのかこんな事が、いくら初歩魔法でもあれほどのでかさの魔法を出したんだ息切れすらしてないなんて・・・)
「どうしたんですか?」
シェニミアは落ち着きを取り戻してライトの顔を見ていた。やがてライトはシェニミアに言った。
「シェニミア、魔法教えてやろうか?」
「ほんとですかぁー!!やったー!!」
シェニミアはそれを聞くなり目どころか顔を輝かせて喜んだ。
魔法を教えながらサークスに向かう事になりその夜はそのまま寝ることにした。だがライトは夜番として起きていた。シェニミアがなにか言うと面倒なのでシェニミアが寝静まってからこっそり起きていた。
そして改めてシェニミアの事を考えていた。
(魔力の貯蔵量は半端ではない、あれがコントロールできれば『国を裁く者』(ジャッジマスター)に
もなれるぞ・・・一様あのじじいに報告しとくか・・・)
考えをまとめてライトは立ち上がり、少し離れたところに移動しようかと考えたが念のためシェニミアの周辺に魔法壁を張った。
そして離れた所に移動して指をパチンッ!と鳴らし顔の前へ魔法陣が現れてそこには白銀の髪の男が映っていた。
「おい、くそじじい俺がそっちに着くまでに1人、傭兵の登録を済ましておいてくれ」
『おい、くそガキ師匠を少しは敬う心をこっちに着くまでに学んどけ』
会話が始まるなり両方とも悪態を言い合う2人、どちらも慣れている様子であまり気にした様子はない。
「名前はシェニミア、武器はなし、魔法使いだ」
ライトはなにもなかったように話続ける。
『魔法使いか、珍しいものを見つけたもんだな』
などと感心している白銀の青年はライトの顔を見ながら言った。
「かなりの掘り出し物だぞ、おそらく魔力は俺より多いはずだ」
『ほ~それは掘り出し物だ、じゃあこっちに着くまでに魔法の修行をやるという事か』
少し感心した様子でライトの話を聞いていた。
「そういう事だうまくいけば『国を裁く者』(ジャッジマスター)になれる素質があるぞ、楽しみにしとけそしてそれを冥土の土産にして、さっさとくたばれよくそじじい」
『それは楽しみだ、それじゃあさっさとボロボロになって帰ってこいよお前の仕事は大量にあるから覚悟しとけくそガキ』
お互いに悪態をつき魔法陣は消え、ライトはため息をしてシェニミアの方へ戻っていった。
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