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ウォーカー  作者: 麒麟
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第40話 償い

 洞窟のなかを戻っていくうちに、段々と魔力が戻ってきたライトは気付いたことがあった。

 洞窟に入った時いた村の住人の気配が全くないのだ。

「おいミロス、ここに来る前に人間を見たか?」

 シェニミアの肩の上にいたミロスが顔を上げてライトを見る。

(いや一人も見なかったぞ、結界のせいでどこにいるかもわからなかったが・・・)

 シェニミアは少し困惑していた、魔力を感じることができるようになったシェニミアにとって、住人の気配が見つからないというのは不安にしかならない、さらに経験も少ないので人がいなくなる、つまり最悪死んでいるという想像しかできない。

「・・・まだ調べることがありそうだな、シェニミアは外に行っててくれ俺なら大丈夫だすぐ戻る」

 そう言うとライトは少し考えてから、魔法を使って小さな瓶を創りだした。

「この前の本の内容は覚えてるな?この瓶に魔力を溜めてみてくれ」

「は、はぁわかりました」

 瓶を受け取るとシェニミアは早速瓶に魔力を溜めだした、だが数秒した後に瓶は粉々に割れた。

「言っておくがその瓶は一定以上の魔力を受け付けないようにしてあるからな、俺が帰ってくるまでにその瓶に魔力を溜めれるようにしとけ、瓶は・・・ほらこんだけあればいいだろ」

 ざっと数えて30個の瓶、それが手で持てるくらいの箱に入っていた。

「完成形はこれだ」

 ライトの手には小さな瓶があり、それには青や赤に変色する液体ではない何かが入っており、蓋のなかった瓶には魔力で創られた蓋があった。

「いいか?蓋までできて成功だ、それじゃすぐ戻るからな」

 そう言うとライトは洞窟を出る道から逸れて他の道に入って行った。

(引き留めなくてよかったのか主よ)

 肩の上に乗っている状態でシェニミアの顔を横から伺いながら喋るミロス。

「いいです、もう危険な魔力は感じませんし・・・師匠なら絶対戻ってきますから」

 なにかを振り切るように笑顔をするシェニミア、そして洞窟を出るために進んで行った。



 洞窟も進むライトは何度か壁に寄りかかっていた、魔力がいくら回復して傷を癒したとしても体力が回復するわけではない、事実ライトの顔色は悪くなっていた。

「こりゃ、早く終わらせなきゃまずいな・・・」

 軽く息切れもしてきているライトは力を振り絞って足を動かしていった。

 そして何度か曲った後にライトも目的地である空間に出た。

「やっぱりか・・・」

 ライトがいる場所からは一部しか見えないがそれだけでライトはわかった。

「だから会いたくなかったんだ・・・」

 ライトも目に映っているものそれは、大量の血と死体の数々。

 死体の顔を見る限り村長を始めとするほぼ全員の村の住人の死体があった、見ればドラゴンから逃げて来てライト達に助けを求めたあの住人もいた。

「?」

 ライトはその村の住人の事で気にかかることがあった、ドラゴンに追われていた住人その死体に近づいていく。

「こいつは・・・・・・・なるほどそういうことか、ふざけやがって」

 そこでライトは何かの気配を感じてメメントモリも構えた。

「そう慌てることもないんじゃない?」

 ライトも目の先には同じ『国を裁く者』ジャッジマスターの一人№5のファウンド・マインドだった。

「なんでお前がここに居る?」

 メメントモリは下ろしたがライトはファウンドを睨んだままでいた。

「ちょっとクラストに命令されたのよ、状況の調査だってさと言ってもあんたがもう終わらしてるんでしょ?報告はしなきゃいけないから事も顛末を聞いてもいいかしら?」

 ファウンドは『国を裁く者』ジャッジマスターの中でも魔法に特化した者だそのため服装もなにかしらの魔法効果をもつ服装になっているのだが、どう考えてもおかしな服装をしていた、もう若いというわけでもないがへそまで出ている露出の高い服をきて下半身にはぴったりと張り付いた、ズボンのような物を履いている。

「まず最初のドラゴン、あれは魔人か悪魔が召喚したものださらに俺に助けを求めた奴あいつは魔人の一人だろう、今確認した今考えてみれば確かに魔力が怪しかった・・・、そしてこの死体の山これは魔界門も生贄だこれほどの量からみて相当巨大なもん作ろうとしてたんだろう、そして魔人も数、今回は三人内の一人は俺が以前メリーゼで出会った奴だ、後は想像に任せよう」

 ライトは大分疲れた顔をしていた、ファウンドはまだ納得の言っていない顔をしていた。

「ちょっと待ちなさい魔界門の製造には大量の魔力を使うわこの生贄の数を見る限り魔力は半端な量ではないはず、その原料はなに?」

「それに関してはクラストがわかってるだろ報告するときにでも聞け」

 大分疲れているライトにとって早く終わらせて洞窟を出たいのだ。

「じゃあこの生贄の住人、見た感じに抵抗したような感じじゃない、微かに魔力があるから操られてたの?」

「それに関してはどうかわからない、確かに魔人の中には魔法に特化した奴もいた、だがそもそも・・・いやちょっと待て・・・そうかそういうことか」

 しばらくライトは目をつむり集中した後にある答えを導きだした。

「なに?」

「そもそもこの村には死霊術の疑惑があった、さらに悪魔の姿も何度か確認されている、なら話は簡単だ・・・村の住人全てに悪魔が乗り移っていたこれなら筋も通る」

「いえ筋は通らない、だってなぜあなた達が・・・」

 そこでファウンドの表情が固まった、なにかを考えているらしい。

「あなたの連れていた娘、あの娘ね?確かに以前見た時に膨大な魔力は感じていた、だけどもしあれが使いこなせるのなら魔界門だって開ける・・・」 

 ライトは汗を顔から滲ませていた、以前シェニミアに説明したようにファウンドはある意味で危険だ、シェニミアが誘拐されかねないほどに、

「・・・これで筋も通ったはずだ、さっさとくそじじいに報告しろ」

 ライトは重い体を動かして歩き出す、そして魔力をほんの少し使い死体の山に火をつけた、魔法による火なのでそう簡単に消えることはなく段々と燃え広がって行った、このまま居れば火で死ぬのもあるが窒息する可能性もある。

「死にたいなら好きにしろ・・・」

 ファウンドはなにかを考えたまましばらく動かなかったが、ライトの言葉を聞いて我に返りライトを見て静かに笑った。

「無理しない方がいいんじゃない?魔力はほとんどない、体力もほぼ尽きているそれじゃ私を止める事は難しいわよ?」

 それを聞いたライトは歩みを止めてファウンドに背を向けたまま静かに言い放った。

「・・・死に急ぎは良くないんじゃないか?・・・ババア・・・」

 瞬間ライトは今まで抑えていた殺気を解き放った、殺気は決して人に害をなすものではない、だがあまりに強い殺気は空気まで震わせることがある、今まさにその現象が起きていた。

「あんたもいい加減になさいよ・・・昔私に土下座までしたのはどこのどいつだったかしら?」

 ファウンドもまた殺気だけで空気を震わせていた、あまりにも強い殺気と殺気がぶつかって地面すら揺れる錯覚に襲われる。

「だからって俺が、歳食ったババアに殺さるわけがないだろ」

 メメントモリは下ろしているがその気になれば一瞬、常人ならば構えてから攻撃する速度の倍の速さでライトは攻撃を繰り出すことができる。

 一歩間違えば間違いなく洞窟は陥落するだろう、それほど危険な状況だった。

「やだやだ、ここであんたと殺りあってもなんの得もないわ、その娘に関してはまた今度お邪魔させてもらうわ・・・・・・・ただし、今度舐めた口聞いたらただじゃ済まさない、それだけは覚えておきなさいくそガキ・・・・・・」

 それだけ言うとファウンドは何かしらの空間魔法を使いどこかへ消えた。

 ライトは最後まで殺気を出し続けていいたがファウンドが消えたのを確認すると、崩れ落ちた。

(くそババア、無駄に疲れさせやがって・・・)

 メメントモリを床に突き刺し体を支えながら立ち上がるライト、魔力はすでに常人と同レベル体力は通常の十分の一、この状態では洞窟を出るのもきつい状態だった。

「メメントモリ・・・」

 囁くように言うとメメントモリは輝きだし球体を創りだした、その球体は輝いたままライトの体に取り込まれて行った。

「わるいな・・・」

 普通の剣では絶対にできないことをメメントモリは簡単にやってのける、メメントモリは呪われた剣だ事実今もライトによって良くも悪くも様々な事を吸収している、一心同体と言っても過言ではない、メメントモリが別空間で戦う時、クロディウスと戦った時も傷はライトに帰って行った、だがどちらの傷も伝わるのなら、魔力を渡すとこも難しいことではない。

 ライトはさきほどとは変わり立ち上がると、洞窟を出るために歩き出した。

(俺が傷を背負って行かなきゃいけないのは当たり前のことだ、それが俺の唯一の残された償い・・・)




 

 最初の目的から逸れまくってますね・・・そろそろ話を元に戻したいと思います。


 次回更新は一週間以内にしたいと思います、よかったら活動報告も覗いていってください。

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