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ウォーカー  作者: 麒麟
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第2話 腐敗した町

奴隷達は盗賊が使っていたと思われる馬に乗って森を後にした。

 ライトは少女を抱えたまま森を歩いていた。歩いていると大きな川が見えて来た。その川に近くの木の下で少女を下ろし、ライトは再び森の中へ入っていった。

 少女はまだ目は開いているが、何も見ていなく意識がない死んだような目をしていた。

 数分後、ライトは先ほどの木の下に戻って来た、手には数個の果実が抱えられていた。地面に大きな葉を引きそれに果実を置く。

 その次にライトは川で水を汲んで来た、それを少女へと渡す、だが少女は見向きもしない。それを見たライトは半ば無理矢理口の中に水を流し込んだ。少女はせき込み意識を取り戻した。それに満足したライトは地面に腰かけて笑みを浮かべながら少女に話掛ける。

「俺の名前はライト、旅をしている。水を流し込んだのはすまんかった。さっそくで悪いが俺と一緒に来ないか?」

少女はライトの方を向き目を見開いた。いきなり目の前に男が居て、いきなり一緒に来ないかと言われてとても驚いた顔をしている。

 だが少女は驚いていたが、今の状況などを思い出し少し間を開けて答えた。

「わ、たしはシェニミアです。こんな私で良いならどうぞよろしくお願いします、ライトさん」

小さな言葉を呟くようにライトに頭を下げた。

「シェニミアか、良い名前だ、大事にしろよ。ほら果物がある食べろ。」

それを優しく明るい声で言うライトは果物の1つを手に取りシェニミアに渡す、それを受け取り、小さな口でシャクっと食べる。


それから少したち残りの果物を袋に入れ、ライトは質問した。

「シェニミア、答えたくなかったら言わなくていい、なんで奴隷になった?」

それを聞くとシェニミアは体を震わせながら、答えた。

「親に売られたんです・・・」

「そうか・・・」

ライトはしばらく黙った、そして口を開いた。

「少し昔話をしてやる。ある田舎の村に10歳の少年が居ました、少年は一日を終え寝ようとしてました。その日は嵐で雷が鳴っている夜でした。そんな日の夜100人程の盗賊が現れました。村人達は盗賊により大勢殺されてしまいました。少年は両親により隠され幸運にもただ一人生き延びました。その少年はその時誰にも負けない、最強になると誓いましととさ・・・。」

ライトが遠い目をして口を閉ざすとそれを見たシェニミアが聞いた。

「その少年は、前に進めたんですか?」

それをライトは一瞬だけ間を開けて答えた。

「ああ、自らが最強になるまでな。」

ライトが言い終えると同時にいままで振っていた雨が止み、空から太陽の光が差し込んできた。

 そしてライトは立ち上がり、自らを覆っていた黒いマントをシェニミアに渡した。

「そんな姿じゃ歩けないだろ、今から町に行くからそれまでそれで隠してろ。」

シェニミアも立ち上がりマントを受け取り、それを纏った。


「しっかしリオーネの話はサークスで聞いたけど、酷い所だな。」

町に着くなりライトがは愚痴を呟く。リオーネの王都はスラムと言ってもいいところだった。服は汚れていて、店はあっても虫が集っているようなものばかり。それでも食べなければ生きていけない人々はそんな生活を続ける。

 シェニミアはライトのすぐ後ろを着いて来てきてライトに恐る恐る質問した。

「あの・・・なんで私を一緒にと・・・?」

「ん、それはな、昔の俺と同じ目をしていたからだよ。心が死んでいて、光がまったくない、そんな目だったからだよ。まっどうやら俺よりはマシだったらしいが。」

ライトは答えて道に端にある布屋に足を運んだ。

「失礼するぞ、この娘に大至急服を見繕ってやってほし・・・」

ライトの言葉は途中で途切れた、理由は後ろから走ってくる音が聞こえたからだ。

 走って来たのは14歳程の少年だった、服はボロボロで手には刃物が握られていた。

「シェニミア、俺の後ろに居ろ」

落ち着いてシェニミアに指示を出すライトは刃物を持って走ってくる少年を見ても笑みを止めない、そして少年の手を掴み、一瞬でひっくり返した。少年は短くうめき声を上げ気絶する。

「他にも居るんだろ!出てこいそれとも、引っ張り出してやろうか!」

ライトは大きな声で言った。その言葉につられて道の路地や建物の中から大勢の人が出て来た。

「あんた強いな。」

その中の一人がライトの前に来た。年齢は10代後半でライトより歳上に見える。

「そいつはどうも、だけどお前に褒められても嬉しくないな。」

前の青年はライトの言葉を聞いた後、突然頭を下げた。

「頼む!俺達に協力してくれ!」

「はッ?」


ライト達は青年に連れられて路地を進み少し開けた所で、木箱の上へ座り青年の説明を聞いていた。シェニミアは黒のマントで頭まで隠してライトの背中へ隠れるように座っていた。どうやら相当な人見知りらしい。

「なるほど、今の王に反発する反政府組織レジスタンスか、まっ気持ちはわからんでもないが、それで何に協力しろって?」

「協力してくれるのか!?」

青年は立ち上がり、ライトの顔を真っ直ぐ見る。

「待て、まだ協力するなんて言ってないぞ、とりあえずお前等は何をしようとしてるんだ?」

再び青年は座り話し始める。

「俺達は現国王デューレン・ドラミク、及び重役貴族の暗殺を行い、国を崩壊させる!!」



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