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ウォーカー  作者: 麒麟
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第18話 質問の嵐

 次の日の朝、シェニミアが起きるとライトは昨日の夜座っていた場所から動かず本を読んでいた、既に日は上がっている、シェニミアはついライトに声を掛けた。

「あの、師匠、まさか・・・徹夜で本を読んでたんですか?」

 シェニミアの声を聞いて初めて、シェニミアが起きた事に気付いたライトは驚いた表情をした。

「なんだ、起きたのか。ん?もう朝か?」

 最初は状況が掴めなかったライトだが、よく考えてみてやっと状況を理解したらしい。

「いやな、昨日の夜に本を読んでいてそのままだったらしくてな・・・」

「・・・・・・・・・」

 シェニミアはじっと、ライトの顔を見ていた。シェニミアはあきらかにある一つの事をライトに伝えようとしていた。少しは心配する方の身になってくれ、と。

「・・・・・・すまん・・・」

 しっかりとそのメッセージを受け取ったライトは沈黙の後謝罪をした。


「それで師匠その本には何か書いてあったんですか、その宝探しに関係する事は?」

 宝探し、で納得してしまうあたり、シェニミアはそれほどライトを信頼している証だろう。

「ん、えっとそうだなあ、まあ歴史書みたいなもんだからな古代の事なら少しわかったんだけどな、見たければ見せてやるぞ、ほら」

「えっいいんですか?」

 驚いたがシェニミアは本を手渡されたので断れずに言われるがままに本を開いた。

「?、師匠この文字はなんですか?」

 シェニミアが持っている本は古文書と言ってもいい代物だ、つまり文字は当然古代文字になるだろう。

「ま、そういうことだ」

「でもなんでか、どこかで見たことがあるような文字なんですよね・・・・・」

 独り言のように呟いたシェニミアに、ライトはうっすら険しい表情をしていた。

 その後、いままでの話題を振り払うように別の話をしだした。

「まあ、それにしても考えてみれば馬を使っちゃえば一日かからないくらいで神殿に着くんだよな、(くそったれあのくそじじいぜってえコロス)」

 まだ昨日の事を根に持っているライトは、またしても小さな声で呟いた。

 馬とは昨日の『駒』が乗っていた馬の事だ、あれから馬の世話をしてそのまま乗って行く事にしたのだ。

「それでは私は朝食の準備をしますので」

 シェニミアが朝食の準備をしようとして立とうとする、その時突然上空から奇声が聞こえた。

「あわわわわわわ!?」

 シェニミアはそのまま固まってしまった、その奇声の正体はグリフォンだった。

 大きな翼を持ち、ちょっとした岩なら持ち上げられそうな大きな4本の足、それはまさしくグリフォンだった。

「おおッ!!なんだか久しぶりに見た気がするなぁ」

 ライトはこんな状況でも歓喜の声を上げた、シェニミアはそんなライトに慌てた声で叫んだ。

「な、なに言ってるんですか!?」

「ん?昨日言っただろ、グリフォンはデカくて多少力があるだけでそれほど強いわけじゃない、見てろよ」

 ライトはそう言うと特攻の姿勢をした、グリフォンは様子を伺うように威嚇しながらライトを睨んでいた。

 すると、ライトが突然消えたように見えた、一瞬でかなり高い位置にあるグリフォンの頭まで飛び、拳を叩きつける。

 いきなり目の前に現れたライトを認識する事ができずグリフォンはなす術なく、ライトの攻撃を受けた。

 グリフォンの巨体は攻撃により勢いよく地面に叩き付けられる、どうやらグリフォンはそのまま気絶したらしい。

 気絶させたのはライトのシェニミアが前に居るという抑止力だろう。

「ま、こんなもんだ」

 まるで何もなかったように言うライト、シェニミアは唖然としていた。やがてなんとか声を出した。

「し、師匠!?一体何をしたんですか!?」

「いや、そんな事言われてもな、只単に殴っただけなんだけど・・・」

 疑問の顔というより、憧れといって方が正しい表情を見て、ライトは少し戸惑った。

 やがてミロスが目を覚ましシェニミアは、ミロスになぜこんなことがあったのに寝ていられるのか、と激しく質問され戸惑っていた。


 結局グリフォンが再び目を覚ます前に、軽い朝食を済ましその場を後にする事にしたライト達は、馬に乗り西の洞窟に向かう事にした。それほど急ぐ事もないので昨日ほどスピードは出さず、のんびりと歩を進めて行く。

 やはりと言っていいか、シェニミアはライトに質問の嵐をぶつけていた。

「・・・・・・、では魔物の他にはどんな種類、また強弱はどうなんですか?」

「強さの順番でいくと、草食種、獣種、魔物種、魔獣種、精霊種、神獣種、神格、だったかな」

「なるほど、では魔人や悪魔等はどこに入るんでしょうか?」

「・・・それはまたややこしくなるが、悪魔には初級、中級、上級、があるんだが、初級は魔物種、中級は魔獣種、上級は精霊種になる。魔人は大抵は精霊種以上がほとんどだな・・・・・・」

 馬に乗り出発してから、シェニミアがライトにこれまで質問した回数が今ので30問を超えた、ライトはそろそろ本気で疲れてきていた、ミロスはまたしてもシェニミアの肩で寝ている、ライトはそれが実に羨ましかった。

「それでは、師匠はいままでどこに行ったんですか?」

 どこに行ったとは、今まで旅をしてどんな所に行ったことがあるのかという疑問だろう。

「ん~俺が初めて旅をしたのは正式に傭兵登録を済ませた時だからなぁ、たしか最初に

行った所は大陸の最北端だったな、知ってるか、あそこは夜に普通に寝ると次の日は死体になるぐらい寒い所だぞ、俺も何度か死にかけた・・・(あのくそじじいのせいで・・・)」

 ライトはクラストの弟子と聞いた事があり、その内容は相当厳しいものと知っていたので、なんとなくなぜ最北端に行くことになったのか悟ったシェニミアはライトに新たな質問をした。

「では、師匠が今まで戦った中で一番強いと思った相手はだれですか?」

「強い相手か・・・たぶん神格の下級神ドレグマスだな」

 さっきの話である程度の強さの階級は聞いていたので、それを聞いた時シェニミアはとても驚いた、下級神ならミロスの封印を解く時に会った事があるが、その時もなにか莫大な何かを感じたような気がしたのだ、それと戦ったというのだから驚きだ。

「そ、それでどちらが勝ったんですか?」

 なぜか恐る恐る聞くシェニミア、ライトは茶化さずにはっきりと言った。

「引き分け」

「引き分け?」

 思わずシェニミアが聞き返した。

「ああ、たしか三日三晩戦ってたんだけど、やむを得ない事情でそのまま決着がつかなかった」

「三日、三晩・・・」

 ライトの言った言葉は少し大げさに言っているのだが、シェニミアは基本ライトの言葉はなんでも信じてしまうので、本当に三日間戦っていたと信じてしまった。

「それに戦った理由もバカバカしいところがあったしな」

 ライトは笑いながら言ったが、シェニミアはいまだに、三日三晩、という言葉で頭がいっぱいになりそれどころではなかった。

 だがそれも突然聞こえた爆発音のせいでかき消されてしまった。

 ライトは素早く行動する、驚いて興奮している馬を一瞬で宥めさせ空間魔法を使い一本の剣を取り出す。

「急ぐからな、振り落とされるなよ!」





次話更新は明日の午後8時です。

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